No.31 (H.19.06.13)


   リックが重いハズであった。
   雪上を歩くとなると、どうしても、私は、重荷を背負わなくて
   はならない。

   「ピッケルなどは使わない。」 と言う「山ノ神」であるが、
   イザとなると、雪中に深く刺さり確保出来るからであろうが、
   私のを奪い取るのであるから堪らない。

   常時、私が愛用しているピッケルの他に、高校時代に購入したツルハシ
   のような大きくて長いピッケルを、リックに括り付けなければならない
   のである。

   そのピッケルに合うようなケースなど、山用具屋に売っていないのであ
   るから、年代物であり、その重さは1キロ近くなのであるが、
   やたら重く感じてしまう。

   「山ノ神」は、必要な時しか使わず、後始末は私がしなければなら
   ないのである。
   家の事は、ほったらかしの私であるから、それくらいは仕方がない
   のであろうが、後がいけない。


   大日岳行きでは、飲み終えてから、ハンドルを握るまで、
   5時間の猶予があるから私が1本、「山ノ神」2本、そして、
   おまけに、もう1本を覚悟していた。
   それは、目的を達成することがなく、早めに、宴会突入もあるかも
   しれないとの思いからであったのに・・

   なのに、保冷剤として冷凍したビールを、食材の中に入れて、
   私に担がせたのであった。

   時折、自分のりっくに隠し持っていた事は承知していたのであるが、
   健脚者揃いの中で、なおさらハンディーを課せるなんて、
   「どういうこっちゃー!」 
   ビールを飲みたくて山に登る。他の人から見れば、
   不謹慎極まりないのでは・・

   過去に2度だけ、下山が怖くて、飲まなかった事があったが、
   今回も怖いと言いながら、一向に「プシュッ」とする、
   栓を抜く作業は止まらなかった。

   「怖い」とは、演技だったのか? イヤそんな事はなかった。
   急斜面を降りる時、膝が痛いと言って、なかなか足が降りなかった。

   下に降りてしまえば、あまり痛くはないという。
   「痛い」は、怖いという事か、それとも、やはり飲み過ぎか? 

   「大日岳」を含め、この一ヶ月間に、登れると思っていなかった山
   (残雪が多く)に登れて、もうルンルンである。

   でも、ビール無しだったら、登ろうなんて言わなかったかもしれない。
   とにかく、私にとっては、大きな荷物である。(ゴメン!)