元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
大 高 山 (1,100.3㍍)
<富山県    細入村>
平成14年02月05日




 1,000㍍を超える山だけに、この時期に登れるとは思ってもいなかった。一週間前、小佐波御前山へ行く前に取付きを確認して来たのと、小佐波御前山登行時に、雪質、雪量を考えると、この「大高山」にも行けるのではないかと思うようになり、「大双嶺山」行きの次の日に予定を入れた。私の持っている書籍やインターネット上のHPにも記載例が少なく詳細に記述してあるものはなかった。
 前週は、"高山線のガードを潜って。"が、分からず、「猪谷駅前にいた人、郵便局員、整備工場の駐車場にいた人、電柱工事をしていた人などに聞いて、ようやく高山線を越える事が出来、神社、寺院を見つける事が出来た。(当HP,「山の情報」の「富山の山」を参照)目的の山に登るのに取付きが分からず、随分時間を費やしてしまう事があり、時には戦意を喪失してしまう事さえある。


寺院の駐車場が登山口一寸休憩!急斜面での休息左、大谷961㍍峰 右、洞山

 自宅を出る前に、PCで、天気予報を見ると、昨日の予報と打って変わって、"曇り、午後3時には雨で降水量1㍉。"であった。「山ノ神」との二人パーティで、何処まで行けるか分からないが、お昼には、下り始めたいと広いお寺の駐車場から出発した。
雪の壁を急登する

 意外にもトーレスがあり、「山ノ神」が、それを辿って、先行して行った。駐車場に積み上げてある雪の壁を乗り越えて、建ち並ぶお墓を右に見て、杉林に入るや否や右方向へ。私はもう少し南に、即ち左方向の杉林の真中へと思ったが、トレースに惑わされてしまった。砂防ダムのようなコンクリートの壁を見て、杉林の右側を行き、高度を上げる。右側の沢が切れ込んでくる所で、トレースがその沢で消えていた。対岸は、急斜面で今にも雪の塊が崩落しそうで、とても渡る気にはなれず、足元を確認しながら、杉林の上部に進路を修正する。帰路は、沢筋のルートに入らず、杉林に直接滑り込むのに間違わないために目印を付ける。
ブナ林で

 広いが急斜面を登行するにつけ、右側上部に鉄塔が見えて来るが、(目指す鉄塔ではない。)その電線の延長が、斜め前方になるためだんだん離れていくように感じる。歩き始めて40~50分程で、広い尾根になり緩やかになったところで、チョット一服とした。私のあまり充てにならない高度計は440㍍を指していたが、電線が見えなくなった。しかし、少し歩くと鉄塔の下部が見え出し、最初の目安地点で、鉄塔のある見晴らしの良い所に着いた。北西方面には、反射板のある洞山(831.8㍍)と大谷961㍍峰が、双耳峰をして見えた。東には「キラズ山」が…………。

 「本間さんではないですか?」突然息を弾ませて登って来た男性に声を掛けられた。メールに添付された画像を思い出した。「大平さん?」毎日のように「元ちゃんの山歩き」を見ていてくれて、もしかしたら、この「大高山」に来ているのではないかと思って来たのだと言ってくれる。「どうして、私のHPに?」マイナーな山を検索していると、私のHPによく出くわすのだとも言ってくれた。何度かメールをもらい、お返事を出してはいたが、こうやってお会いすると、とても初対面とは思われず、山の話にそれこそ花が咲く! この時期のこんな山に、そして、このような天候では、とても単独では、登れないとまで、意見が一致して、一緒に登る事になる。

初対面の「大平さん」「山ノ神」の山座同定感じのいいブナの林にて標高1,000㍍付近で

 目の前に大きく聳えて見えるのは、おそらく888㍍付近のなだらかなピーク?であろう。右手に洞山、大谷961㍍峰、左の谷の先にやはり鉄塔を見て、ファージーな杉の中に入る。その先は、急な斜面からはっきりした尾根に続くのだが、これも急登である。大平君が元気にドンドン進んでいってくれる。あまり沈まないといえ、急な所の膝までのラッセルは大助かりである。
大高山登頂した三人です

 日頃はすぐ一服の「山ノ神」も今日ばかりは、そうそう休んでばかりもいられない。山行慣れで、少しは早く登れるようになったのだろうか?それとも、若きお兄ちゃんの出現で、ハッスルしているのか定かでないが、非常な頑張りである。
神通川対岸の山々が見え、「六谷山」「横岳」「天蓋山」などではないかとお互い言い始めたが、脚力は少々劣っても、山座同定となると実力を発揮する「山ノ神」曰く、"山と山との間に神通川が流れているから、こちらの山は、対岸に与えしない。"いっぺんにトーンダウンして、ザックから地図を取り出した。正にその通りであった。
大日岳の上に、チョッピリ見える剱岳

 じわりと背中に汗を感じながら、登り切ったややなだらかな風当たりの少ない所を選んで小休止としたが、私を何時も悩ます高度計なのだが、ほぼ正確に800㍍を指している。この休みの間も、「山の話」の連続である。休憩時はいいのだが、登行中の対話は、さすがに息が上がってしまう。若き「援軍」は、凄い体力の持ち主である事を改めて感じる。
 地図上では広い尾根を、ブナの木が独特の雰囲気を醸し出している。「宿り木」に時々目を奪われ、立ち止まってしまうが、数㍍もない起伏を幾つも越えながら、“ガスると下りが怖いね!”と盛んに言い合って前に進む。歳の差を越えて、数年来の友人のように、新しき友人と語りながら歩く。
やがて、900㍍から950㍍付近に差し掛かると、前方に谷が現れ、ファージーな尾根も、西から南に折れ立派な尾根になる。
大高山頂上に小さな標識を付けて

 ブナの大木越に右には槍ヶ岳を始めとする北アルプス南部の山々が、左には、大日岳の上に剱岳の頭の部分が見える。一息入れた後、最後の登りにかかる。何年も前までは、この「大高山」の名さえ知らなかったのに、時間の経過と共に、ブナがあり静かな山に改めて惚れてしまいそうである。小さく見える北アと共に、岐阜県境の山々と、東西笠山や鉢伏山などの有峰周辺の山々も、何時もより個性的な山容を見せていた。
 あと25分の急登は、何時ものことながら、頂上と思って頂上であった事など一度もなく、その先に必ずもう少し高い所がある。今回も、もう一度心を奮い立たせて頂きに望んだ。歩き始めて4時間余、大平君の計らいもあって、3人一緒に頂上を極めた。
 この時期に、この高さの山に登れた事や、越中の百山の1座に登れた事の喜びもあるが、何よりも嬉しかったのは、薄ぼんやりしか見えなかったが、剱岳を望めた事であった。視界が利かぬ頂上より、一段下がった所で、その剱岳と魚津や黒部の山々を眺めながら、遅くなった昼食となった。




★★★ コースタイム ★★★
高岡6:15=大高山登山口になる寺院の駐車場(7:25~38)=杉林上部8:05=鉄塔(8:47~50)=標高800㍍付近(9:45~10:00)=標高900㍍付近10:26=標高1,000㍍付近(11:00~17)=大高山頂上(11:55~12:55)=鉄塔14:05=車(14:25~40)=高岡

☆☆☆同行者☆☆☆
      大平、比佐恵