元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
大 猫 山 (2,070㍍)
<富山県魚津市、上市町>
平成14年09月15日




 午前3時「烏帽子岳」行きを中止にした。雨が降っているから中止にしたのだが、何だか力が抜けてしまった。テント泊で「野口五郎岳」を含めた先月の計画も、天候に恵まれず計画を中止にした経緯があり、意気消沈である。しかし、「山姥グループ」一行の魚津午前7時発の「白鳥山」行きには、「山ノ神」が雨も止むと自信を持ちながら、もう一眠りに入った。
 私は、無気力のまま、PCの前で、何する事もなく、それこそボーっと過ごしてしまったが、午前6時過ぎには、雨も上がり、割り切れない気持のまま、魚津までの運転手となってしまった。午後4時過ぎまで、「山ノ神」を魚津に迎えに来るという条件のもとに、何となく、蓑輪を通り馬場島へ車を走らせていた。大倉山・中山・赤谷山・猫又山の名も浮かんだが、時間的の事も考慮し「大猫山」に決めた。


 今日は日曜日で、既に10台の車が止まっていたが、午前8時過ぎなのに、大猫山へは、私が先陣らしい。標識は、駐車場の真中左側(山側)の平らな石に、赤色のしかなく、初めての人などは、結構間違えるらしい。「大猫山」などの文字は一切ないのである。 最初から急登で、息を切らしながら登らなければいけない。晴れて視界が良ければ、最初から樹木の間に剱岳を見る事が出来る。また、黄や赤の紅葉時も素晴らしいが、晩秋から初冬の時期で、落葉してしまった樹木の間から広がる視界は、晴れればの条件付であるが「剱岳」は実に良い。   ( 標高1500㍍からの剱岳 )
剱岳北方稜線上にある「赤谷山」と、そのピークから派生している赤谷尾根。“ 夢に描いた剱の山にヨ、意気と力でネぶちあたるヨカネ!” と歌う「剱の歌」に “  剱見るなら赤谷尾根でヨ、大窓、小窓に三ノ窓ヨカネ!” と続く。ブナクラ谷取水口にある駐車場は、大猫山を始め、猫又山や赤谷山を登るのに利用されているが、シーズンの土曜日曜日になると、白萩川に架かる木製の橋周辺まで下がらないと、駐車出来ない事もあるらしい。余談だが、ブナクラ修復グループの辰口氏が、赤谷山に100回登りたいと言う噂を聞いたと尋ねてみたら、ニヤニヤして応えてくれなかった。満更でもないのかもしれない。赤谷尾根に登山道の夢をもっているらしい!
後から撮れば良いと思って、その通りになった事が殆どない。今日もこれが最後だと思ってシャッターを切った。元々、計画していた山行を中止にして、やって来た山だから、そんなにも展望を期待していたわけでもないのだが、人間とは欲張りなもので、少し良いとまたその上を望む。大猫平の展望と比べれば、高度も違うし、周りの樹木のあるないが違う。速足ならば、1時間前後で来れる標高1500㍍地点だが、ヨタヨタになった下りでは、この地点から登山口まで、転んだり滑ったりして結構辛いのである。 ( 大猫平や頂上からと、少し角度が違うが、魚津市から見るような剱の形である。 )
 一瞬ガスが切れて、毛勝三山の最高峰「釜谷山 2,415㍍」が顔を覗かせた。山頂の風衝草原の上に、ぽかっりと浮かび上がった感じだが、右にある猫又山は見えない。 その猫又山までは、この東芦見尾根を辿れば行けるのであろうが、無雪期は結構ヤブが煩いのだろうか、私は未だ知らない。 片貝川南又谷から、「猫又山・釜谷山」に登ったのが懐かしい。その後何度となく、この「大猫山」と「鬼場倉ノ頭」を試みようと思ったが、南又谷入口ゲートの錠が頑なに閉ざされて、容易に受け入れてくれなかった。 昨夏、ブナクラ修復グループによって、切り開かれた登山道のお陰で、難なく剱岳の大展望台に立つ事が出来るようになった。・・・・・・・・・・
5回目の山頂は、昨年10月に登った以外は、全く剱岳を仰ぐ事が出来ない。今日も標高1500㍍まで、ほんのチョット“てっぺん”の山容を見せてくれただけで、涼しい以外は何の楽しみもない。しかし、独特の風衝草原の様相を呈している山頂周辺は、ガスに覆われているというものの、それなりの雰囲気があるものだ。福光から来たと言う中高年男女7人グループは、“ここが頂上ですか?”と私に尋ねて来た。そう言えば、登山口で、赤谷山にでも行くのかと思っていたグループが、取水口の階段を再び降りて来て、「大猫山」の登山口を探していたグループだ。彼らは矢継ぎ早に宴会を始めた。
 下山時の一瞬のガスの切れ間をついてシャッターを切った。大猫山は大猫平まで、標高1400㍍と標高1500㍍付近以外に、休息として適した場所がない。 また、急登につぐ急登だけに大猫平に着くと、誰でもが、その風衝草原の光景に感嘆の声を上げる。 夏は、チングルマやハクサンコザクラの群落に遭遇して、また秋は萌えるような草紅葉を目の当たりにする事になる。 後立山連峰の鹿島槍ヶ岳や五竜岳の勇壮な山並を、北アルプスの重鎮「剱岳」の脇役として見るかどうかは、その人その人の感じ方次第であろう。☆☆☆ ( 山頂を後にした帰路、ガスの切れ間から大猫平を撮る。)
 「大猫山」は、花の宝庫。夏にはあれだけ所狭しと、咲き誇っていた花々も、9月中旬となると「リンドウ」と「アキノキリンソウ」だけになったと言ってもオーバーではない。大猫平や頂上付近の風衝地帯でも、チングルマが花を落として、稚児車のように風に吹かれていた。・・・・・・・・・・・・・・・・「秋の花」オヤマリンドウは、茎の先端に多くの花を付けるが、濃紫色の花冠は、平開しないようである。リンドウは、種類が多く、リンドウ科リンドウ属だけでも、エゾリンドウ、ハルリンドウ、タテヤマリンドウ、フデリンドウ、コケリンドウ、アサマリンドウ、リシリリンドウ、イイデリンドウ、ミヤマリンドウ、クモイリンドウ、トウヤクリンドウなどがある。


 山頂での滞在を1時間にした事、下山はバランスが悪く何度も何度も滑って転んでしまった事、登山口で、ブナクラ峠まで行って来たと言う福井の人と、少し話し込んだなどで、魚津到着が50分も遅れてしまった。しかし、「白鳥山」行きの「山ノ神」一行は、私よりも30分も遅れて到着したため、怒られずにすんだ。


★★★コースタイム★★★
高岡6:15=魚津7:05=馬場島=登山口(8:05~20)=標高1400㍍地点(9:05~10)=標高1500㍍地点(9:38~48)=大猫平(10:50~1100)=大猫山頂上(11:50~12:50)=大猫平13:20=ヤセ尾根13:45=標高1500㍍14:15=登山口(15:35~55)=馬場島16:00=魚津(16:50~17:20)=高岡18:15

★☆★単独行