元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
高 峰 山 (957.7㍍)
<富山県  上市町> 平成15年01月13日



高 峰 山 頂 上 で       



 サラリーマン諸君にしたら、私の休日は三連休の最終日である。冬に珍しく三日間とも好天に恵まれ、山行日和が続いた。
私の新しきトレース
 私も「大辻山」行きを一週間繰り上げた形になったが、昨年の11、12月と大辻山に出掛けている事もあり、1月としては、高度のある山には違いないが、多くの方々が登っているだろうし、さほど執着する事もなく、むしろ、天候の悪い時ばかり出掛けている「高峰山」に心が傾いていた。
立山町側の登山口の鳥越峠

 もう一つの理由は、「鳥越峠」と「高峰山」山頂から「剱岳」を撮った写真が、あまり気に入っておらず、その撮り直しをしたいからでもあった。
 お天気の時は、もっと好きな山があり、どうしてもその山域に入る時は、条件の良い時は少ないのである。
 やや心が固まった前夜に、昨年は二度も、ニアミスでお会い出来なかった北川氏から「千垣山」のお誘いを受けた。登った事のない「千垣山」、また彼とも、じゅっくり「山の話」をしたいものだと思い悩んだが、今回は、大辻山方面に行かせてもらう事にした。
鳥越峠から剱岳や大日岳を仰ぐ

 「立山国立少年の家」から、大辻林道の入口の段差さえクリアしたら、城前峠まで、車で行けるのではないかと思うほどのきれいな圧雪状態になっていた。
 「大辻山」か「高峰山」か、未だ行き先を決めかねながら、壷足で先を急いだ。城前峠からも、先の二日間の登山者に、踏み固められたと思われるトレースが、きちんと付けられていた。
 気温が少し高めであったが、トレースを辿れば沈む事もなかった。スキーとスノーシューを持った男性二人をすっと抜いたのは、やはり気持がいい。その後も姿を見る事はなかった。
 長尾峠まで、「大辻山」か「鳥越峠・高峰山」のどちらに行くか決めかねていたが、大辻山まで続くトレースを見て、「鳥越峠・高峰山」に心が傾いた。
 長尾峠から、10分程下った実質上、大辻山への登山口の⑨の標識のある所から、私の進む「鳥越峠・高峰山」方面の林道には、予想通り全くトレースがなかった。


鳥越峠から稜線へ 高峰山頂上を目指して 高峰山近くの稜線で

 ここからは、どうしてもカンジキを履かなくてはならず、荷を下ろして装着した。この林道は、無雪期を含めて未だ歩いた事がなく、どれだけの時間を要するのか見当も付かないほどで、只一生懸命歩くだけであった。
 10分もしないうちに、右足だけが、ズブリと小股まで沈んだ。何か可笑しいと思って足元を見ると、カンジキがついていないではないか! 少し戻って、雪中からカンジキを見付けたが、バンドが切れているではないか! 今日は、何となく不吉な予感がし、「山ノ神」の片方のカンジキを持参していたので、一回り小さいものの難を免れた。
高峰山頂上で北アをバックに
山頂でラーメンを作るのも楽しみの一つ
 今少し行った左下に、枝分かれしている林道分岐で一服するが、何とかお天気がもっててくれ! と願いながらまた足を進めた。
 折角こちらの方に、足を向けたのだから、どうしても「剱岳」を撮らなくては意味が無く、早く着かなければと気だけが焦ってしまう。
 前方に鳥越峠が見えて来た所から、登りながら右へ大きく曲がらなくてはいけないのである。
 「立山国立少年の家」から、2時間半を要してようやく鳥越峠へ着いたが、高峰山登山口の標識が雪の中に隠されて、頭しか見えなかったが、高峰山への登山口の斜面は、日当たりが良いせいなのか、所々雪が溶けて地面が見えていた所があった。
左「大辻山」、右奥「鍬崎山」

 峠に着いてから、一目散に上市側に少し降り展望の利く平原に駆けた。この時期は、夏と違って上昇気流に覆われる事もないとは思っていたが、思わずニッコリしてしまった。
 下手なカメラのシャッターを切った。剱はもちろん、大日も、毛勝も何枚も撮った。今度は、高峰の頂上でも撮りたい。何とか後一時間、お天気よ!もってくれよ!シャッターを切った以外は、菓子パンを一個口にしただけである。
 高峰山登山口の最初尾根の雪付きは日当たりが良い為に、雪が少なく軟弱だった。第一歩は、足をかけた途端に、ずるーっと滑り落ちた。
 しかし、まずまずの雪量で、少し小枝がうるさいものの晴天に恵まれ気持の良い登行となった。
 鳥越峠よりもより高度を上げるにしたがって、剱岳が大きくなってくる。隠れていた大日岳がより白くなってくる。毛勝の山々が正面に迫って来る。樹木の小枝越しになるが、冬は樹木に葉がなく結構見通しがいいのである。
稜線から見下ろす「鳥越峠」

 山頂まで二ヶ所の視界の利く所があるが、足を止めゆっくりとカメラを傾けたが、素人の私が撮るくらいの写真ではきれいでも、面白く見ないかもしれないが、それこそ大いに自己満足を楽しんでいるのである。
 7~8回この高峰山に来ていても、目や足は必ずしも、きっちりとは覚えていず、あのピークが頂上だろうと思っていっても、その奥にまたピークがあり、え-っと声ばかりあげていた。
 自分の思った積雪より少なめだったが、標識も三角点も、それこそ汚れもみな雪の下に隠した広い頂上は、剱岳を撮るには格好の場所となった。晴天のこの雰囲気は、たった独りであろうが、ラーメンを作ろうが、おにぎりを食べようが、カメラを握ろうが、また雪の上で転がろうが、何をしてでも楽しかった。
鳥越峠から高峰山連なる山々

 あ~っという間に予定の時間を費やし、今来たトレースを辿り、峠に下る時の「大辻山」も結構雄大で、その後に、同じ形をした「鍬崎山」が聳える。
 後は、林道を只管歩き、車まで戻るだけ! 歩き始めて15分。何処で落としたのかと思っていた青のウィンドブレーカーが林道の真中にあった。朝方寒かったので着ていたが、暑くなって、ザックの脇に引っ掛けてあったものだが、このルートをとる人はまずないと思っていたので、そう心配はしていなかった。
 気温が上がり始め、雪の具合も腐ってくるような感じで、足が次第に重たくなってくる。
 そのうち、俵さんから「今日は何処にいるの?」携帯が鳴った。朝から誰とも口を利いていなかったから、何故か嬉しかった。
 長尾峠に着いたら、後一時間掛ろうが安堵の気持になってしまった。
 「立山国立少年の家」を出て立山公園線に出たら、立山山麓スキー場からの車のラッシュに見舞われたが、日が暮れるまで、剱岳を含む立山連峰の山々は、その姿を私に見続けさせてくれた。




 ■■■ コースタイム ■■■
高岡6:05=「立山国立少年の家」(7:15~35)=城前峠8:00=広場(8:25~30)=長尾峠(8:45~50)=⑨の標識・カンジキ装着9:00=林道分岐9:40=鳥越(10:10~40)=高峰山頂上(11:40~12:50)=鳥越峠(13:30~40)=落し物見つかる13:55林道分岐14:00=長尾峠15:00=城前峠15:35=立山国立少年の家(16:00~10)==(立山公園線スキー帰りで渋滞)==高岡18:20

  ■■単独行■■