元   ち   ゃ   ん   の   山   紀   行

金山(2,224.5m)  天狗原山(2,197.1m)
<新潟県糸魚川市,妙高高原町 長野県小谷村>  平成13年07月30日


 昨夏から笹ヶ峰への林道が通れるとの情報を聞いていたので、確認のため小谷役場に電話したら、職員の方もこの手の問い合せが多いのか、なれたもので、こちらから細かく尋ねることなく手際よくOKの答えをもらった。
 4年前は、林道のゲートが頑なに閉ざされていて、春ちゃんと家内の3人パーティは、往復2時間の林道歩きが応え、小谷温泉発午前6時、着午後6時になってしまい、家内が膝を痛め、足を引き摺りながら夕暮れの林道を歩いていた事を思い出す。

 相変わらず午後6時過ぎに帰宅予定の山行は、逆算して午前3時発を希望していたが、何時もの通り守られず、20分遅れのスタートとなった。給油、コンビニに寄り、滑川ICからの予定が、またケチる癖が出て、朝日ICから高速となった。10分も違わないのだから、毎週のように出掛ける折、経費節減なのです。

 糸魚川ICで、警察の検問に会い「こんな早くからどちらへ。」と尋ねられ「山登り」と答えると、「何処の!」「金山、天狗原山」「とにかく気をつけて!」別に悪い事をしているわけでもないのに"お巡りさん"に出会うと、ビックリしてしまい、お陰様で目が覚め先を急いだ。

 148号線も近年凄く整備され、特に北小谷付近は、道の駅や姫川に掛かる新しい橋が完成し、快適に走行する事が出来るようになった。その国道から、小谷温泉への10Kmの道も、あの集中豪雨での災害の傷跡も癒えて、何の支障もなく走行できる。

 小谷温泉からは、「鎌池、雨飾山」方面と道を分け、笹ヶ峰に通じる林道を行く。大きな工事中の看板が立てられているが、「笹ヶ峰に通り抜け出来ます。」と付記してあった。山側にU字溝を付けての舗装工事らしいが,こんなところにこんな工事が必要なのだろうかと思ってしまう。


 4Km程行った所に「金山、天狗原山登山口」の立派な標柱が建てられており、その手前100mの所には、数台の駐車スペースがある。先に「所沢ナンバー」の車が1台止まっており、我々の準備中に「長野ナンバー」の男性二人連れの車がやって来た。その二人は、登山口の先100m付近で、キャンプをしてこの日に備えていたそうだ。頚城山系で二人が登っていない共通の山が、たまたま「金山、天狗原山」であって、あまり知られていない山だと思っていたので、我々の姿を見てビックリしていた。このお二人と山頂までどころか、帰りに立ち寄った露天風呂まで、追いつ追われつの道中となった。




 標高1200mくらいの登山口で、何時もの通り記念の写真を撮り午前6時過ぎに出発した。ジグザグの登り始めから、大好きなブナ林が続き、まるで緑のトンネルのようである。ブナの巨木を上の方まで眺めながら、噴出した汗をタオルで拭っていると、長野の二人組が上がって来た。「ヤーヤ―」「お先に!」などの会話がこの先何度となく交わされるのである。「ブナがいい。」「ブナタテ尾根の名の通りだ。」秋には、黄色の凄い紅葉が見られるであろうと思いながら、なおも起伏の少ないブナが続く道を行く。チョットぬかるんだ所から急登すれば、一息入れるに適当な小さな広場に着く。

 チョロチョロと流れているけれども、冷たくて結構美味しく頂けるのである。その水場から、何十秒も歩かないうちに水芭蕉のオバケに出会う。凄いのは私の背丈ほどもある。それから、5分ほど急登したが、相変わらずブナがいい。朝日を浴び、道も腐葉土で気持がいい。今度は下って流れもない小さな沢を渡るが、沢の上部にも下部にも水芭蕉のオバケが、整然と並んでいる。整列していると、オバケに見えないから不思議である。

 高度を上げて行くと、カラマツソウやソバナが目を楽しませてくれ、時折、樹木の間から雨飾山が見え隠れし、痩せた尾根の右側には、陽があたってかすんでいたが妙高、火打山が見えた。その後も、小さな起伏を幾つも越えて沢に出ると、やがて消えかかっている11/28の標識があった。U字状の道を進んで行くと、名残の雪渓が現れ、薄汚れていてもその雪は、何ヶ月ぶりかに友人に出会ったような感じがした。雪解けが進むその付近は、グジャグジャ状態とは言わないまでも、チョッピリぬかるんで、靴やズボンの汚れが気になる所だった。

 またオバケの水芭蕉を見てから、登りだすと何時の間にかブナがなくなり、ツゲ、イチイ?シラビソのような樹木に変わり、登り始めて2時間余りで、崩壊地を見上げる地点に来た。キンポウゲが私達を迎えてくれるように小道の左右を飾り、立派なキヌガサソウが群落をなしていて、スイバやイタドリが目立った。

 ガレた崩壊地を登りきると、シモツケ、クルマユリ、ホタルブクロ、グンナイフーロー、カワラナデシコ、シシウド、クガイソウなどが咲き乱れ、長野の滝沢氏の解説と共に、暫しその花たちと戯れた。

 ロープや梯子を越え、緩やかに登り続けると、やがて天狗原山の全容が見えてくるが、家内と長野の豊城氏が遅れ始める。ユニークな豊城氏の会話を楽しんで、遅れているのかと思っていたら、どうも豊城氏が、昨夜の飲み過ぎで息が上がっているようであった。しかし、そこは足を前に出して我慢しかないのである。

   最後の登りから樹林帯を抜けて、笹を掻き分け風衝草原に出ると、小道はもうお花畑である。シナノキンバイ、ハクサンコザクラ、チングルマが所狭しと咲き誇っている。石仏のある所などは、この三種の花で占められており、他の花は、ひっそりと脇役を演じていた。


 これといって標識のない天狗原山は、石仏とやがて金山への下り始める所が一番高く、どちらかが頂上なのだろうが、もしかしたら笹薮の中なのか!そんな事はどうでもいいのだが、時計とニラメッコしながら、金山に向かう事にした。

 長野二人組みは、どうもこの辺で止めるような気配だったが、「この先もいいよ!」「あと30~40分。」の掛け声に少しは影響したのか、ハクサンコザクラが一面に咲く「神ノ田圃」で振りかえると、何故かその花々にも吸い寄せられてように、足が前に出ているようであった。
 所沢ナンバーの中年男性が山頂から降りて来たところに出会ったが、色鮮やかなお花の帯状には、頗る満足そうでカメラを幾つも首から下げ、一人旅を楽しんでいるようであった。

我々もそのハクサンコザクラの群落を、如何に美しく撮る事が出来るかと、左にも、右にもルートから離れてしまうものだから、また時間が過ぎていってしまう。最低鞍部から沢に入り右手に雪渓を見て、穏やかな山稜を行くと金山山頂に出た。


 山頂付近には終焉を迎えようとしているニッコウキスゲが咲き乱れている。今回も、雨飾山を始め、焼山、火打山、妙高山の山並みは姿を最後まで見せてくれず、僅かに笹ヶ峰のダム湖だけが見えていた。山頂滞在時間は、限られていたが後続の長野二人組に冷たいビールを一口もてなそうと待っていたが、あまり嗜なまれないと聞き、記念写真と切り替えた。

 山頂からの下山中に、雪渓の上部で中年夫婦一組、沢沿いの石のゴロゴロした所で、若い女性の二人組と出会い「頂上はまだですか?」と挨拶後の決まったセリフに、「もう少し。」「あと○○分」と励まし、「綺麗なお花があなた方を待っている。」を付け加えた。神ノ田圃」に下って、また登り返した天狗原山のチングルマの中で、もう一度我等二人で乾杯し先を急いだ。

帰路の崩壊地のガレた所で、家内が少しスリップし、慌てふためいたが、それ以外は、何のトラブルもなく、早朝は汗を流して登ったブナ林を気持よく降りて車に辿り着いた。時計を見ながら、小谷温泉露天風呂の駐車場に車を着け、それこそドボンとつかるだけの「都忘れの湯」だったが、久し振りの山行帰りの一時だった。長野の二人組の滝沢、豊城両氏とメールを交わす約束をして車に乗った。

ハクサンコザクラ



金山頂上で



  ☆☆コースタイム☆☆

高岡3:20=朝日4:27=境P(4:32~40)=糸魚川4:55=国道.小谷の分岐5:25=小谷温泉5:38=登山口(5:50~6:07→)水場(6:54~7:07)→崩壊地前の下(8:15~25)→天狗原山(9:45~10:10)→金山頂上(10:50~11:33)→天狗原山(12:17~47)→崩壊地下13:49→水場(14:36~44)→登山口(15:13~28)=露天風呂(15:37~52)=.国道,小谷分岐16:09=糸魚川16:55=小杉17:50=高岡18:12

 高速利用(往路=朝日~糸魚川 復路=糸魚川~小杉)

  ☆★同行者☆★
        比佐恵











新潟県の 金山、天狗原山方面(平成13年7月30日現在)

小谷温泉から乙見山峠を越えて笹ヶ峰へ行く林道は、車通行可。

小谷役場の情報によると、特別障害になるような情報は入っていないとの事。

登山口は、小谷温泉から笹ヶ峰方向へ4㌔の左手にある。駐車スペースは、一寸手前に5~6台有り。その他は、広がったところに止める事になる。 現在、林道は舗装工事中で、一時的に通行止になる可能性もあるので、小谷村観光連盟(0261-82-2233)に問い合せされるといいでしょう!
小谷温泉の露天風呂は、今も綺麗です。料金は志程度で、実質無料です。
女風呂から男風呂は見えますが、男風呂から女風呂は見えません。



=近くの山=

大渚山(1566m)
小谷温泉の西に位置し、湯峠から登山道が整備されており、
1時間ほどで頂上に達する静かな山。
雨飾山の展望台で、山スキーで有名。
















  

金山、天狗原山の登山口

ブナタテ尾根

ブナ林を行く

キヌガサソウ

ミヤマキンポーゲの中を

クガイソウ

シシウド

ホタルブクロウ

ブナ

上が崩壊地のガレ場

天狗原山の全容

シナノキンバイ

チングルマ

チングルマと遊ぶ

天狗原山で

天狗原山の小道を行く

神ノ田圃から金山頂上を望む

ハクサンコザクラ

ブナ

ハクサンコザクラ

お花畑を行く

ガレ場を行く

チングルマの群落と

ブナ

ニッコウキスゲ

雪渓を渡る

後方が金山頂上

長野の滝沢、豊城氏と