元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
白木峰(1,596㍍)  仁王山(1,516.6㍍)
<富山県八尾町  岐阜県宮川村>
平成14年04月08日





 予想通り「21世紀の森」管理棟前のゲートは閉ざされていた。この場所から歩くつもりでいたが、気にしていたのは雪量であった。
白木峰にもステキなブナ林がある。

 バンガローが建ち並ぶ中を通り過ぎて林道に出た。車でも来れるんじゃない! と言う間もなく、根っ子の付いた大きな倒木や、崩れ落ちた岩が散乱していた。その先も、片斜面となって、雪が付いていた。また、雪が溶け道の半分が、川のようになっている所もあれば、乾いた道に、砕けた石だけが散乱している所もあったが、後は普通の舗装された林道を歩いた。
悠々漫歩で雪の山を!

 小一時間で標高880㍍の登山口に着き一服である。三年前は、今回よりも一週間程遅く来たものだが、登山道は雪がビッシリあった。
 今年は、暖冬のせいなのか雪解けもかなり早く、標高にして300㍍上でまた林道に出るのであるが、その登山道の半分程は雪なしであった。雪が現れても、雪を拾って歩かなければならず、枝の跳ね返りや空洞に足を取られたりして、とても快適な残雪期の山の状態ではなかった。
穏やかな尾根筋を行く。

 標高1170㍍地点で再び林道と顔を合わせるわけだが、一面の雪とは言い難かった。
 しかし、ここまで来ると、歩くのに障害になるような樹木は殆どなくなり、ブナの木を見ながら、標高1300㍍の駐車場の上に来る。五箇山バックに写真を一枚撮り、次の林道までの急斜面に取り付く。ここは夏道でも結構息の上がる辛いで所で、雪の斜面を見上げて、「山ノ神」の足が竦んでいる。
もう少しで頂上。バックは仁王山。

 時刻も10時半を過ぎて、雪の硬さも緩んできているし、
 「先週の中山より緩やかだ。」
 「滑り落ちても一番下まで行かない。」などと、なだめたりすかしたりしながら、雪量が少ない分だけ小枝が向き出たりしているので、それにつかまったりして、林道に駆け上がった。
 フーフー言いながらも引き返すわけにもいかず、観念したかのように、10㍍位林道を歩いて、次の斜面に取り付いた。林道には吹き溜まりのように大量の雪がビッシリと付いているが、次ぎ行く斜面への道は少し土が露出しており、ここでも少ない雪を感じた。
白木峰付近から金剛堂山を望む。

 しかし、後は、次の林道が何処にあるのか分からないくらいに、雪量が増え、アルペンムードとなる。
 左は切れているが、緩やかな斜面を思うがままに進めば白木峰に頂上であるが、頂上とその付近には、雪がないのである。
 風衝草原と言われるだけあって、雪が吹き飛ばされてしまうのであろう。  白木峰に着いた途端に、「山ノ神」が、「仁王山に私が行くと足手纏いになるから、あなた一人で行っておいで。」と、この頂上に残留を決め込んでしまったのである。
白木峰頂上付近から
避難小屋を見下ろす。

 「片道30分だよ!」「意外と近いよ!」などの誘い水には、一度「仁王山」の山頂を踏んでいる事もあって、耳を傾けようとはしなかった。
「往復1時間。写真撮影に20分。計1時間20分で戻るから!」
「私はこの頂上から、仁王山の頂上に着くのを見ているから!」になってしまった。
 カメラと三脚など必要なものだけを持って、仁王山に出掛けた。避難小屋の後の尾根から下る所の雪が少し裂けていた以外は、最低鞍部まで快適に飛ばす事出来る。
 遠くに離れているように思える谷を挟んだ向側の仁王山は、あっと言う間に行けるのである。鞍部からクヌギなどのブナの仲間の樹木に「赤の境界見出し票」なるものが、時々見えたから、無雪期でも来れるのかもしれない。
 三年前に来た時は、帽子が飛ばされそうな強風で、オチオチ三脚を立てておれないくらいだったが、今回は、白木峰や金剛堂山などをバックに思う存分撮り捲くった。もちろん細い木に小さな看板が取り付けてあった前でもシャッターを切った。
 そのくらいにしておけばよいものを、鞍部ではまたリックを降ろして小さな雪庇を、またもう少し上がった所では、クレパスを撮ったりしていたもので、息をハーハー言わせながら、白木峰頂上に戻ったのは、24分間の遅刻となってしまった。


仁王山から白木峰を望む仁王山頂上で白木峰と仁王山の鞍部

 これでは、さぞかし「山ノ神」ご立腹かと思いきや、お愛想で一本の缶ビールだけ、雪の中に埋めてあったが、残りの3本は既にカラになっており、誰もいない雪山の頂上のベンチで大の字になって休んでいた。
 これには流石にウーンと唸ってしまったが、「帰りの運転の事も考えて、私が飲んでおいた。」には、事の他参ってしまった。
 その後30分程ラーメンを作ったりして過ごし、ゆっくり管理棟まで3時間ほど掛けて下った。
 朝早くから車があり、遅くなっても帰って来ないので、心配していたと、人のいい管理人の津田さんが愛嬌を振りまいて近づいて来られた。5月下旬~6月上旬にならないと、林道が通行可能にならないとの事を聞き山を降りた。



★★★コースタイム★★★
高岡5:45=21世紀の森管理棟前(7:00~30)=標高880㍍の登山口(8:25~35)=標高1170㍍の林道(9:30~50)=標高1300㍍の駐車場の上(10:25~35)=林道10:50=白木峰頂上(11:40~12:00)=仁王山との鞍部12:20=仁王山頂上(12:38~58)=最低鞍部13:02=白木峰頂上(13:54~14:25)=林道14:45=標高1300㍍の駐車場の上14:50=標高1170㍍の林道15:25=標高880㍍の登山口(15:55~16:00)=管理棟前(16:55~17:10)=高岡18:35

★☆★同行者
        比佐恵