元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
大鷲山 (817b)
<富山県 朝日町>
平成13年02月18日






境川河口附近から

 境川河口付近の8号線から、左岸を3キロ遡る手前300bにある石垣に、鉄製の梯子が掛かっている。大鷲山東尾根の取付きである。腰痛で山行が出来ずに嘆いていた2週間前、この取付きを探索しに来た時、通り掛かった地元の老人に、大鷲山の事を尋ねたが「そんな山は知らない!鉄塔まで点検道があるだけだ。」の返事だった。
左奥が白鳥山



 海に近く標高50bながらも積雪の多いこの地は、石垣の梯子を登って続くその点検道も雪の下で、始めからカンジキ装着である。大きな杉林の高い所を、只管登るのはいいのだが、急登の上に、気温が高く雪が腐っていて、思わぬ程まで沈み、先頭者は大変だ。やがて、頭上に電線が現れると、栂海の山並みも見えて来る。尚も登り続けると、左側に大きな谷が現れ、第一の鉄塔の下に着く。雪崩防護柵が目立ち、また右手奥に第2鉄塔が見える。構わず雑木の中を稜線に向かって直登し、第2鉄塔に着いた。384bのピークまでは、穏やかな心和む道筋なれど、大鷲山の山頂は見えずまだまだ遠いのである。
384bのピークから犬ヶ岳


 白鳥山、犬ヶ岳の栂海の稜線と、白く輝く初雪山の奥深さと秀麗さに感嘆し、また、一昨年の焼山、黒菱山行きのルートを目で追ってしまった。384のピークは、この上ない絶好の展望台である。
初 雪 山



殆ど下る所がないくらい、なだらかで広い尾根筋を快適に登る。左側は水上谷側の斜面があり、右側は470bと553bのピークが繋がる尾根の間の谷が続き、おおよそ間違う事はない。“少し登ってはなだらかに”を何度か繰り返しながら、疲れては初雪山を、汗を拭いては犬ヶ岳を眺めていた。どれだけ眺めても飽きないその山々に、雑木がなければ最高なのだが、低山の宿命かな!
大鷲山山頂への稜線


   三人で順次先頭を交代しながらの登行中、右側の尾根筋に視線をやると、何と雪に覆われながらも、その尾根を林道が貫いているではないか。先に述べた老人が「今秋、烏帽子からの林道が通じる。」と語った事を思い出した。笹川側から烏帽子山(484b)を経由し大平に林道が通じると言う事なのだろう。
 やがて、否応なしにその林道に出てビックリ! 我々の歩いて来た尾根と林道との段差がない位の雪量である。丁度、カーブミラーがあったが、10a程オレンジ色の頭が見えるだけであった。また、林道を越えて、次の尾根の取付きも、斜面に吹き付けてあるコンクリートの壁を、大量の雪のお陰で苦労しなくて登る事が出来た。
大鷲山頂上で



 3時間も歩くと、「あまり休んでいないね!」「あのピークが頂上?」と言う言葉が多くなってくる。相変わらず起伏の少ない尾根を、根気よく登るが、一寸高く見える所が、目標のピークかと思う事がしばしばだった。
 高度計が高い数値を示すので、何のためらいもなく、一つ先のピークと勘違いしてしまい、皆の志気を、落としそうになった時は困ってしまった。よく考えれば、先の右から来る尾根と、合流するのが600b前後、それから、少し痩せた尾根を越えて、広い尾根に出て、南に進路を変える所が、749bのピークで、急に海からの風当たりが強くなってきた。
 笹川側からのルートと思われる沢筋と、水上谷の支沢が押し上げて作る尾根に、張り出す小さな雪庇を慎重に渡ると、後はもの凄く広い尾根の斜面を自由に登ればいい。でも、復路の時、視界不良の事も考え、数ヶ所目印のテープを付けた。
大鷲山山頂付近からの初雪山



 南北に長い大鷲山山頂は、風当たりが強く、帽子が飛ばされて、とても休息出来る状態ではなかった。でも、“頂上の目印がないか”、また“何処が一番高いか”など、何時また来れるかわからないので、悔いのないように捜した。
 一番高いと認めた所で、初雪山を拝み、記念写真を撮り、特製の看板を取り付けた。
頂上直下の風のない所で昼食


 風当たりを避け、頂上と認めた地点から、100b位北に寄った所で、待望の昼食となった。午後1時15分。何時雨が落ちるか分からない状況に、大宴会からミニ宴会に換え暫しの休息とした。持参したスコップで穴を掘り、コンロの風当たりを防ぐのとベンチを作った。
 朝寝坊をして出発が1時間遅れた事が、宴会時間の短縮となった事に中山君が恐縮していたが、雨が近い展望は、山並みをなお鮮明に浮き出してくれると慰めた。
 しかし、ミニ宴会といいながら、このメンバーでは、何時も時間オーバーになってしまうのである。
なだらかな尾根を下る



 頂上への最後の急登も下りは、広さも手伝って、思うがままのルンルン気分で駆け降りる。その速さ故、シャッターチャンスがなかなか生まれない。
痩せ尾根を下る


 痩せた尾根を渡るのに、おっかなびっくりだった家内も、慣れたからか、それとも大好きなビールが飲めたからか、分からないが、何の抵抗もなく下りて行く。カンジキの紐が外れたとか緩んだ以外は、何の障害もなく、順調に下りた。
 でも、3時過ぎ、とうとう雪っぽい雨がやって来た。大降りではなかったが、雨具を纏いリックカバーを付けた。
雪庇を避けて慎重に下る



 雨が大降りにならないうちに、どんどん下りたかったが、久し振りの長丁場に、疲れを感じてか、二人のピッチが上がらない。でも、林道を越え、第2鉄塔の戻った頃は、雨もあがった。急登した斜面も一足飛びに下り、第一鉄塔からは、暗い杉林中に入ったものの、すぐ取付き地点に辿り着いた。
 石垣の上でカンジキを外し、鉄梯子を降りて、車に戻る時、2台のスキーを積んだ車と擦れ違った。おそらく山姥の洞あたりから、白鳥山方面への山スキーの帰りだろう。車の彼らは、カンジキを手に持ちリックを背負った姿が、どのように映ったであろう!   
北東方面(日本海と黒姫山)




水上谷、大平川、上路川の流れを集めて境川になって日本海に流れ込むが、海辺いっぱいに張り出した山並みは決して高山ではないが、優しく美しく映る。曇りがちの天候では、日本海も黒々として鮮やかではなかったが、親不知の右奥に、これも海に近く登ってみれば感嘆する黒姫山が懐かしい。




     ★★★コースタイム★★★

高岡5:50=大平取付(7:30〜50)=カンジキ装着8:00=電線8:25=第1鉄塔(9:12〜20)=第2鉄塔(10:05〜22)=林道11:08=大鷲山頂上(13:15〜14:15)=雨具装着15:05=林道15:15=第2鉄塔(15:45〜50)=第1鉄塔16:05=電線16:20=取付16:30=車(16:33〜50)=高岡18:45

     ☆☆☆同行者☆☆☆
           中山、比佐恵