元   さ   ん  の   山  紀  行
 
富士写ヶ岳 (941.9㍍)
<石川県  山中町> 平成16年06月07日






 またまた雨の予報。これだけ雨ばかりだと流石の私(私達)も参ってしまう。雨でも山に出掛けたい我々も、その行き先の選定に困ってしまった。
 「とやま山歩き」や「越中の百山」に載っている山々を複数回登りたいという気持ちがあったので、比較的短いコースで、一度しか登っていない山を探した結果「富士写ヶ岳」となった。
山中温泉郊外から富士写ヶ岳を望む
 
 午前中が勝負と言う事で、早い出発となった。これくらいの距離ではもちろん高速を使わず8号線を走る。山中温泉街を通らず我谷に通じる道があり快適に走る。我谷登山口を通り過ぎ、枯淵登山口に向かったが、「九谷ダム」建設のため周辺が一変しており、8年前のイメージが壊されてしまった。
長い吊橋を渡る事から始まる
 
 工事車両に乗ったお兄さん達に登山口を尋ねたが、チンプンカンプンだったようだ。諦めて我谷登山口に向かう途中、ダム下流にある橋を渡れば登山口に達するのではないかと思ったが、そこに通じる道路に「通行止」の看板があったので、無理する事もなかろうと再び我谷に向かった。
   我谷登山口には、それという駐車場がなく、枯淵側の所々膨らんだ所に止める事になるが、平日が休みの私達はあまり悩む事なく、登山口横の案内板の前に止めた。

 ダム湖に架かる赤くて長い吊橋を渡り、右方向に70m程水平に進んだ所に標識があり急登が始まる。10~15分も歩くと次第に緩やかな登山道になり、狭くなったら左に鉄塔を見て電線の下を歩く感じである。
鉄塔で休憩
 
 やがて鉄塔の下に着き一服となるが、“雨の予報はどうなったのだろう?” 雲が多いが陽が照って暑い。鉄塔から3~4分ほどなだらかで、その後急登で虎ロープが施してあるが、つかまって登るほどでもない。
 8時30分頃、咲き始めのササユリに遭遇、五分後ヤマボウシが咲いていた。チョット登っては、なだらかな繰り返しであり、鉄塔から30分経った所で、「山ノ神」の要望で休憩となる。
ブナ林を行く
 
 20分程で標高680m達し、ブナ林中を行く。小振りだが、とても感じの良いブナ林で思わずシャッターを切る。730mを超えると一時だが視界が広がり、加賀平野や日本海が見渡せる。再びブナ林に入り急登。しかし、低山らしく急登も長くは続かない。
 “どのピークが頂上か?” となる。 
 実は地形図を用意出来なかったのである。カシミールも調子が悪く地図を印刷出来なかったので、「とやま山歩き」と8年前の経験だけの危ない登山。と言っても8年前は枯淵からのルートからであって参考にはならなかったのである。しかも、家に帰ってから分かったのであるが、我々の登った我谷ルートは、地図に載っていないのである。枯淵ルートと現在の我谷ルートの間の尾根に旧我谷ルートがあったようである。現我谷ルートと枯淵ルートの合流点は山頂直下(5分未満)にあるが、旧我谷ルートと枯淵ルートの合流点は標高780mの地点である。 どちらにしても、私の持っている、「とやま山歩き」や地形図、また、カシミールの地図は古いものであるから、私が登った8年前には、現我谷ルートが使われていたのであろう。

頂上までもう少し!
 
我谷と枯淵の分岐で
 
 9時55分、枯淵ルートとの分岐に着く。上記の事情で、頂上まで、まだ距離があると思っていたのであるが、5分もしないうちに、あっけなく頂上に着いてしまった。
 雲が多いものの、雨の予想を思えばかなりの展望である。南東に荒島岳、東南東に大日山や白山、北西に日本海や加賀平野が見える。
 標高は低いものの何故か深田久弥終焉の地「茅ヶ岳」の山頂に似ているような気がした。
 大きな蜂がブンブン飛んでいるし、雲が黒く湧き上がって来て、どうやら雨が降るのも間近ような感じだったので、山頂滞在も1時間としていた。

富士写ヶ岳の標識 富士写ヶ岳頂上で 頂上より荒島岳を望む 頂上より大日山を望む

 下山準備をしているところに、単独行の男性が登って来られた。その男性は福井の植谷氏で、何度も富士写ヶ岳に登っておられるようで、枯淵ルートもしっかりしていると教えれくだされたし、雨も大した事はないであろうと言われ、ついついその気になり、同じ我谷に下る予定を変更し枯淵に下る事にしてしまった。自動車道の3.5キロ位なら歩いても1時間も掛からないであろうし、何よりも深田久弥の歌碑を「山ノ神」に見せたかったのも一つの理由であった。

コーヒーで乾杯! 深田久弥の歌碑

 分岐を過ぎ、前山とでも言うのであろうか、久弥の歌碑があるピークに5分ほどで着いた。枯淵から登ると、ここが頂上だと間違う人達が多いと聞く所である。

「山の茜を顧みて 一つの山を終わりけり 何の俘のわが心 早くも急がるる次の山 」 深田久弥

 歌碑を見て下り始めたら雨になった。チョットの雨ではなかった。下るにつけ草木が伸びている。やはりダム工事のため、あまり登られていないのかもしれない。最後になってから予想通り雨になった。真新しい登山口の標識を過ぎ林道を歩き始めてしばらくすると、先程頂上でお会いした福井の植谷氏が気になったのか車で迎えに来て下さっていた。
 雨にならないと言って、降ってしまったからであろうか?それとも、自動車道を歩くのが可哀想とでも思われたのか!どちらにしても山で出会った人達は、優しい人ばかりである。お陰様で我谷までラクチンする事が出来た。




 ■■■ コースタイム ■■■
高岡4:50=我谷登山口(7:15~40)=鉄塔(8:05~10)=休憩・538m(8:45~55)=枯淵ルートとの合流点9:55=富士写ヶ岳頂上(10:00~11:20)=久弥歌碑のピーク11:25=枯淵登山口(12:45~55)==植谷氏の車==我谷登山口(13:00~10)=高岡15:25

  ■■同行者■■
          比佐恵