元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
駒 ヶ 岳 (1,487㍍)
<新潟県   糸魚川市>
平成13年11月12日



 これだけ山登りを続けながら、「山ノ神」は、「岩がある山」には、登りたくないと言う。かと言って、私一人の山行では、暫くは機嫌が悪い。「登れるか!登れないかの!」判断を任され、フォローをしながらの山行となる。こんな事で私の「聖域」が、段々と狭められていく。

大神堂の登山靴の案内板
登山口は、紅葉真っ盛り
 雨飾山の梶山ルートを目指す時の山口集落の手前に、大きな登山靴のモニュメントが、取り付けられている「大神堂」のバス停があり、駒ヶ岳登山口の案内になっている。根知川に架かる橋を渡り、集落までは広い坂道を行き、集落の中で突き当たって右へ、またすぐ左の細い急な道を登って行く。手作りの標識があり、忠実に進めば迷う事もない。紅葉真っ盛りの狭い道は、対向車が現れると一寸厄介かもしれないが、未舗装の広い林道を跨ぎ、やがて終点となる少し手前に「駒ヶ岳登山口」の標柱がある。根知川を渡って2.5㌔地点になる。その標柱から10~20㍍程カーブを登った所に小屋があり、簡易水洗のトイレがあった。地元山岳会の尽力のものと思えた。また、うまく使えば10台位の駐車スペースとなるだろう。

大岩壁の下で
岩壁を廻り込んで
 赤や黄の落ち葉が舞う整備された登山道を、落ち葉を踏締めながら20分程行くと、コップが置かれている水場に出る。その後もどんどん登っていくと、展望が利かないまでも、落葉後の木々の空間は、緑と違った開放感がある。

 何年か前に登った時の記憶と誤差があり、「もう少しで展望台」と「山ノ神」を励ますが、時間が経つに連れて、苛立って口数が少なくなっていくのがわかる。沢の横を通り、大きな岩の間を抜けて行くと、目の前に大岩壁が現れる。その大岩壁のすそのを、落石と足元を気にしながら通過するのであるが、この頃の「山ノ神」の緊張が最高潮に達していたと思える。木々が茂っているといえども、切り立った岩場には違いないし、岩が抉られたような所を歩くからだ。その後もロープが、施してある急登が待っている。やっとの思いで沢を渡り、視界の開けた所に、飛び込み台のような展望台が待っている。

 綺麗に見える雨飾山をバックに記念写真を撮るから、一寸奥に構えよと言えば、先程来の緊張とこの場所の環境で、足が竦んで立ち上がられなかったようだ。雨飾山を始め、後立山や明星山、青海の黒姫山の山々、姫川、日本海また糸魚川市街地が軒並みに見え、また、真下の低い所の紅葉が楽しめた。
 頂上に向かって歩きはじめ、やがて、緩やかな登りになってくると、雪が現れてきた。その雪に足をとられないように、下を見て歩いていた「山ノ神」が、頭上の木に、前頭部を強くぶつけてしまい暫く蹲っていた。木々の間を縫うように付けられた道に、薄っすらと積もった雪は、ガスが出て視界を閉ざせば、迷うかもしれないと思いながら登り、御前山と分ける標柱を見つければ、そこはもう駒ヶ岳頂上である。


展望台から姫川流域を望む 展望台から雨飾山を望む 頂上へあと一登り 駒ヶ岳頂上(バックは雨飾山)
阿弥陀山方面から風雲急を告げて来た 後立山も雲に覆われた 頂上への道には少し雪が・・・ 駒ヶ岳の岩峰を振り返る
 頂上は、日当たりが良いためか、雪がなく白い雨飾山と対比して、チョッピリ寂しい気もした。焼山にも、少し雲が付き、後立山の朝日岳から白馬岳方面の山々も、白い雲に覆われそうであった。ラーメンを作り、ビールを楽しもうとしている矢先に、阿弥陀山方面の真っ黒な雲が、凄い速さで頭上にやって来たと思う瞬間、「ゴロゴロ」と鳴り出した。雷鳴だけも、気持のいいものではないのだが、食事の最中でもあるし、何時でも退却出来るように一応の片付けをし、未だ隠れぬ雨飾山の雲の移り変わりを、眺めながら最後の一滴を楽しんだ。「サーッ」と、風が吹いたと思ったら雪になった。心残りではあれど、雨具を着て頂上を後にした。



  ★★★コースタイム★★★

高岡5:20=朝日6:40=糸魚川7:10=登山口(7:40~8:07)=水場(8:28~30)=岩壁の下(9:29~31)=沢を渡る9:51=展望台(9:56~10:15)=駒ヶ岳頂上(10:54~11:55)=12:25岩壁の下12:53=水場(13:51~53)=登山口(14:09~25)=糸魚川15:00=朝日(15:35~40)=滑川16:25=高岡17:20

  ★★★同行者★★★
          比佐恵