元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
黒菱山(1,042.4㍍)  焼山(910㍍)
<富山県 朝日町>
平成14年03月18日






 前日同じ「大平」地区に入りながら、悪条件が重なったとは言え、「初雪山」の頂上を極められなかったのが、とても残念だった。連日の単独行のためらいから、「山ノ神」を誘ったが、行く行かないの問答で、またしても出発が遅れてしまった。午後から雨の予報だったが、前日、「黒部のシュンさん」と「ターさん」が、「戸田峰」行きから、この「黒菱山」に変更して登ったという情報を入手していたから、そのトーレスを利用すれば、「山ノ神」同行でも、午前中に勝負が出来るとの思惑で出掛けた。

 境川流域の大平から、水谷を500㍍程遡り標高135㍍の水谷に架かる橋まで、車を入れる事が出来た。そのお陰と、今年も暖冬で雪解けが早く、林道の路面が所々見えており、烏帽子林道を30分程歩くだけで、大きなダムの所まで行けた。本来なら、雪に付いた杉斜面を、思いのままに登る事が出来るのだが、林道の先を進み大きく左に曲がった雪の付いた右手の沢に取付いた。前日のものか、どうかわからないが、崩れかかった雪面に、トレースが付いていた。チョット急斜面で「山ノ神」が嫌がったが、構わず登る事にしたが、取付きの下に、未だ時間の経たないカモシカの死体がある位の危険な所だったのかも知れない。中途半端に倒れた木々や、沢の上の雪が崩落していて遠回りするなど、20分位の時間を要して、標高400㍍位の林道に出た。少しは、ショートカットした事になる。


杉斜面を登る 杉斜面の途中で休憩 杉斜面を抜けるまでもう少し 犬ヶ岳が見えてくる

 その林道から、再び769㍍を南南西を目指して、杉斜面に突入する。何時しか、カンジキのトレースと合流する。朝から何も食べていないとの苦情を聞く前に、杉林の傾斜の緩やかの所で、簡単な腹ごしらえとなる。尚も高度を上げながら、670~80㍍位の杉林の切れた所で、北西方向に、大鷲山の尾根を分断し笹川方面に延びている先程歩いて来た烏帽子林道が見えてくる。やがて、杉がまばらになって来た斜面を登り切ると、南東方面からの尾根と、合流する769㍍に出て、良い雰囲気になる。以前に来た時は、この雪面に、小さな杉が、まるでクリスマスツリーのような感じで、ポツリポツリと立っていて、その聖地の横を申し訳ないように、我々は、規則正しく歩いて行った事を覚えている。その杉も、多くの年月を重ねないうちに大きくなってしまい、その素晴らしき光景を見る事が出来なくなってしまいそうだ。

大鷲山(817㍍)が、右側にどっしり見えてくる 「山ノ神」急登に耐える 大鷲山が低くなってくる 焼山頂上が見えてくる

 大斜面を登り切ると、やがて杉がクヌギに変わる頃、南東に「犬ヶ岳」が見えて来て、右手には、「大鷲山」がどっしりと構えている。ブナが現れて、「大鷲山」が低くなって来ると、おおよそピークと呼ぶには相応しくない「焼山」が右奥に見えて来る。“もう少し、もう少し”の私の言葉も聞き飽きてか「山の神」の反応は薄い。“「黒菱山」まで行かなくてもいいのか!”“ 雨になるかも知れない。”にもピッチがあがらない。仕方なく切り札として、“頂上で、ビールを飲む時間がないかもしれない!” 
 かすかに、歯を食いしばり、足を前に出す動作が速くなったように思えたが・・・・・・・


焼山頂上で黒菱山をバックに 初雪山が大きく見えてくる 黒菱山の稜線を行く① 黒菱山の稜線を行く②

 「黒菱山」と「焼山」の分岐への斜面を登らず、トラバース気味に直接「焼山」頂上に達した。「焼山」の頂上は、小運動会でも出来るような、なだらかな頂きで、北に「大鷲山」が低く見え、南には、これから行く「黒菱山」の稜線が、屏風のように連なっている。南東には「犬ヶ岳」の上部だけが、尖鋭に見える。
 雨の事もあるし、計画通り、午前中に「黒菱山」の頂上に立たなければいけないから、「焼山」頂上では、小休止にとどめ、少し亀裂の入った先の「黒菱山」との分岐に向かった。
 1,301㍍のピークまでは、標高差100㍍のなだらかで広く、おおよそ間違う事などないと思われる尾根を、気分良く歩く事が出来る。これが今日のお天気ように、何時雨降るかわからない模様ではなく、晴天なら、また新雪が降った後なら、それはそれは、素晴らしい稜線漫歩が楽しめるのである。それこそ、この標高からである。


黒菱山の稜線を行く③ 黒菱山の稜線を行く④ 黒菱山の稜線 初雪山

 1,031㍍のピークからが、「黒菱山」の核心部で、痩せた尾根を10~20㍍のアップダウンを繰返し、右から派生する尾根の二つ目のピークが「黒菱山」の頂上である。小さなピーク毎に、“ここが頂上かと思った。”“何処まで歩かせるの!”と不満顔だった「山ノ神」も、さすがに、頂上に着いた時は、今までの疲れも吹っ飛んだように思えた。

黒菱山の稜線を行く⑥ 黒菱山の稜線を行く⑦ 黒菱山の稜線を行く⑧ 黒菱山頂上から初雪山を仰ぐ

 山頂からの「初雪山」の山容は、どんよりとした空模様の中で、すっきりとは見えなかったが、雨が間近なせいか、ぐーっと近くに見えた。「大地山」も手が届きそうに感じた。その山頂は、昨日ほどではないにせよ、風が強く、前日この頂きで、「シュンさんとターさん」が掘った雪洞に、すっぽり身体を入れて、束の間の昼食時間とした。
黒菱山から大地山方面

 午後0時2分前に予定通り着いた山頂に、何時もと違う30分を切ると言う滞在時間は、我山行記録の中でも、とても短いものとなったのである。
 この奥深い山中で、風に雨が付いた事を思うと、否応無しに足早になったが、「焼山」の分岐に来ると、雨が降っても逃げ切れると言うことになり、残ったもう1本のビールに手が付けられる羽目になった。


黒菱山頂上の雪洞で
前日に、高田、飯田の両氏が掘ったもの

 ゴクリと飲んで、ルンルン気分で大斜面を駆け降り、杉林の中を潜り抜け林道に出た。
 朝方登って来た沢を下るのは、イヤだと言う「山ノ神」の要望を聞き入れ、チョット東側の杉林の中を再び突入となり、雪が消えた斜面を降りた所が、大きなダムの前に出て、ラッキーだった。はじめから最後まで、空模様を気にしながらの山行となったが、車に戻る直前に雨が落ちて来て、正しくグットタイミングとなった。







  ★★★ コースタイム ★★★
高岡5:55=滑川6:30=朝日(6:45~50)=大平水上谷標高135㍍(7:03~20)=大きなダム(7:52~55)=林道左へ8:00=林道標高400㍍8:20=杉林の中で休憩(8:40~50)=標高769㍍(9:35~55)=杉なくなり、大斜面を登る10:07=焼山頂上(10:40~55)=黒菱山焼山の分岐11:05=黒菱山頂上(11:58~12:25)=黒菱山焼山の分岐(13:10~20)=林道14:08ダムの上14:20=車デボ地点(14:45~15:10)=高岡

  ★☆★ 同行者 ★☆★
            比佐恵