元   さ   ん   の   山   紀   行
大 猫 山 (2,070㍍)
<富山県魚津市、上市町>平成16年10月11日




<意外にもガスが切れ、剱岳が雲上に浮かび上がって来た>
<剱岳の大窓>
<左から、大窓・小窓・三ノ窓>
<三ノ窓と小窓の王>


 一週間前のkyuさんのHPの記述に、「もう、二ヶ月も山に行っていない。」「入院療養中のお母様の退院が決まった。」「大猫山に興味がある。」などが目に入った。
 私は簡単な気持ちで「大猫山に来てみたら?」「亀のような歩きの山ノ神も同行ですが、お友達を誘って富山にお越しください。」のメールを送ったのが発端!

ブナクラ取水口の駐車場で
 クルクルと、まるでオセロのように天気予報が変わった。前夜に「もう、雨の心配はないようです。」と最終メールを送ってから雨が降り出すありさまであった。
 「雨でも来ます。」と強い山への憧憬を感じ、尚更晴れて欲しかった。

 午前3時に起きると、星も月も出ている。良かったと胸を撫で下ろしたも束の間、出発の午前4時頃からまた雨が降り出してしまい、馬場島に近付くほど強くなり、先行きが不安になった。
 未だ暗い5時20分頃に馬場島に着いたが、何となく雰囲気が漂い、すぐkyuさんの車に横付け出来た。
 「雨ですね!」と言いながら、予想をはるかに上回る若い二人の女性に、こっちは「おっさん」と「おばはん」である。チョット申し訳ない気持ちになったが、紹介役の松尾さんが私よりチョッピリ年上なので、気を落ち着かす事が出来た。

 車中で、暖かいコーヒーを頂きながら、この天候では、どうしたものかと思案していたが、短時間で空模様が好転し始めたので、大猫山行きを決断し、ブナクラ取水口に車を進めた。

 取水口駐車場で、おなじみの辰口氏に出会う。今日も赤谷山だそうだ!赤谷山100回登頂まであと11~12回だったと思う。凄い記録である。福井の客人達に、辰口氏と一緒にカメラに納まる事を勧めた。彼も快く承諾してくれて、私がシャッターを切った。

 お互い必ずしも良くない空模様を気にしながら分かれたが、その内またご一緒する事を約した。
 同所にもう一人、思案していた方があった。新潟ナンバーの男性・宮丸氏である。「富山県の山」を頼りにブナクラ谷に来られたようであるが、怪しいお天気に決断がつかないようであった。
 しかし、ブナクラ谷に先に消えた辰口氏の後を追うより、“ 晴れれば剱岳の展望が良い。” また“沢を渡らなくてもよい。”の当方の発言が利いたのか分からないが、多分行く先大勢の方が良いと思われたのに違いない。(山頂まで、ずーっと同行となった。)


急登の途中で kyuちゃん早くおいでよ! kotamaちゃん頑張ってるのよ おおっ~疲れた!

   小雨の中の出発! 始めから急登! 15分も登れば客人達は雨具を脱いだ。まあ~、雨具を着ていてくれたお陰で雨が上がったのかもしれない。30分程で休憩しようと思っていたが、皆意外と強そうなので、もっと先に引っ張ってしまった。ゆっくり亀のようになどと言いながら、実はその速さがわからない。チョット休んでの会話も結構楽しいものであるから、ポイントに行かなくても適当に休むべきなのであろう。
 1400Pで休もうと言いながら、展望もないので通過してしまったが、1500Pまではなかなか着かなかった。(まだ~あ、という声が聞こえてきてしまった。)
 1500Pで、2度目の休憩となる。水分補給や軽く何かをお腹に入れるが、果物やパンが一番喉通りが良いようである。この場所も剱岳の展望ポイントであるが、今日のお天気では仕方がない。
 しかしである。山頂付近に青空が出て来たのである。パーっと開けては、またガスに覆われるが、その繰り返しで、だんだんと良くなって来たのである。期待を持たせる展開になって来た。
   1500Pからの下りにロープの付いた大きな一枚岩がある。チョット気にかかる所であったが、やっぱりアクシデントがあった。松尾さんが華麗なスリップをし、腕に痛々しい傷をつくってしまった。しかし、女性軍に手厚い看護を受け痛みは吹っ飛んだようであった。この岩を彼のハンドルネームから、ryoma岩と勝手に我々だけの名を付けた。


大猫平から山頂付近 大猫平でバッチリ 大猫平の紅葉

 1500Pから青空を求めて、再び急登行く。大きな岩を回り込んで、狭い尾根に差し掛かった付近から、剱岳の稜線が浮かび上がって来た。
 「わーっ」と歓声が上がったと思えば、またガスの中に消えるといった具合。大窓・小窓・三ノ窓がくっきりと北方稜線の凹凸を強調しているが、肝心の本峰が姿を現さないのである。
 せっかく遠方よりの客人達に、何とか剱岳の雄々しい姿を見せてあげたいと思っていただけに、少しではあったが、その一角だけでも見えた事で内心ホットした。


大猫平を行く① 大猫平の大きな地糖? 大猫平を行く② 大猫平を見下ろす

 やがて大猫平に出る。紅葉はイマイチであるが、草紅葉もまあ~何とかである。
 山頂付近も眺める事が出来、風衝草原を気持ち良く歩く事が出来た。“ 夏ならば、高山植物が沢山咲くのだよ!” などと少々ウンチクを語るに至。
 各自思い思いのアングルでシャッターを切る。新潟の西丸氏には、シャッターマンになってもらって記念写真となる。

山頂までの標高差200mは結構厳しいのである。特に草地の急登・トラバースはしっかり草木を掴まないといけない。(下山時は尚更辛い。)
 標高2050~60mくらいの2070mの山頂まであと5~6分の所で、男性3人で三角点を探しに行く事になり、女性軍は先に山頂を極めてもらう事にした。
 池塘沿いにやや北に進み、尾根沿いに東にヤブを漕いだが、どうも三角点は、もう少し南寄りの所のようであった。沢状の所を下って登り返すには、山頂で待つ女性軍のためにも、チョット時間的にはどうかという事になり、引き返す事になった。ある程度のメドが立ち、そんな機会があるかないか分からないが、次は簡単?に見つけ出す事が出来そうである。
 コンロもガスも、またコッヘル、そして大事な冷たいものまで、皆こっちのリックに入っているわけだから、早々に山頂に駆け上がらなければ、お目玉を食いそうであった。“ チョットだけ!” と、女性軍と分かれて30分を経過したようであった。


山頂での宴会風景 ペナント 山頂で記念写真

 全員が山頂に着いたのが午前11時40分頃。早速ミニ宴会が始まった。キノコ鍋、しゃぶしゃぶ、網焼き、昆布締めなどなど・・・・・。
 ふぁ~っと、ガスが流れ剱のてっぺんがチョッピリ見えただけで、後はずーっとガスに中の山頂となった。しかし、暖かい物を口に入れ、少しのビールが雰囲気を盛り上げたのか、初対面の方々とは思えないほどに、次から次へと楽しい話が途絶える事がなかった。標高差こそ1100mくらいであるが、アップダウンが殆どなく、登る一方の大猫山は、東芦見尾根の一角にあり、同じ取水口から登れる赤谷山や猫又山に、一歩も引けを取らぬ「登り応えのある山」である。

 今日の山行機会を得られたのも松尾氏の尽力があってこそであり、kyuさんやkotamaちゃんの新しい「山の友」と、次ぎ行く山に、何んだか新風が吹き込まされそうな期待を抱かさせてくれる楽しみが嬉しい。
 2時間の山頂滞在に、下りは小雨が降り出してしまったが、何もかもが楽しかった。でも、初めての大猫山の印象を剱岳の大展望台から、ぬかるみと根っ子だけの山(おおねっこ山)になるのではないかと、少々心配であったが、また「富山の山」に来られ!と硬く握手した。


 

   ★★★ コースタイム ★★★

高岡4:00=馬場島(5:20~6:00)ブナクラ取水口(6:15~35)=1500㍍(8:15~30)=大猫平10:05~~三角点探索~~大猫山頂上(11:15~13:35)=大猫平14:10=1500㍍(15:20~30)=取水口(17:00~?)=高岡 (時計が故障?で必ずしも正確でない。)

   ☆ 同行者 ☆
            松尾・kyu・kotama・比佐恵