元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
鉢 盛 山 (2,446.4㍍)
<長野県波田町、朝日村 木祖村 奈川村>
平成14年07月08日




 お天気が急に良い方に変わって来た。予報も富山県は曇りだが、長野県は、時々、日が差すようで降水確率も低い。では、先週のうっ憤を晴らすため、長野県「中信」に位置する「鉢盛山」に行く事にした。
 昨年鉢盛林道の事について、朝日村のHPに、アクセスしのに何の返事もなく、担当者がいないのではと思いながら、ずーっとそのままになっていた。日曜日は役場には職員が不在だろうが、もしかしたら、当直者或いは、警備の方がいるやもしれないと思って電話をしたら、林道の鍵の件について上手く話がついた。
 越中と信州の言葉の壁や担当職員でないから、要領がわからなかったらしいが、こちらはガイドブックや当役場のHPなどで、それなりの情報を掴んでいたので、話は充分に伝わり理解出来た。

 午前6時過ぎくらいに、役場に着けば良いとの計画で、我家発を午前2時として、2時間程度仮眠するつもりでいた。しかし、目覚しをセットしても、故障したらしく鳴らないのである。
 何時もは、目覚しのセット時刻の寸前に、しっかり目が覚めるから、良いのではないかと思うかもしれないが、これが大変なのである。わりかし神経質な私は、それこそ寝過ごすのではないかと、20~30分毎に目が覚めるのである。
 しかし、僅かな時間にしても、目を瞑る瞑らないでは、ハンドルを握る気持が随分と違うものである。珍しく定刻通り我家を出発出来41号線を走った。車の乗りがけは、富山岐阜県境まで1時間で行けたのだが、最近は、信号機が多くなったせいか、また、安全運転になったのか、それとも敏捷性を失ったのかわからないが、なかなか大変なのである。

 県境のトンネルだったか、その次のトンネルだったか忘れたが、「通行止」の赤い表示があったのを見てはいたのだが、何処の事だろうと何気なしに通過して、しばらく行くと、アッと思ってブレーキを踏んでしまった。前方に沢山の車が並んで停車していたのである。どうしたのだろうと思ったが、先程の表示は、杉山トンネルで事故が発生し、通行止という事だったらしい! 私は、杉山トンネルが、どこにあるのか分からないし、そんなに気にとめていなかったのが、いけなかったらしい。
 長い規制に痺れを切らして、Uターンをして行く車もあったが、車間間隔がない車や、大きな車は諦めて規制解除を只待つだけだった。結果的には1時間半ほどの停滞だったが、待つとは辛いもので、自分もUターンして、北陸道糸魚川から、白馬経由で行く事も頭で描いてみたが、そこまでする事もないだろうと、只管解除になるまで待った。

 人間とは横着なもので、いったん車が動き出すと、前に行く大きなトラックと一緒にノロノロ進まなければいけないのかと、自分だけの事を思うようになる。
 しかし、神岡で、高山名古屋方面に行く車と分かれてから、スムーズに車の流れが速くなり、気分的にはいっぺんに遅れを取り戻したような気がした。安房トンネル前、奈川渡、新島々で、軽く背伸びをするくらいの休息を取った以外は、夜が明けた早朝の道は、眠気さえなければ本当に気持のいいものである。


オサバグサ モミジバカラマツ ツマトリソウ クルマツクバネソウ

 上高地公園線の波田町役場がある交差点を右折して、「サラダ街道」と名付けられた道を10キロ程山形村、朝日村の標識に従って進めば、朝日村の公共施設群の中に出て、看板を見れば役場が何処にあるかすぐわかる。役場の入口の赤いポストの中に、私が申し込んでいた林道の鍵が、許可書と共に封書に認められていた。
 山中の凄くきれいな道を4キロ程行くと、鉢盛林道の大きな標識に従い右折し、1キロ程進むと、施錠されたゲートにぶち当たる。大きな昔風の鍵に、鎖が巻きつけられていたが、簡単に開けることが出来たところに、後続の練馬ナンバーがやって来た。小さな石や、木の枝が林道に散乱してはいたが、治山治水のための工事車両が、入っているらしく、ジグザグの鉢盛林道は、11~12キロの長い林道のわりには、苦労する事無く走る事が出来た。

 岳沢入尾根登山口には、7~8台の駐車スペースがないとガイドブックに記してあったが、上手く止めれば、その2~3倍の車を止める事が出来ると思った。標高1750㍍の登山口の先にも、峰越林道と名を変え、木曽まで続いているらしいが、現在は、一般車両通行禁止となっている。
 そろそろ出発しようかと思っているところに、先程の練馬ナンバーがやって来た。登山口でカメラのシャッターを切ってもらって、オオシラビソやコメツガの原生林の中を、つづら折れに登って行く。低いササが綺麗に刈られており、歩き易い登山道である。


オオシラビソの原生林 カモシカナギから岳沢泉へ 村界尾根分岐 鉢盛坂新道を行く

 岳沢二合目の標識を期待していたが見当たらず、30分経過していたし、水分補給の休息とした。その脇を練馬ナンバーの夫婦らしい二人組が抜けて行った。更に10分程行くと、左側(南側)が沢になり、「山頂へ2.4キロ、1時間50分、登山口1.3キロ30分」の標識があるカモシカ棚に出た。
 カモシカナギと言われる小さなガレ場を通過し、細いダケカンバが目立ってくると、右手に平野が見えてくる。信州の地理に詳しくない我々は、塩尻なのか松本なのかわからないまま、「頂上1.8キロ60分、登山口1.8キロ45分」の標識のある岳沢泉に着くが、水場終点と書いてあるものの、涸れた小さな沢である。上に残雪がある時は、水場になるのかなと思いながら、上を目指すとやや明るくなり、ハト峰との分岐である村界尾根に出る。(頂上1.6キロ60分、登山口2.0キロ60分)

 左に道を選び、あまりアップダウンのない針葉樹の尾根道を行くと、鉢盛坂新道(頂上1.3キロ50分、登山口2.3キロ70分)があるが、おおよそ旧道へ間違って行くような感じではない。南方向へ最後の長い坂を行くが、辛いような坂でもない。相変わらず根気よく、オオシラビソとササの中を 行くとチョット開けた湿地もある「権現の庭」に出る。それから、樹林帯を5分ほど行くと朝日町の避難小屋(鉢盛山荘)着き、後5~10分ほどで、一等三角点のや方位盤そして、三つの祠のある鉢盛山頂に着く。


「権現の庭」にて 「権現の庭」周辺を行く 鉢盛山頂上 大きな反射板の横で

 鉢盛山は、標高2446.4㍍で、お天気がよく眺望が効く時は、北に槍穂高岳、南に木曽駒ヶ岳、東に蓼科湖、西に乗鞍岳や野麦峠、南東には富士山が見えるようであるが、今日は、雲が多く全く見えず残念であった。
 朝日村から登り始めた鉢盛山頂上には、波田村の標識があったが、木祖村、奈川村、朝日村、波田町の境界にあるようだ。視界の効かない上に、小さな虫がいた頂上から、北に1~2分程行った所に、大きな反射板が2機あり、切り開かれて風通しが良い所があった。この開けた頂きの隅には、黒川上流雨量観測所また、国土交通省北陸地方整備局松本砂防所雨量計なるものもあった。練馬ナンバーの二人組もこの場所を選んだらしく食事をしていた。
 少しの間、各地の山々を話し合っているうちに、紛れも無く三百名山を意識している方のように察した。

 一瞬雲の流れがあり、乗鞍岳の上部が見えた。練馬ナンバーは、御岳と言ったが、乗鞍岳に間違いない。何時の間にか、先程の小さな虫がまた現れた。時折過ぎる風は気持よいのに、この虫には事の他参ってしまう。前方に大天井岳らしい山が薄っすらと見えるが、展望がイマイチで、虫で悩まされるし、増してや冷たいビールも飲めないのでは、折角登った三百名山鉢盛山の印象がイマイチになりかねない。

 日本には多くの山があり、富山の山でさえ全部登り切っていない私は、余程の事が無い限り、この鉢盛山にもう来る事がないだろうと思いながら、ならば尚更、強く目に焼き付けておかなければの思いで登山口に下った。鉢盛林道の鍵を役場に返し、サラダ街道では、山形村のラベンダーと戯れ、また、安房峠を久し振りに越え、未だ日が暮れない内に自宅に戻った。




★★★コースタイム★★★
高岡2:00=事故杉山トンネル(2:55~4:10)=平湯5:05=奈川渡5:30=新島々5:55=朝日村役場(6:10~15)=登山口(7:00~25)=二合目?(7:55~8:00)=カモシカ棚8:10=カモシカナギ8:25=岳沢泉8:30=村界尾根分岐8:40=鉢盛坂新道8:55=権現の庭(9:25~40)=鉢盛山荘9:45=鉢盛山頂上9:55=反射板の所(10:00~11:25)=権現の庭11:35=鉢盛坂新道11:55=村界尾根12:05=登山口(12:55~13:10)=林道入口13:45=高岡18:20

☆☆☆同行者☆☆☆
      比佐恵