元   ち   ゃ   ん   の   山   紀   行
鋲岳(861.1㍍) 烏帽子岳前衛峰(1,232.2㍍)
<富山県黒部市、宇奈月町>  平成12年12月17日



左から朝日岳、雪倉岳、真中奥白馬岳、白馬鑓、唐松岳、右の三角が、五竜岳、双耳峰が鹿島槍  (鋲岳頂上から)



  何処までいけるか分からないが鋲岳、烏帽子山行きにした。4~5日前に黒部市役所に嘉例沢森林公園へのアクセスに付いて問い合わせてみたが、「道は狭く擦れ違い、Uターンなどが難しいから雪が降ると止められた方がいい。一週間前の積雪はまだ少ないようであったが・・・・」との返事。

やや左奥が初雪山(鋲岳頂上から)
 山友の中山君と家内の三人で、とても良い天気の中、7時過ぎに出発した。滑川から広域農道を通り、黒部市福平のT字路に突き当たって右折し田籾に向かう。田籾からは、何処から雪になるかと緊張しながらの運転となった。
 標高600㍍附近の登りのカーブで、無人の軽自動車が、スリップしたのか山側に前方を突っ込んでいた。車から降りてみると地面がツルツルで、ここで車をデボするか、前に進むか協議となる。谷側は切れ込んでいて、又車が上がってくるとは思わなかったが、待機する場所でもないので、チェーンを装着して前に進む事にした。
 しかし100㍍も進まない内に、雪量が増え、また圧雪が車の腹に支えてダウンしてしまった。帰路のツルツルの坂道をチェーンなしで下るのは怖いからと、自分に納得させながら林道歩きを強いられた。10分程歩くと大きな足跡が縦横矛盾に付いている。紛れもなく熊の足跡である。この後ずっと、この足跡が行く手に続いていた。今年は、黒部や魚津の山間部に熊が出没し、あるいは人に危害を加えたとのニュースは聞いている。

雪の上をカンジキで
歩く比佐恵さん
 でも、私は、30数年間山歩きをしているが、未だに熊との遭遇はない。「熊のいるところに行かなければ熊とは会わない。」が私の持論である。しかし、三人は、大きな声で喋り合ったり、各々のリックには鳴り物が付けられており、要所(?)に来れば笛を吹くなどの準備周到であった。車のデボ地点から森林センターの建物前まで30分、その先の森林公園駐車場まではなお10分程を要した。(積雪40㌢)
 直接烏帽子山への意見もあったが、取りあえず鋲岳を目指す事にした。公園内の遊歩道も雪に覆い被されてはいたが、快調に稜線に出た。樹木の間から後立山の山々が浮かび上がる。東屋のある鋲岳は、正に絶景の一言に尽きる。夏なら、ほんの一息で登れる山でこんなに眺望のいい所もないであろう。
 朝日岳から鹿島槍ヶ岳までの眺望、そして、私のお気に入りの初雪山が見えるのである。また、五竜岳が少し尖って見えるのも良い感じである。

久々の雪の上の中山君
 鋲岳山頂の快適な気分もそこそこに、烏帽子山に向かった。30分程歩いた所でカンジキ装着する。次第に雪の量が増えてきて、ラッセルがきつくなり、先頭を交代するが、日頃の運動量の差が歴然と出てくる。 初めのうちは夏道の上に、雪があるという感じなのだが、だんだんとその夏道たるものが細くなってきて、いや、なくなってきて、木々の間をぬって歩かなければいけなくなってくる。最初から付いていた、熊の足跡も稜線からは、時折カモシカのものと変わってきた。

 雪量が1㍍を超えてきた頃からピッチが遅くなってきて、果たして頂上まで行けるのだろうかと思うようになってきた。(何せ冬至の4日前なのだ。)また、出発時に地形図が見当たらず、何度か来た山なのだが、頂上に辿りつくのに、幾つの小さなピークを越えなければいけないのかが分からないのである。
 12時過ぎに、ここが前衛峰だと思った所がやはり違っていて、この先1時間20分下って上り返した所でタイムリミットとし、(たぶん烏帽子山前衛峰直下)昼食とした。烏帽子山の頂上に立たなければ、鋲岳のような展望は得られず残念なのだが、それこそ木々の間から充分ではないものの、風もなく好天下の中での雪山の感触を心行きなく楽しめたと思っている。
 このメンバーの昼食は、狭い木々に囲まれた尾根の上でも何時もミニ宴会。でも暗くならないうちに麓の田籾集落まで下りたいからと何時もより早めに(?)切り上げ足を急がせた。稜線上の反射板の下から直接林道めがけて一旦下ろうとしたものの、もし間違えたらの事も考えて、少し遅くても安全に来た道を辿った。


   ☆☆コースタイム☆☆

高岡7:15=標高600㍍附近(8:40~920)=森林センター9:50=森林公園P(10:03~08)=稜線10:27=鋲岳頂上(10:37~55)=カンジキ装着11:20=間違ったと思える前衛峰12:00=前衛峰直下(13:20~14:10)=間違ったと思える前衛峰14:50=反射板下15:32=反射板15:40=稜線分岐15:48=嘉例沢森林公園P16:10=森林センター16:10=車(16:30~40)=滑川=《高速》=小杉=高岡18:05

   ☆★同行者☆★
        中山、比佐恵