元   ち   ゃ   ん   の   山   紀   行
金 峰 山 (2,599㍍)
<山梨県須玉町、長野県川上村>  平成12年07月03日



松沢夫妻と再会
富士見平小屋前で
原生林を行く
大日岩の基部で
金峰山の稜線
金峰頂上、方丈石
千代の吹き上げからの稜線
瑞牆山をバックに頂上で
金峰山頂上で
帰路の林道で瑞牆山を見る
頂上附近でのイワカガミ
シャクナゲの量が凄い
ク リ ン ソ ウ
ア  ヤ  メ
 金峰山の呼び名は、山梨県では、「きんぷざん」長野県では、「きんぽうざん」と言われているらしい。
 昭文社の「山と高原地図」、山と渓谷社の「山の便利帳」では、頂上の標高が2,599㍍。また、山と渓谷社の「日本百名山登山ガイド」では、2,598㍍となっている。そして、頂上にいってみると2,599㍍の標識と2,598㍍の標識があった。
 以前から、金峰山と瑞牆山の山行機会を待っていた。7月3~4日の連休を利用してゆっくり楽しむつもりでいたのだが、4日は、家の都合が出来、夜行日帰りの計画になってしまった。

  23時過ぎ出発。神岡、平湯、安房トンネル経由で松本に出る。松本、須玉間は、中央高速に乗り、インターを出て、まだ薄暗い道を「まっすぐに行って信号を右折し進み、三つ目の信号をまた右折する。」を守り増富温泉に向かった。
 はじめての道は分からないもので、工事の標識や分からぬ地名の分岐に差し掛かった時は、右往左往するものである。一番困るのは「通行止」の標識が立ててあるものの通行可能の時である。何処でストップを掛けられるかと思いながら、難なく瑞牆山荘横の駐車場に着いたのが、予定より早い4時半過ぎだった。

 早速山行準備に掛かるやいなか、隣の車から「高岡の本間さんじゃないですか?」と声が掛かった。見知らぬ人からの一声に一瞬「私もホームページのお陰で全国区の人になったのか!」と思ったくらい…………。よくよくお話をすると2年前の6月に新潟県の鉾ヶ岳山頂でお会いし、溝尾までの下山路をご一緒した松沢夫妻ではないか!懐かしさのあまり思わず手を握り締めてしまった。

 出発前に家内を含めた4人で再会の記念写真となった。山中で一泊する予定の松沢夫妻より一足先に瑞牆山荘前から、シラカバ林の中を、昨夜の雨で少しは、ぬかるんでいるがさほど気にすることなく、 何時は合流する幾通りもの道をまるでパズルのように選んで歩く。12~3分で林道に出る。
 「林道を歩くと瑞牆山の展望がいい。」と、小さな看板が掛けてあったが、無視して急登を選ぶ。スバナラの林でクリンソウを見つけ、やがてなだらかな尾根上からは、カラマツ林の間から瑞牆山の奇峰が浮かび上がってくるが、写真を撮る機会を失ってしまった。

 テント場や水場の標識を見ると、富士見平小屋のある富士見平に着いた。早朝だからか人の気配もなくアヤメが古い小屋の横でひっそりと咲いていた。富士見平は瑞牆山への分岐点でもあり行程は2時間程度。富士見平からひと登りするし、飯盛山をトラバースするように、奥秩父特有の木の根や石に苔のついた平坦な道になる。展望台への分岐を過ぎた頃からシャクナゲの木が多くなってくる。遅咲きの花が未だ少し残っており思わず「花とおじさん」の記念写真となる。パッと開けたところの道の下に青い屋根の大日小屋があった。

 再び縦八丁の名のある原生林の急登が始まり、左右には相変らず凄い量,高さのシャクナゲの木が続く。また樹木の先だけに枝を延ばすヒメコマツの森林も印象的だった。
 大日岩の岩壁の基部に出て一服する。展望台と称する鷹見岩が大きく見え、その奥の山並みが八ヶ岳と他の山々の選別が出来なかった。大日岩の基部を回りこむように5~6分程進むと小川山との広まった分岐に出る。上から下りてきた一人の登山者が迷ったらしく、道を尋ねられた。相変らず苔むした原生林の中を、木の根や岩が露出した道を汗ばみながら行く。
 高度を上げてもシャクナゲは続く。何時しか地図に載っている「砂払い」と言うところも見逃してしまった。記述するのが遅れたが、登山口から、ずーっと何か小さい虫に家内は行く手を遮られる程の違和感を感じていた。立ち止まっては払い、目に入ったといっては立ち止まりだんだんペースが落ちて行く。

 森林限界を抜け視界が広がり岩稜歩きとなるところが「千代の吹き上げ」と呼ぶらしい!長野側はハイマツに覆われているが、山梨側は断崖絶壁である。瑞牆山は、ガスに覆われてきたが、金峰山への稜線ははっきり浮かび上がり五丈石が最高点のように見える。稜線歩きとその尾根をトラバースするように登って行くと金峰山荘への分岐に出る。
 この先はもう少しなのだが、これからが大変!実のところ家内は、山好きなのに岩稜歩きが大の苦手なのである。岩から岩へ飛び移る時や、足掛かりの余りない一枚岩などに遭遇したらそれは大変なのである。手取り足取りになってしまう。こうなるといっぺんにエネルギーが消耗してしまうらしい。金峰山の象徴、五丈石に着いた時には、登山口で別れた松沢夫妻が追いついてこられた。
 五丈石の基部には、立派な方位盤があったが、もうガスに覆われ周り中何にも見えなくなってしまった。東西に長い山頂のある三角点は、左手の一段高いところにあった。

 歩き始めから5時間、乾ききった喉元を冷たいビールで癒そうとした瞬間、ガスが切れ瑞牆山が現れた。しかし、何時の間にか何組かの登山者が現れ記念写真のシャッターを頼まれる羽目になった。それはそれで良かったのだが、自分のカメラを持ち出した時は、またガスに覆われてしまった。
 落ち着かぬ山頂で、結局コンロも出さず、「先行きの天候の心配」「瑞牆山登頂」の事を考え何時もより短い山頂滞在となった。(他の人からみれば、決して短くない。)先程登ってきたところを下るわけだが、一寸は慣れたかと思ってみたが、タイム的には同じになってしまった。

 樹林帯に入って暫くすると雷が鳴りだし、雨になってしまった。たまらず雨具を着込んだがこの先も続くか判断の難しいところであった。山の上部は、ガスに覆われゴロゴロ、下界は晴れ間が広がっている。
 もうこの頃から、家内の右膝が痛み出し階段状の所は、歯を食いしばって下りているのが分かるようになった。平な所は何ともないらしいが、長い距離を歩いた後の下りは、このようなケースが多くなってきた。年令的なものだけではなく、日頃の訓練が必要です。(?)

 そうしている内に、松沢夫妻に大日岩で追い抜かれてしまった。その後、大日小屋で休憩中の松沢夫妻に登山道から何時しかの再会を願って、またお便りをする約束を込めて手を振りながらの別れをした。
 心配した家内の足も富士見平までのアップダウンの少ないところでは、足がスムーズに運んでいたようだ。しかし、富士見平到着が午後3時近くになってしまい、家内は予定の瑞牆山行きを、辞退し「私の単独」薦めたが、怪しい雲行きや待っている者の不安な気持ちを考えたり、帰路の長い車の運転の事を思うと、瑞牆山は、改めて出直すことにし、一寸長い道程だが、林道コースをとり、瑞牆山を眺めて下山した。




 雑 感
○増富温泉では、一風呂で1,000円の入浴料は、高いと入らず。
○須玉インターが分からず何回も同じ道をグルグルしてしまった。
○眠さのあまりか、中央高速岡谷ジャンクションで、間違えて名古屋方面に行ってしまい伊北までの往復28㌔も損してしまった。
○帰路の安房トンネルを通らず峠越え(750円節約)


    《コースタイム》

高岡23:15→神岡1:00→奈川渡2:00→松本諏訪湖S.A(2:50~3:00)→須玉3:40→ 瑞牆山荘前P(4:35~5:15)林道5:27→富士見平小屋(5:53~6:02)→ 大日小屋(6:57~7:00)→大日岩(7:25~50)→小川山分岐7:57→千代の吹き上げ(9:05~15) →金峰山荘への分岐9:30→金峰山頂上(10:10~11:10)→金峰山荘への分岐11:45→ 千代の吹き上げ(12:13~15)→雨が降る12:45→小川山分岐13:15→大日岩(13:20~45)→ 富士見平小屋(14:50~15:00)→〈林道経由〉→登山口(15:50~16:10)→高岡23:40            《松本~須玉間高速》


     〈同 行 者〉
         比 佐 恵