元   さ   ん   の   山   歩   き
唐 松 岳 (2,696.4m)
<富山県宇奈月町、長野県白馬村> 平成17年08月29日





 体調が悪く、ちょっと軽い山という事で、唐松岳行きとなったのであるが、黒菱平から2基のリフトも乗らず行くものであり、決して病人の山行ではなかった。しかし、毎週山に出掛ける我家では、節約出来るものは節約、歩ける所は歩くというのが普通なのである。
 ペンション街から抜けて黒菱平への林道は、放牧されている「牛」に行く手を遮られるハプニングはあったものの、真っ青な空と遥か彼方に見える山並みに、早くも胸は躍っていた。


黒菱平から白馬三山が大きく見えた リフトに乗らず遊歩道を行く 八方山荘が見えて来る

 黒菱平でリストを待つ人と、ゲレンデを歩く私達とは、二つ目のリフト終点の八方山荘前で一緒になった。白馬三山は大きく見えていたが、少しずつ上部が雲に覆われようとしていた。

八方山荘から息ケルンの登山道を行く 息ケルン 白馬三山が隠れてしまった

 整備されたトレッキングコースを快適に行く。いつものようにお花があったと言っては止まる「山ノ神」ではあったが、意外にも1時間足らずで八方池に到着した。
 八方池上部の稜線からは、不帰ノ嶮の切れ込みがはっきり見える。「天狗の下りだ。」「不帰ノ嶮の1峰・2峰だ。」などと白馬三山から唐松岳に繋がる稜線を目で追った。


黙々と歩く「山ノ神」 八方池 不帰ノ嶮をバックに

 多くの登山客と擦れ違ったり、また抜かれては、「どうも・・」 追い越しては「や~・・っ」と、人気のコースだけに賑やかであった。
 マツムシソウ・ハクサンシャジン・トリカブトなど、ステキな写真が撮れないものかと、盛んにシャッターを切るのであるが、ぶれなのか、それともアングルの悪さなのか、思うように撮れないのである。それでも、唐松岳(八方尾根)の想い出として撮り続けた。万年雪に近付いた頃から、超団体のパーティーと擦れ違う羽目になる。200人以上は中学生ではなかったろうか。それを避けて残雪に近付きリックを降ろした。


ハクサンシャジンと戯れて ずーっと残る雪渓で 丸山ケルンで

 一つの目安となる丸山ケルンを過ぎて、尾根の左側中腹を巻くように進む鎖やロープが施されている危険個所に通りがかる前に、長勢君から「堀シェフの滑落事故」のメールが入る。その事が信じられなく、先行く「山ノ神」を放って、何度もやり取りをしてしまった。(帰路に黒部の病院に寄る事になる。)
 少し遅くなったが、二度回り込む感じで進むと唐松山荘の裏手に出る。五竜岳も大きく見える。


難所?を渡れば唐松山荘へ 八方尾根分岐点 唐松山荘前で

 唐松山荘は五竜岳を経由して鹿島槍ヶ岳と、唐松岳頂上を経由して白馬三山、また餓鬼岳を経由して祖母谷から欅平、そして我々が登って来た八方尾根の交差点でもあり、たくさんの登山者で賑わう所である。
 唐松小屋を背に、左には五竜岳、右にはこれから登る唐松岳頂上、前には我々の大好きな剱岳・立山連峰が聳えている。

唐松山荘から唐松岳山頂へ 唐松岳頂上で 唐松岳頂上から五竜岳を望む

 唐松岳山頂まで、黒菱平から4時間半(八方山荘から3時間半)、ゆっくり登って来たのであるから、充分のコースタイムであろう。まずは大展望を楽しみ、惜しみなくシャッターを切る。標柱と共に記念写真を撮ってから、ようやく腰を降し、例の如く祝杯となるが、体調の事もあり極僅かのビールを大事に飲む事になる。

 唐松岳から望む五竜岳を画像にしてみると、何故か剱沢から見る剱岳の形と似ている。では、唐松岳から眺める剱岳は、剱岳・北方稜線の山々から見る唐松岳を中心とする後立山の山々と似ている感じだ。


不帰ノ嶮から天狗の下り 唐松山荘を見下ろす 唐松岳頂上から剱岳を望む

 私が白馬岳に初めて登った頃は、JR(当時は国鉄)白馬の駅名は信濃四谷であった。また八方尾根を詰めれば白馬岳に登れると思ったら、意外や意外唐松岳であり、一般的には白馬の大雪渓を登るのが一般的であった。栂池からは、ロープウェーなどはなく、バスに乗るのに長い列を作った事もあるし、スキー場のゲレンデを歩いて降りた事もある。
 何もかもが懐かしく、楽しい想い出として残っている。これからも多くの想い出を、出来れば多くの仲間達と共通の思い出を作っていきたいと思っている。



「平成17年8月29日のコラム」(山つれづれ・・・・から)

8/29 病み上がりの「唐松岳」行きは、午前4時発、午後9時帰宅となった。高速なし、行き帰りの運転は私一人が、そして、2基のリフトをパスするという予想通りのものとなったが、「山ノ神」には、まだまだ負けるものではなかった。そして、鼻詰まりとタンが絡む以外は、普段と全く変わらなかった。
 好天が約束されていたはずなのに、上昇気流が見る見る間に青空を狭め、五竜岳側を真っ白に、何とか見えていた白馬三山も、怪しい雰囲気になっていってしまったのです。しかし、唐松山荘・そして唐松岳に登ってからは、立山・剱岳をはじめ、毛勝三山、そして、で~ェんと五竜岳が目の前に現れた。只、白馬方面は、天狗の頭より上が、なかなか晴れなかった。今日も山頂滞在時間は1時間半とゆっくり時を過ごし、先の一週間のモヤモヤを払いのけれた感じの山行であった。

 山頂を後にして降りかけたところに、「元さん?」と声をかけてくれた人がいた。「え~ッ、どうして? 富山県の方?」と尋ねると、「私も高岡」と言って、快足を飛ばし降りて行かれた。「山ノ神」が、“ 声をかけてくれた人に、名前も聞かないで放って置いていいのけ・・・”などと言われては格好がつかず、私も追いかけて名を尋ねた。
 何とその方は、私と中山君の間では噂になっている澤課長(今の役職は知らないが・・)であった。もちろん、面識も無かったが、何故かホットしてしまった。八方尾根から登った彼は、唐松岳から直接祖母谷温泉(泊)に下り、今度は不帰・清水岳を経由して、白馬岳(泊)へ。そして、三日目の今日は、唐松岳に戻り、八方尾根を下りる途中なのだという。また、天狗みたいな方と知り合いになれそうである。







 ■■■ コースタイム ■■■
高岡4:05=小谷道の駅(6:15~25)=黒菱平(7:10~25)=黒菱リフト上(7:45~50)=八方山荘(8:20~30)=息ケルン9:00=八方池9:20=雪渓(10:00~20)=丸山ケルン(10:40~50)=唐松岳頂上(12:00~1:30)=丸山ケルン(14:25~30)=雪渓14:45=八方池(15:40~50)=八方山荘16:25=黒菱リフト上(16:45~55)=黒菱平(17:10~25)

 ■■ 同行者 ■■
       比佐恵