元    ち   ゃ   ん   の   山   紀   行
早 乙 女 岳 (2,050㍍)
<富山県 上市町 立山町>  平成15年05月06日



 昨日の「熊尾山~西笠山」行きで、修理した靴の具合が悪く、両踵に久々の見るも無残な大きな靴擦れを起こしまった。そのような足で、山行など出来るのかと「山ノ神」は心配したのだが、過去に靴擦れが化膿し、リンパ腺がはれて歩く事が出来ず、山中で2日間も沈殿した事があるなど、大きな修羅場を渡ってきた事があり、“靴を履いてしまえば大丈夫だよ!”と約束の「早乙女岳」に向かった。
林道の大きなデブリを渡る

 車をデボした午前6時40分は、雪の緩みを考えると遅い出発であったが、昨日の山行や我家の事情からして仕方がないのであった。林道入口のチェーンが外れていたが、その手前に車を止めた所が標高630㍍くらい。大きなデブリが一ヶ所あった以外は、単調な林道歩きを1時間位我慢しなければいけない。

 コット谷出合から、左岸に沿ったがその先が不透明で、少し下って浅い流れを渡って、雪上の乗るまで、コット谷の砂防工事のために作られている道を辿る。


コット谷出合 コット谷は、広いなだらかな谷 コット谷を行く「山ノ神」 鞍部付近の斜面を登る

 そして、“ 広い谷の底をイモ虫のように ”と、「とやま山歩き」に表現されている早乙女岳と大熊山の鞍部を目掛けて緩やかな登りが始まる。標高差550㍍位、直線距離で2.5㌔位であろうか、スキー場のようなコット谷は、デブリで、もたらされる倒木や雪魂、また土砂の類は他の谷ほどに気にならない。昨日までの大型連休に、多くの登山者や山スキーが楽しんだトレースやシュプールがそのまま残っている。
 高度を上げると、早月川対岸にブナクラ谷を挟んで、右に赤谷山、左に東芦見尾根が浮かび上がって来る。更に高度を上げると、東芦見尾根の上に、猫又山や釜谷山などの毛勝の山々が、少しづつ顔を出して来て、確実に自分の足で高度を稼いでいる実感がする。

コット谷鞍部チョット
上部付近から「剱岳」を仰ぐ
「剱岳」をバックに撮るのは
何故か嬉しい
早月川対岸のブナクラ谷の
奥は後立山連峰
広いなだらかな尾根を
山頂に向かって行く

 4度の小休憩を挟みながら、ようやく鞍部に着いた頃は、午前11時を回っていた。鞍部よりちょっと早乙女岳よりの見晴の良い所で、腹越しらいとなる。途中でコーヒーを沸かすなど、過って、そういうことなどなかったほどの大盤振る舞い(笑)で、ちょっと疲れが出始めた「山ノ神」の鋭気を養った。コット谷で、赤谷山の右に少しづつ見え始めていた「剱岳」も、ここまで来ると立派な山容を見せてくれる。
 “ あと、どれだけ?” “標高差500㍍、1時間半かな!君の頑張り次第だよ!”の会話の後、なだらかに思える広い尾根を登り始める。登り始めから5時間を経過すると、「山ノ神」のペースが極端に落ち、少し傾斜がきつくなると立ち止まってしまう。

樹木の間から「前大日岳」 称名川を挟んで弥陀ヶ原と薬師岳 山頂で「大日岳」をバックに

 「いつ止めてもいいよ!、でも、もうちょっと行こうよ!」  誰も登って来ないし、下って来ない静かな山に、自分のペースで歩けば良いし、早さだけを競うのが山登りではない。少々山頂に着くのが遅れても、今日の条件下では、下りではそう時間を要する事もなかろうと思っていたし、ゆっくり歩かなければ、もったいない過ぎるではないか。
 そう言っている間に、後方の「大熊山」は、だんだんと小さく低くなっていき、右手には樹木の間から、過日登った「前大日岳」のなだらかなピークが見え、“ その先に雪見平、あれからぐーっと下がった所に、文登研の前進基地があるんだよ!” などと、「山ノ神」の行けぬ山の一座を目で追わせていた。
 剱岳も早乙女岳に隠れてしまってからは、いよいよ「山ノ神」の足の動きが悪くなって行き、高度計の数字を目標にし、“ 後何㍍!”、それでも止まってしまった時は、“ 今度はあそこまで。”、などと目印を設定し励まし続けた。彼女自身、3年前は、こんなはずではなかったの思いが強かったと思うが、確実に歳を重ねている事と、その日のコンディションが悪かったのであろう。

シラビソのなだらかな山頂で 山頂から「剱岳」 山頂から毛勝の山々

 しかし、車から離れて7時間、シラビソが生えてなだらかな山頂に立てた喜びは、おそらく前回以上のものであった事であろう。目の前にある「大日岳」はもとより、弥陀ヶ原の後方の「薬師岳」やお馴染みの「鍬崎山」、腰を上げれば堂々の「剱岳」が黒々と聳えていて、眺めるに飽きることがなかった。
 “ 遅く着いたから休憩時間は1時間以内だよ!”と言っていたが、相変わらず時間オーバーとなった。しかし、その滞在時間が、身体と心の疲れを取り除いてくれたのか、雪上の下りを気持よさそうに駆け降りて行った。



 ■■■コースタイム■■■
高岡5:10=小又川出合(6:25~40)=コット谷出合(8:10~25)=標高1120㍍(9:12~25)=標高1232㍍(9:45~55)=標高1329㍍10:10=鞍部上部標高1525㍍(11:00~30)=早乙女岳頂上(13:50~15:15)=鞍部(15:45~53)=コット谷出合16:45=小又川出合(17:45~18:00)=高岡

 ■■■同行者■■■
       比佐恵