元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
白 木 峰 (1,596㍍)  
<富山県八尾町  岐阜県宮川村>
平成14年07月01日





ニッコウキスゲギボウシ

 今回企画していた中央アルプスの「木曽駒ヶ岳」「空木岳」行きは、雨のため中止にし、雨が降ったら「白木峰」としていたので、ニッコウキスゲの待つ風衝草原に向かった。
 早々にお天気の崩れを予想していたものの、私達が楽しみにしていた、「中ア」行きの日になって雨が降り出した。アクセスが長いから、登山口に着いてから雨になる事を思えば、出掛ける前に降ってくれて、良かったのかもしれない。


白木小屋裏の尾根筋で 白木小屋横から林道を見下ろす 青い屋根の白木小屋

 少し大粒の雨には、準備するにも力が入らなかったが、前日に牧野さんから、ニッコウキスゲは今が筍だと言う情報を得ていたし、この雨の日の山行は、あの黄色に染まった風衝草原を、独り占め出来るのではないかと期待も膨らんだ。
 いざハンドルを握ると、時々ワイパーを全開しなければいけないほどの雨には、これから行く山道の事を思うとあまり良い感じではなかった。
 しかし、八尾地内に入ると、雨が上がり、大長谷川流域の島地周辺では、山並の一角が雲の切れ間から見え隠れし、もしかしたら、青い空が現れるのではないかと、期待さえ持たせるお天気になって来た。
白木峰頂上

 「21世紀の森」の管理事務所の前を通過した時に、空模様を案じてか待機していたグループがいたが、我々の前進を見てか後を追って来たようにも見受けられた。
白木峰頂上付近

 車が高度を上げるに従い再び厚い雲に覆われてきたが、それは予想の範囲でしかない。標高1300㍍の駐車場で、身支度をしていると、先ほどの車が到着し、車の中から、中高年の男女5人が出て来られたが、この雨の中を、タウンシューズで登るのかと思ってしまった。
 「フル装備ですか?」などと声を掛けられたが、返事に困り「まあまあ」と答えてしまった。
 今日の目的は、「ニッコウキスゲと戯れる!」である。時間はたっぷりあるし、雨でぬかるんでいると思える登山道を避けて、日頃歩く機会の少ない林道を歩く事にし、また、タイムも調べようという事になった。
 出発間際に降りだした大粒の雨に、上下の雨具と、傘を差してのスタイルになったが、先程の中高年グループは、車の中に逃げ込んだ模様だった。
 登山道を行けば、10分程で、我々の歩いている林道に出るのであるが、林道を歩いても5分程しか余計に時間を費やさなかった。


白木小屋付近 浮島への途中で 浮島への小径から頂上方面

 ギボウシやタニウツギを楽しみながら、「山ノ神」は、ヨシナ(カタハ)の山菜を狙っていたらしいが、フキしか見当たらず、少し落胆のようであった。
 私は、山菜採りには疎いが、センナは、水辺のもう少し標高が低い所では無いのではないかと思ったのですがいかがでしょう!

雨の中を小白木方面へ

 この林道を歩きながら、ゲートがありマイカー乗入れは禁止になっているのだが、入れたとしても随分車高でないと、とてもガタガタ道に乗入れられない。
 そもそもこの林道は、山頂にNTTの中継局のパラポラアンテナ建設のために作られたと聞いている。
雨で冴えるニッコウキスゲの中を

 当時も自然保護団体の猛反発を招き、今の1300㍍の駐車場より上は、マイカーが乗り入れられないようになったらしい。
 近年そのアンテナも用を足さなくなって、アンテナとコンクリートの構築物も撤去されたようだ。
 また、管理棟から現在の標高1300㍍の駐車場まで、未舗装でなかなか同場所に辿り着けなかったのだが、完全に舗装されてからは、多くの方々を受け入れるようになってしまった。
 私が初めて白木峰に来た昭和51年でも、何処まで車が入れたか良く覚えていないが、恐る恐る車の運転をしたものであった。

 その駐車場から上部の林道は、登山道からみたら、かなり遠回りになるように思えるが、駐車場から35分もすると白木小屋の取付きに出る。青いトタン屋根の白木小屋の周辺は、黄色のニッコウキスゲが満開に近い状態で、所狭しと咲き誇っていたが、仁王山に向かっての北側は、その限りではなかった。
 小屋の中で、登山日誌を拝見すると、一週間前頃から、ニッコウキスゲの開花が待ちどうしく多くの方々が通って来ているようであった。
 小屋を少しすぎてから、白木峰頂上と浮島の分岐までのニッコウキスゲは、まだ蕾でこれからであった。
ニッコウキスゲと戯れる

 それより先の頂上までは、5分咲きくらいであった。お天気の悪い頂上で、長居する事無く、頂上での記念写真を撮り、頂上から見える小白木峰へのルートに当たる祠のあるピークまでが、離れてみると黄色に埋め尽くされているのである。
 しかし、いざ写真を撮るとなると、折からの悪天でガスや雨など躊躇させられたり、フェンダーを覗くと暗いレンズには、自分の思い通りにはならないのである。
僅かな晴れ間を楽しんで!

 その祠付近には、蕾を持ったササユリが多く見られ、もう少し小白木峰よりに下ってみたいと、何時でもない事を言う「山ノ神」と別れて、ヘリーポートに上がって来る登山道あたりに出かけて見た。
 丁度雨も上がり、雲の掛った対岸の山とニッコウキスゲが、程好い位に調和が取れしばらく呆然としていた。
 あちこちのニッコウキスゲを、これでもかこれでもかと撮りながら、名カメラマン気取りで白木峰頂上に戻ったが、「山ノ神」が戻っていない。食べ物は「山ノ神」が担当していたので、私のリックにはお茶以外何も入っておらず、仕方がないので、南から流れ込んでくるガスを受けながら、一人で待つ事にした。「5分だけ!」が、どれだけオーバーしたのか知らないけれど、ようやく現れたと思いきや、何時ものビール宴会である。私は飲まない事にしたから、おにぎりを食べて、早く次の行程を催促するが、腰が重い。私も飲んでいた頃は、こんなだったのかと思い、飲まない人に今更ながら、申し訳なかったと思う次第である。


頂上から浮島へ ニッコウキスゲの小径で 地糖ある浮島

 ようやく重い腰を上げて、浮島まで散策をすることになった。今までの自分勝手の印象では、浮島までの遊歩道には、あまりニッコウキスゲが咲いていなかったと思っていたが、何のその満遍無く咲いているではないか! 木道をスキップして行きたいような感じにさえなる。
 山中で出会った人は、2パーティー6人だけだが、遠くに見えた人達を数えても、全部で10数人程で、独り占めに近い状態であった。浮島の周りも、結構な咲き栄えで、小さな虫さえいなければ、ずーっといたくなるような所である。
 帰路に我仲間「ターさん」がこの山域で登りたがっている「前白木峰」のトレースを確認し、今一度白木小屋へと向かった。山日記に少し書き綴りたく小屋の中に入ったが、その間も、もう少し残したと言うビールを、ニッコウキスゲの前に腰を下ろし味わっていたようであった。
 これほどまでに、お花とビールを楽しむ事が出来れば、山登りも楽しくてしょうがないであろう。




  = コースタイム =
高岡9:15=「21世紀の森」管理棟前10:45=1300㍍駐車場(11:00~15)=第一林道分岐11:35=白木小屋(11:50~12:00)=白木峰頂上付近(12:10~13:15)=浮島13:50=白木小屋(14:30~40)=1300㍍駐車場(15:25~30)=高岡17:15

 … 同行者 …
      比佐恵