元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
袴 腰 山 (1,163㍍)
<富山県城端町、上平村>
平成14年05月20日




 前日は、私が福井岐阜県境の「能郷白山」へ、山ノ神は新潟長野県境の「大渚山」に早朝より出掛け、山そのもので疲れは感じていなかったが、長い道中の運転にいささか疲れていた。と言うものの休日は、「山」に出掛けない方が、可笑しいライフスタイルになってしまっている。

 近間の山に出掛ける事では一致していたが、しかし、起きてからも、未だ行き先が決まっていない状態であった。今夕には、私が親友達との「飲み会」が設定されており、いい加減に家に戻らなくてはいけない事も手伝って、以前からの候補である「袴腰山」に行く事になった。
 昨日は、袴腰山に関する二通のメールが寄せられており、これも心丈夫であった。


シャクナゲツバキサンカヨウ

 五箇山トンネル右側の駐車場から人喰谷経由のルートは、今年も通行止立札があったが、車一台通れるくらいにゲートがずらしてあり、行けない事もなかったが、無理する事はないと思い、その五箇山トンネルを抜けた所の平スキー場から細尾トンネルに向かった。トンネルを抜けると、五箇山トンネル横から来た道と出合うが、そこには、通行止の立札とチェーンが掛けられていた。片隅に車を止めて、いつもの通り誰もいない山に、林道歩きが始まった。

 20分位歩くと、小瀬峠道の標識がある。以前から気になっていた標識で、それは旧道で林道よりも、早く袴腰山登山口に着くものだと思っていた。また、その登山口が、小瀬峠とごっちゃになっていた所もあった。
 そのルートを利用するか、しないかとなったが、「山ノ神」は、時間が掛っても、急登のない林道を選択し、別行動は、好ましくないのだが、私だけがそのルートを取る事になった。
 林道を行く「山ノ神」より、私の方が、はるかに早く登山口に到着するものと思っていたのに、登っても登っても、袴腰山からどんどん遠ざかって行くのである。
 林道を歩いても30分前後のはずだから、もう少しではないかと思いながら・・・・・
 緑に覆われた雰囲気の良い樹木の中を高度を上げて行った。林道歩きよりも、グリーシャワーをいっぱい浴び、地形図を持参していない私は、おおよそ林道と並行して尾根を歩くものだと思っていた。
 しかし、この小道は、登山道なのか、作業用の点検道なのかわからないが、始めの分岐で反対側の景色を見る事になった。右(南)に進路を取ると鉄塔に出る。鉄塔の下にも踏跡を感じたが、上の小道を辿った。
 やがて、道も緩やかになった所で、樹木に赤ペンキが施してあり、奥の藪の中の石柱の所が刈り上げてあった。なおも南に進むとまた鉄塔の下に出て、行き先の袴腰山がどっしりと構えているが、その手前に大きな谷がある。その鉄塔から、南と西へと二本の道が延びているように見えたが、垂れ落ちてはいるが、虎縄を張ってあるような感じに受け取れるのである。西側の谷に向かって、少し降りてみたが、もし違っていて谷に迷い込んだらマズイと思い引き返した。
袴腰山小屋の前で

 「山ノ神」と分かれて40分以上経っているし、弱ったなと思ったが、今更、全行程を引き返すわけにもいかず、いつもリックの中に入れている富山県全域の道路地図を取り出した。
 この地図は、山座同定の時に使用しているものだが、大雑把だが等高線もあり、コンパスと正確さは欠けているが、高度計もあったので、先程見かけた石柱の所に戻った。三角点であった。踏跡がないかと周りを探したら、境界線の赤ペンキが西の袴腰山方面に向かって下っていた。
 その後を辿ったが、登山道でないので、木の枝にぶら下がりながらの下降となった。痛めている上腕から肩が伸びるとイタッーと言いながら、また滑りそうになりながら、必死に降りた。
 15分も降りただろうか、もし間違っていて、登り返す事を考えるとゾーっとした。右側下の方から、チェーンソーの音なのだろうか、何かを切っている音が聞こえて来る。
 イザとなれば、藪の中でも、その方向に進めばいいと、少し胸を撫で下ろした。鞍部と言えるのかどうか分からないが、藪の右手奥にコンクリートの構築物が見え、左から道らしいものが連なっていて、そこも虎縄で遮断してあった。
袴腰山頂上付近の櫓の横で

 ここが小瀬峠? そこから、また登らなければいけなかったが、それ程の登りでもなく、笹や草また小枝で、道を塞がれている所もあったが、時計ばかりが気になって、小走りに先を急いだ。林道への下りでは、「山ノ神」のリックが、道端にあるのが目に映りホットした。
 「山ノ神」は、私が気にしたほどでなく、遅れた時間を余裕時間と称して、ススダケ採りに余念がなかった。向かい側の鉄塔のある山を振り返って見て、あのまま谷に下っていたら、偉い目にあっていたところだと、反省をし、はやり別行動も焦りを誘うし、いけない事だと改めて思った。
 袴腰山登山口の標識には、砺波富士1,163㍍と小さく表示されいたが、今まで気付きもしなかった。そう、いえば遠くから眺めれば、確かに山頂付近が台形であることは間違いない。でも、富士山のようであろうか・・・・・・・・

 池の平側にもチェーンが掛けられており、登山口には、作業用のものと思えるワゴン車とミニバイクが一台ずつ止まっていただけで、山開き一週間前の平日は、静かなものだった。10分も掛らない小屋までの間には、終焉を迎えるシャクナゲが、所々に僅かながらも我々のために、命を繋いでくれた。

袴腰山頂上付近の櫓の横で

 露出した岩がある風衝的な尾根を過ぎると、だんだんと急な登りになる。
 その頃から、「山ノ神」の目が笹薮に注がれ、足が遅くなる。何時も硬いススダケを食べさせられる事もあって、早く上に行く事を進めるが、なかなか言う事を聞き入れてくれない。それでいて、先に行こうものなら、文句タラタラなのである。
 可愛いツバキを見ながら、赤い小さな実を付けたアオキにも目を移しながら、その合間を保っていた。
 でも、ハアーハアー息を切らしながらも、登山道の先に空が見えて来たら、もう頂上間近である。三叉路の平らな所に袴腰山頂上の標識あり、右へ行くと鉄製の櫓があり更に進むと三方山へと続く。ネマガリダケの中に、僅かに残るシャクナゲを見ながら、昼食にした。

★★★ コースタイム ★★★
高岡7:30=細尾トンネル(8:50~9:10)=小瀬峠道の標識9:33=始めの分岐9:55=鉄塔分岐10:00=鉄塔(10:15~20)=三角点=小瀬峠?=袴腰山登山口(10:50~55)=袴腰山頂上(11:45~13:00)=登山口(13:40~55)=小瀬峠の標識14:24=細尾トンネル(14:43~58)=高岡16:05

       ☆★☆同行者☆★☆
               比佐恵