元  ち  ゃ  ん  の  山  歩  き
洞  山 (831.8㍍)
<富山県  細入村> 平成15年01月27日




 前日までのお天気が、もう一日もってくれればいいのにと思うが、こればかりはどうにもならない。高い降水確率に逆らうように、では、出発の準備をしている時だけでも、降らなければいいと集合時刻を、未だ薄暗い午前6時半とした。
 庵谷集落奥の神社から、100㍍先の林道が二股になっている所で車をデボする。しかし、準備に支障は無いが雨が落ちて来ていて始めから雨具の装着である。
杉林からすぐ小尾根に取付く

 大谷林道を100㍍程進むと、右側に簡易水道施設があり、その向かい側の杉林が取付けである。土日が好天だったし、トレースが付いているかと思ったが、ここは残雪期に登りやすい山で、積雪の多い時には、賑わないのかもしれない。
第一の目標の鉄塔を目指して

 小枝のうるさい小尾根を登り、やがて、夏道の付けられた尾根に出て、鉄塔に向かって登る事になる。鉄塔付近は、風を遮る樹木もなく、まともに強風を受ける事になる。再び樹木の中に入るとすぐ林道に出る。
 尾根を分断しているその林道を5~6分程辿り、登りやすい斜面を見つけて再び尾根に取付く。すぐ洞山頂上を目指すのも良いが、434㍍の電波の反射板付近で、神通川周辺の展望を楽しむのも良い。この休憩でチョッピリ空いたお腹に、小さなおにぎりを入れて出発である。

 小枝を払い除けながら進み、やがて左の斜面に杉の植林が施された尾根の開けた所になり、それから傾斜が増して来る。雨、そして、高温故に腐った雪がカンジキに纏わり付いて来る。ストックでその雪を叩き落すが、すぐまた同じ事になる。放っておくと、カンジキが下駄のようになって歩けなくなる。

 それでも、木製のカンジキにビニールテープを巻いた「黒部のシュンちゃん」のカンジキは雪が付く事はなかった。黙々と歩く「シュンちゃん」何か悟ったように歩いて行く。こちらは、カンジキの重さに、段差では手を出して「山ノ神」を、引っ張りあげなければならない。
「黒部のシュンちゃん」が行く
「山ノ神」段差を登る
 時折、ゴーッと凄まじい音と共に、強風が吹き付けてくる。帽子を抑えながら、前傾姿勢で風の通り抜けるを待つ。今度は、リックカバーが捲くれそうになる。

 434㍍の反射板から、頂上に向かって45分ほど歩いた所で、何時ものあまり充てにならない高度計を出したが、言うには及ばない数値を示していた。 “ あーっあかんわ!” などと言って前方を見上げたら、夏道用の標識としての「頂上まで、あと50分から1時間」あった。三人が顔を見合わせ、“ この雪の状態では、仕方がない。” などと思ったが、「山ノ神」の “ 未だ1時間もあるの?” の気持もわからないではなかった。しかし、25分ほど経過した所に、今度は「頂上まであと20分」の標識が現れ、雨が強くなってきた時だけに、お互いホッとしてしまった。  だが、反射板を認めたからも、なかなか頂上には達せず、20分どころか倍近くの時間を要してしまった。

大きな反射板のある洞山頂上
 大きな二つの反射板のある頂上は、予想通り吹き飛ばされそうな風と、少し雪が混じった冷たい雨に、長居は出来そうもなかった。
 記念にカメラを出すも、レンズが雨に濡れ、構え様にも風で身体が流されてしまいそうであった。また、うっかりしていると手袋やカメラケースが吹き飛ばされ、それを追うにも大変な苦労をした。

 頂上直下の窪んだ所に、「シュンちゃん」持参のツエルトを張った。雨が強くなる中、ツエルトにもぐり込んで、更に足元を掘り、目の前がテーブルで、後がベンチとなった。
 もうその時点でツエルトは「黄金の御殿」となり、コンロの上にフライパンが乗り、すき焼きパーティーとなる。「シュンちゃん」が持ち込んだ食材に、「山ノ神」の酒の肴で、大いに盛り上がる。外はヒューヒューと風の音と、ツエルトからはみ出す身体の一部が冷たくなるが、「山の話」が暖かくしてくれる。しかし、低い天井に頭が届き、首が曲がらず缶ビールが口に注ぎ込めない。
「シュンちゃん」段差を飛ぶ

 雨の雪山を想定していて、寒いのにビールが飲めるのかと考えながら持ち込んだのだが、私の苦戦を見てか「山ノ神」が、ならば私とばかりに、良い雰囲気の中(おそらく初めての経験でしょう。)、ゴクリゴクリと喉を潤い始めた。そうなれば私がまた運転手である。
 条件が良ければ、大谷961㍍峰までの計画もあったが、この雨と風に見舞われ、そのピークどころか、洞山頂上も早々に降りてしまい、ミニ宴会後も、降り続く雨風の中で、“ 今一度頂上へ” の声は、誰からも出なかった。
 下りは、充分に水分を含んだ事もあってか、カンジキに雪が付着せず、スムーズに足が前に出たが、はしゃぎ過ぎなのか、酔っ払いなのかわからないが、雪の斜面で前のめりになって、何度も転んでしまった。




 ■■■ コースタイム ■■■
高岡5:35=神通第二ダム(6:25~30)=庵谷登山口(6:40~7:05)=鉄塔(7:50~8:00)=林道8:15=斜面の取付き8:20=434mの反射板(8:30~45)=「頂上まで50分~1時間」の標識9:30=「頂上まで20分の標識」9:55=洞山頂上10:30=ツエルト設置(11:00~12:30)=林道(13:20~30)=車デボ地点(13:50~14:10)=高岡15:25

 ■■ 同行者 ■■
      「黒部のシュンちゃん」・「山ノ神」