元  さ  ん  の  山  歩  き
大 熊 山 (1,628m)
<富山県 上市町> 平成17年05月03日




大熊山頂上で、剱岳をバックに




 3人の子供達が帰省している中、「早く帰るから!」などと言いわけして、大熊山に行く事にした。「山ノ神」にしてみれば、もうチョット「楽な山」がないかと言いたげであったが、それでも「牛岳」のような近くの山は嫌なようであった。
 私は、大熊山に未だ1回しか登ったことがなく、デジカメでどうしても、「大熊山からの剱岳」を撮りたかったのが理由でもあった。
 また、大宴会をするわけでもなく、ゆっくり行っても、午後5時までには帰宅出来る確信があったからでもあった。
 それにしても、私が昨日牛岳から戻った後、小又川にコゴミ採りに来ているのだから、可笑しな話である。


小又川の駐車スペース コット谷への林道ゲート 林道には、まだ多くの残雪があった

 小又川出合から林道を少し上がった一番目の堰堤近くに車を止めたが、ゲート前と合わせて、もう4~5台の車が止まっていた。準備をしていると、次から次と車が上がって来た。
 始めから林道歩きと決めて出発しようとしたところへ、「ヤーッ」と声を掛けて下さったのが、「しずかさんご夫婦」であった。彼らは当然テレマークスキーを楽しみにコット谷を目指されるであろうから、「私達は遅いので、お先に!」と一足先に歩き始めた。
  除雪されて間もない林道を、先月の小又川遡行を思い出しながら歩いた。コット谷の出合に近付くと、山側斜面の雪が多くなった。
林道歩きを終えてコット谷の出合へ 除雪されたばかりの林道 コット谷出合の雪は溶け始めていた

 コット谷に出たら、先月と比べて雪面が大きく裂けていた。工事用の鉄製の橋板が外されていている所を足を濡らして渡るのもイヤだし、左岸のヘリに沿って行く事になる。ゴーっと流れる上に架かる薄い雪渓を渡るのもイヤだし、遠巻きにして安全と思われる先で渡る事になる。

広いコット谷を行く 登るに連れ振り返るとブナクラ谷が・・ コット谷上部の大きなブナの木の横で

 コット谷の雪上に出れば、そう急ぐ事もない。ゆっくり楽しみながら歩けばよい。振り返って、ブナクラ谷を中心に、右は赤谷山、左は毛勝の山々を眺めながら・・・・そのうち剱岳が頭を持ち上げて来る。
 (富山の殆どの山から、立山・剱岳を望む事が出来る。その中でも、剱岳の先鋭な山容は、いとも簡単に何処からでも確認出来るのである。)


コット谷上部 コット谷上部の急登 鞍部から大熊山へ向かう

 急斜面を登り切ると早乙女岳と大熊山の鞍部に出るが、休憩にちょうどいい。剱岳からの北方稜線の山々が見え、ブナクラ谷とも対峙しているかのようである。
 また、登山者が米粒のように見えるように、コット谷の広さ・大きさを知る事が出来る。鞍部から早乙女岳や大日岳への穏やかな稜線が、何となく急峻に見えるのは、カメラを立てて撮るのと同じで、私の錯覚であろうか?


コット谷鞍部から剱岳を望む コット谷上部からブナクラ谷・毛勝の山々を望む

コット谷鞍部からコット谷を見下ろす コット谷鞍部から早乙女岳の稜線を望む

 鞍部から大熊山頂上までは、標高差にして約150m。この時期としては、少しのヤブがなく、快適そのものであった。剱岳を仰ぐ角度がだんだんと良くなり、毛勝の山々も山頂横の見えて来る。
 そして、兄弟のように大きく向かいに見える早乙女岳の後方に、三角の大日岳のてっぺんが見えて来る。


1,560mで剱を見ながら休憩 稜線歩きは意外と快適! 頂上目指してもう一頑張り

 大熊山頂上は、正に剱岳の展望台である。兄弟分の早乙女岳より標高は低いが、剱岳を仰ぐには大熊山に軍配が挙がる。台地は三角点より北東に細く続く。毛勝の山々を眺めるにはその鈍尻がいい。
 久し振りの大熊山故に、どっしり腰を降ろして剱岳と対峙した。しばらく何も喋らず、じーっと眺めていた。高さばかりでなく、速さばかりでもなく、そして、大人数でもない山行を、思い出さなくてはいけないような気持ちになった。


頂上から毛勝の山々を望む 頂上から大日岳を望む 頂上から剱岳を望む

 8年前、宮村氏に誘われて、大熊谷を下ったのだが、その谷を探してみた。
 「こんな所を下ったの?」と「山ノ神」が怪訝な顔をしたが、今日は参加できなかった中山君と、青春の一ページを語るに、この大熊山も外す事の出来ない山である。
 下山時、山頂に近い所から、直接コット谷に下ろうとしたが、「山ノ神」がびびってしまい、正規のコースであるコット谷鞍部に向かった。




 ■■■ コースタイム ■■■
高岡5:30=小又川林道入口(6:35~55)=コット谷出合7:40=コット谷1,044m(8:30~45)=コット谷1,332m9:30=コット谷鞍部(10:05~10)=大熊山稜線1,560m(10:25~30)=大熊山頂上(11:00~12:40)=コット谷鞍部13:15=コット谷出合(14:10~20)=林道入口(15:10~20)=高岡17:00

 ■■ 同行者 ■■
       比佐恵