元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
横  岳 (1,623㍍)
<富山県大山町、岐阜県神岡町>
平成13年04月15日





 横岳は「とやま山歩き」や「越中の百山」のガイド書を読んでいなければ、知る事もなかった山だったかもしれないが、近年は、非常に気になっていた山には違いなかった。

 時間が出来たと、2,3日前に連絡があった、親友でもあり山友でもある中山君と、お邪魔虫なる家内の三人で、未知の大多和街道に入る事にした。
 41号線を神岡方面に向かって、わかりにくいが「有峰」の標識があり、大きくヘアピンカーブする所が「土」。

 その土集落の狭い道を、右手下に、断層で有名な跡津川を見下ろしながら高度を上げてゆく。跡津川集落を過ぎて暫く行くと、10台程の車が駐車出来る待機所ような所に、進入を妨げる神岡町の標識があった。気の小さい我ら三人組は、その標識に随分悩んだが、進入後にその標識を元に戻して、曲がりくねった道を、落石に気を付けながら、また、対向車と鉢合わせになったら、どうしようかとドキドキしながらも、目的地「佐古」に着いた。

 その佐古集落の外れで、「この先、私有地につき許可車以外進入禁止」の大きな看板に、またもや悩み、この先の事も分からないから、今度こそ車を脇に寄せ準備をしていると、富山ナンバーの車2台(6人パーティ)が、上がって来て、「いける所まで行く。」との言葉を残し、更に奥へと元気に上がっていった。

 そうなると、不思議なもので、リックをもう一度車に積んで、その後を追った。でも、何分も経たないうちに、斜面改修工事現場の飯場があり、その先は、雪のためストップとなる。後続車があるかもしれないと、駐車に気を配り、歩きにくい雪道を大多和に向かう。

《 白樺林の中で 》

 先行した6人パーティは、カーブの所で、何時の間にか消えてしまったが、おそらく狭い杉の尾根に、取り付いたに違いない。でも、我々は、当初から、大多和の集落入口附近の斜面に取り付く事にしていた。雪が解け始めている斜面に、ところどころにピンクのリボンが付いており、先頭の中山君もルートファインディングに悩まされる事もなく、1047㍍の平らなピークに着いた。

《 高幡山との鞍部で 》

 ひと休み後、チョッピリ西方向に下り、今度はやや登り気味に、ブナの木々の間を抜けて、雪解けが進み、ササが少し見え出している急斜面を、細い枝にぶら下がりながら、登りきった所が、一面白樺林で、一変した風景に3人とも絶叫した。
《宿り木を持って高幡山をバックに》

 高原で見る白樺林と違い、雪上に無数の白樺の乱立が、何か違った世界に飛び込んだような錯覚に陥ってしまった。
《広いブナの尾根を登る》

 その雰囲気の残る白樺林から、平行に走る尾根を西方面に進み、標高1300㍍附近で、ブナに立派な"宿り木"が、いやそれ全体を宿り木と称した方がいいのか、樹木の知識の少ない私はどう表現したらいいのか分からないが、展望の利く広い尾根に出た。
《 頂上は間近! 》

 後を振り返ると、鞍部の向う側に、「高幡山1332㍍」「池ノ山1368㍍」が、悠然と構えている。この2座は、「越中の百山」でもあり、特に「池ノ山」は、"とやま山歩き"未踏2座中の1座でもある。
《遠くに八尾、五箇山の山々が》

 県境沿いと思われる広い稜線をゆっくり踏締めながら、「何故横岳の名が付いたのだろう!」と言いながら次第に広がってゆく視界に、遠くてなかなか行けない山が、山頂からの展望を期待する足取りに変わって来ている。最後の緩やかな斜面を登って見た山頂は、野球が出来るのではないかと思えるくらいの広い台地で、何処が一番高いかと探し、薬師岳が、まともに見られる真ん前に陣取った。

《横岳頂上、立山方面をバックに》

 先の6人パーティは、我々よりかなり早く着いたらしく、真中に立っている一本の立木の低くなっているところで、盛り上がっていた。富山ハイキングクラブの面々らしく、我々に所属のクラブを尋ねられたが、“いや、無所属ですし、名乗るほどの者でもありません。”と言ったものの、“山の話”となるとついつい長くなってしまった。
《横岳頂上で、いつもの大宴会》

 彼らが立ち去った後は、我々の独壇場で、思い思いの山をバックにしてカメラに納まった。東に薬師岳、北ノ俣岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳が、その山間に、水晶だ槍だと騒いだが合っているのだろうか?
《左、西笠山、右、東笠山》
横岳頂上から

 北は、目の前に西笠山、東笠山が、ずーっと奥の北東に大日岳、立山その奥に小さく剱岳が見え大いに喜んだ。北西の富山市街地の手前に小佐波御前山が、西に金剛堂山、白木峰、戸田峰が、南には、天蓋山だけがヒョコッと見えた。
《 横岳頂上で薬師岳をバックに 》

 本当に360度の大パノラマである。風もなく、一番心配したガスに惑わされる事もなく、“ハッピー”の一言に尽きる。どれだけいても飽きない山頂に別れを告げ、思いのまま広い尾根を駆け下りた。一ヶ所だけ、心配だった広まった尾根から、斜面に下りる分岐には、目印を付けておいたのだが、危うく通り過ぎそうになったが、指摘され、複数での山行の良さを感じた。





  ☆☆☆コースタイム★★★

高岡5:12=佐古6:42=工事現場の行止り7:25=大多和の取付き7:52=1047㍍(8:36~52)白樺の広い鞍部9:25=1300㍍9:50=横岳頂上(11:00~12:45)=大多和14:05=車(14:30~47)=高岡16:55

  ★★★同行者☆☆☆

         中山、比佐恵