元   さ   ん   の   山   紀   行
僧 ヶ 岳(1,855.4m)
<富山県 宇奈月町 魚津市> 平成18年5月15日





成谷山を越え、僧ヶ岳を目指す 


   今日は、「好山病・・」と離れて、二人だけの山行である。二人だけだと気が緩むのであろうか、やっぱり出発が遅れてしまった。GW明けに、片貝川第2発電所ゲートが、ようやく開いたようなので、成谷堰堤まで行けると思っていたのであるが、その手前300mの所で雪のためストップであった。

 そのちょっと広まった所に、三重・松本・石川・富山ナンバーの車が6台所狭しと止まっていたが、私は、引き返して第4発電所近くの空いたスペースに止めるのもしゃくだったので、他車の移動に支障がないように、苦労しながら幅寄せして何とか止める事が出来た。
 先行した「山ノ神」を追って、成谷堰堤を越え二つ目のデブリの所で、車をロックするのを忘れた事に気付き、仕方なく車に戻り貴重な時間をロスしてしまった。走ったけれど20分くらいであったろうか! 


車デボ地点 至る所ににデブリがあった やがて雪が現る 東又登山口

 片貝山荘(片貝川第5発電所)までの林道のデブリは凄まじく、これでは、なかなか林道の整備が出来ないのではと思ってしまった。片貝山荘から東又登山口までのデブリも、黒々と大きいものであったから、「山ノ神」には、ピッケル・アイゼンを用意させ、装備を取られた私は、ストックをシャベルに換えて歩き始めたのであるが、取付いてみると、片貝川に直接落ちるような恐怖感がなく、意外とスムーズに渡れたのである。

新緑の中を・・・ 阿部木谷と大明神山

  「標高731m」・「東又谷コース6キロ」・「山頂まで5時間」のいつもながらの標識を見ながら、急登に入る。赤が濃いコイワカガミが多く咲いているが、例年より遅い入山だからか、イワウチワは何処となく数が少なく、色が褪せて見えた。高度を上げれば、その数が増え、ミツバツツジや山シャクヤクが、目を楽しませてくれるようになる。でも、やっぱり、青い空をバックにした大明神山の大きな山容には勝てず、そのまま目線はその山並へと移って行く。

大明神山に目線を奪われる

 やがて、歩き始めて40分、高度が1000m位の所から、ボツボツ残雪が現れた。その雪解けの間から、イワウチワの群落らしきものを見る事が出来た。
 10時半頃、高度が1300mを超えた頃から全面雪になり、「山ノ神」にアイゼンを装着させる。伊折山はすぐそこである。
「山ノ神」軽アイゼンを装着

 展望の主役が、大明神山から毛勝山に変わろうとする伊折山付近では、いつものように、写真を撮りながらの休憩となる。
 成谷山(1600m)まで、標高差240mなら、40分程で行くのではないかと言いながら、「こっちを向いて!」「あそこをバックに・・」などと、なかなか前に進まない。
 「黄砂の影響なのだろうか?」残雪は多いのであるが、あまりきれいではない。しかし、全体的には雪が多い事で、見渡す山容はその魅力を増している。 


毛勝山・大明神山をバックに 駒ヶ岳をバックに

 昨年に比べれば、3週間も遅く僧ヶ岳に来たわけだが、僧ヶ岳は、林道歩きが長くても、4月末がいい。通行止のゲートが恨めしくても、汚れていない雪の上がいい。

 雪のない急登場所を離れれば、「山ノ神」にしても、余程の切れたった所以外は、歩きやすく気分が良いようである。おまけに他の人への気遣いもないわけだから、全く自分のペースで歩けるのである。  


まずは成谷山を目指して 思ったように足が進まない 誰もいない山を・・・ 毛勝山を背にしながら

 毛勝山や駒ヶ岳を眺めながら、広い尾根を行く。駒ヶ岳の奥には、滝倉山やサンナビキ・ウドの頭が見えてくる。そして、東又谷の上部に平杭乗越。また、高度を上げる毎に、後立山の山々が頭を持ち上げて来る。陽が照り眩しいが、何と贅沢な稜線漫歩である。 

登り切れば成谷山(1600m) 駒ヶ岳をバックに(成谷山で) 毛勝山と大明神山をバックに 僧ヶ岳に向かって・・・

  伊折山から、ちょっとばかり時間が掛かり過ぎたが、それはそれで良しである。今日は駒ヶ岳まで行かず、僧ヶ岳止まりであるから、そう急ぐ事もない。どれだけ晴天と言えども、午後からは靄って来る事が多いだけに、往路で充分楽しまなくてはいけない。
 しかし、時計が11時半を回ると、お腹が空いて来る。一服も良いが、早く山頂に届いて、冷たいものを口にしたいのが本音である。三脚を立ててカメラに収まった後、菓子パンを少し口に入れ、元気よく歩き出す事になる。 
 (※僧ヶ岳・東又コースでの注意点は、下りの成谷山や、伊折山付近の支尾根に迷い込まない事であろう。)


幾つもの起伏を越えて 小さいが長く続く雪庇横を行く トラバースも問題なく・・ 駒ヶ岳が、ぐ〜っと近付く

  ここでも、山頂まで40〜50分と思っていたのであるが、ついついカメラを出しては、時間を費やしてしまった。
 雪解けが進み、夏道が出ているその下当たりで、一人の登山者が降りて来られた。尋ねると随分早く出発されたようで、また初めての僧ヶ岳のようであった。
 山頂滞在時間も極僅かで、私達の山の楽しみ方と、ちょっぴり違うような感じもしたが、山への思いは、共通のものがあるに違いない。別れ際に「お二人で登られるのは羨ましい!」との事であった。人はないものを強請るのかもしれない。 


山頂までもう少し・・ 痩せた尾根の通過 大きく口を開けていた

  幾つもの起伏を越えて、やっとの思いで山頂に辿り着いたのが、午後1時であった。冷たいものを飲む前に、恒例のテーブル・ベンチ作りなのであるが、雪がかたくてシャベルの歯が立たない。仕方なく、足が入るくらいの溝を掘って凌ぐ事にした。
 毛勝山を眺めながら、また駒ヶ岳に見とれながら、雪のベンチに腰を降ろし、まずは乾杯である。
 「残雪の僧ヶ岳には来られない。」と「山ノ神」に言い続けながら、これで何度来た事になるのであろうか?
 行くと言えば「え〜っ」、来なければと言えば、「何で・・・」となる山である。 


僧ヶ岳山頂で、昼食の一時 僧ヶ岳山頂で、毛勝山をバックに





 ■■■コースタイム■■■
高岡5:15=成谷堰堤手前300m=(6:25〜55)〜〜途中車に戻りロス20分〜〜片貝山荘(7:50〜8:00)=東又登山口(8:05〜15)=900m(8:45〜55)=1334mアイゼン装着10:30=伊折山10:35=成谷山(11:30〜45)=僧ヶ岳頂上(13:00〜14:35)=成谷山(15:20〜30)=東又登山口(17:10〜25)=片貝山荘(17:35〜40)〜〜山菜採り〜〜成谷堰堤手前300m(18:50〜19:10)=高岡20:20


 ■■■同行者■■■
      「山ノ神」