元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
白木峰(1,596㍍)  前白木峰(1,521.9㍍)
<富山県八尾町  岐阜県宮川村>
平成14年10月21日





 また、雨。「山ノ神」が、娘に雨具を貸してしまったので、雨具は一つしかない。大昔のポンチョや代用になる雨具を探したがない。不吉な予感がする。何時もの「牛岳」は、何故か嫌がる「山ノ神」。「白木峰」行きになる。大雨ではないものの、狭い大長谷川沿いの道を水しぶきをあげて行く者があるものか!
雨の「白木峰頂上」で
 今年4回目の白木峰になるが、雪道を下から歩いた4月以外、雨の日ばかりである。最近は、雨の日に行く山に「白木峰」も加わったようである。
 359号線から、八尾に通じる千里トンネルが工事中でも、一気に高岡から1時間半でやって来た。景色が見えない山行だけに、ピークを踏んで早々に退散つもりであった。
 本来ならば、この時期は紅葉が素晴らしいのであるが、望むわけにもいかない。駐車場で傘を差しながらの身支度である。案の定私の雨具は、「山ノ神」が使用し、私は、傘とロングスパッツ、そして、二人分の荷を纏めたリックを担ぐのである。
紅葉も終焉を迎えていた!
 幸い風も弱く、頂上まで延びている林道を歩くつもりでいたが、どうしたわけか、「山ノ神」は、今夏工事をしていた丸太の階段を登りたいと言う。最も、登山道は急なのだが、林道よりも短時間で登れるし、山登りらしさはある。
 意外と淡々と登る姿を見るにつけ、白木峰頂上だけでは、あまりにも寂しすぎるし、山らしくはないが、「山ノ神」未踏の「前白木峰」行きを勧めた。浮島付近から、チョットだし、“「とやま山歩き」に載っているし”・・・などと言ってもう浮島方面に向かって、濡れた木道を歩いていた。
 私のズボンは、白木峰頂上で写真を撮った時には、もうかなり濡れてあまり気持の良いもではなかった。浮島を望める高台の右に、前白木峰への踏み跡が続いている。以前は、はっきりしない踏み跡で、何処から前白木峰に行くのか分からず、現に、浮島の後方に踏み跡を探した事があり、そこでスリップし、滑落した事がある。

「前白木峰」の三等三角点
 しかし、今では、ピンクのテープが道案内し、おうよそ迷う事はない。風衝草原を緩やかに下って行き、だんだんと木々の丈が高くなって来た頃に、「万波自然環境保全地域」に標柱がある。二つ目の同じ標柱から、更に緩やかに下って行くとブナが目立ってくる。広い尾根をジグザグに下りながら、紅葉の盛りを過ぎたブナの大木を見上げては、ため息をついた。時期的にはもう少し早くそして、雨でない日に来たかった。でも、実際には、そんな日はなかったのだが、何だか諦めきれなかった。
前白木峰のシャクナゲの木
 小さなアップダウンを一つ過ぎ、長く緩やかなブナ林を登り、尾根の右斜面をトラバース気味にあがった所が、頂上かと思ったが、再び笹の中を下り、ブナ林を登ると今度こそはと、頂上らしき所に出るが、ほんの1~2分程下り、駆け上がった登った所が、三等三角点がある「前白木峰」の頂上である。
 離れて見れば、小高く見えるのかもしれないが、ただの登山道に、三角点の所が、チョッピリ広く刈り上げてあるだけの風衝地帯である。その先は、途中で合流するのかどうか分からないが、三角点の先は、二つの道となっていた。万波川や万波峠あるいは、「打保」へと連なっているのであろう。
前白木峰で、雨に打たれたナナカマドを撮る
 降りしきる雨に、傘を差しているだけでは、リックを開けても、カメラを出しても、思うようにならず、無理矢理記念の写真を撮って、また、暖かいコーヒーと菓子パンを引きちぎって、口に流し込んだ。
 以前来た時も、ガスに覆われていてその眺望は分からないが、笹に混じってシャクナゲの木が多くあった。全身濡れて気分もままならなかったが、このシャクナゲの花の咲く頃に、“また来て見たいね!” と言った「山ノ神」の言葉に少し救われた気がした。“20~30分だよ!” と言って来た前白木峰だったが、濡れた落ち葉を踏締めて、また1時間位の時間をかけて木道に戻った。木道では、風雨が強くなり、雨具のない私は、忍の一字だった。




■■■■ コースタイム ■■■■
高岡9:25=標高1300㍍の駐車場(11:00~20)=白木峰頂上(11:55~12:00)=浮島との分岐12:20=前白木峰頂上(13:15~30)=浮島との分岐14:25=白木峰頂上14:45=標高1300㍍の駐車場(15:20~35)=高岡17:10

■□■□ 同行者 □■□■
         比佐恵