元    さ    ん    の    山    紀    行
小白木峰 (1,436.7m) 白木峰 (1,596m)
<富山市(八尾)、岐阜県宮川村> 平成21年02月02日~03日





悪天を衝いて、2月の白木峰に・・・





朝方からの降雪によるもの・・ 撤収準備を開始。 朝食を採りながら待機!


深く掘ったシェルターとの別れ・・ a.m.9:30 キャンプサイト発。 白木峰へ向かう事を決意して・・・


視界の利かない中を・・・ 時には、GPSで確認しながら・・・ 雪庇を気にしながら・・・


視界が利かない中、ようやく山頂近くの祠に辿り着いた。


強風が吹き荒れ、寒いだけの山頂。 白木小屋へのルートを模索! 不安がいっぱいの「山ノ神」


ようやく白木小屋に着いたが・・・ 中に入れるような状態ではなかった。 すぐに、谷筋から林道へだったが・・・


何処から何処まで林道か分からない。 何処を歩けば良いのか分からない。 1300mP上の林道に着く。


恐る恐る木々に捕まりながら・・ 怖くて足が先に出ない「山ノ神」。 ブナ林の中を行く。しかし・・・


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「2/3 コラム(山つれづれ・・)より」

2/3 午前3時頃まで星空であったが、何だかパラパラと音がすると思ったら雨であった。テントの中から、手を出して見たが、結晶が確認出来ず「わ~っ、雨だ!」 と思わず言ってしまった。しばらくの時間経過と共に、雪が混じって来たが、全くの視界なし。

 明るくなるまで、テントの中で、じっとしている事にしたが、「今日は、どうしたもんだ!」 と溜息をついてしまった。山ノ神は、このまま下山したいに決まっているし、私は白木峰へ行きたいし・・・

 食事をしながら、片付けをしながら、お天気具合を見守る事になったが、時々、小雪舞うテントの外は、相変わらず視界が殆どなかった。結局、小白木峰の山頂を発ったのは、午前9時半であった。

 白木峰と下山路の分岐1402m地点で、「1時間進んで、ダメだったら引き返そう。」 を条件に山ノ神を説得して、遅い時間であったが、白木峰へ足を向けた。

 分岐から1時間で1427mの標高点に達したので、「後、1時間余で白木山頂に届くから・・」 と無理矢理山ノ神を納得させてしまった。

 しかし、視界が10~30m程だったものが、その後は、殆ど前が分からず、凹凸どころか、切れているのかいないのかも分からないような尾根を進んで行く事になった。

 目が見えない人のように、ストックで、先や横を確認しなければならず、正に牛歩であった。只、GPSで方向だけは分かるので、その点は良しであった。

 切れ落ちているのではないかと思えば、反対に斜面が上がっていたり、平面かと思えば、ストックが掛からず、切れ落ちているのであるから、疲れは倍増であった。

 だから、山頂手前の祠に辿り着いた時は、ホッとした。でも、平面を歩くのも、何処が何処なのか、さっぱり分からず、白木峰の標識が、3m程先に近付いて、ようやく分かったくらいであった。

 かねてから、「2月の白木峰」 に、何となく拘っていただけに、今度いつ来られるか分からないからと、三脚を立てて記念写真を撮った。その間滞在は、5~10分ほどだったかもしれない。

 白木峰山頂から白木小屋までは、何処を歩いても良いはずなのであるが、クラストしているだけに、先が分からない斜面を、スノーシューに重荷を担いでおれば、尚更のように山ノ神は嫌った。

 仕舞いには、GPSが全く反対方向を示すようになり、疑心暗鬼ながら進むと、突然、白木小屋が現れた。休息をして温かい物を食したいと思っていたし、山ノ神にしてみれば、残してきた一本のビールを飲めると思って来たのであるが、屋根から落ちた雪で、入口が完全に閉ざされてしまっていた。それを取り除くとしたら、1時間は掛かるような気がしたので、すぐさま林道に降りた。(午後0時40分過ぎ)

 林道へ降りたつもりであったが、「林道がない。」 ホワイトアウト状態の上、林道が斜面化していて、何処が林道か分からない。先を歩く私に、山ノ神が違うのではないかと何度も言った。幸い林道は、山ノ神の一番嫌がっていたクラスト状態でなかったので、胸を撫で下ろしたが、ズルズルと谷側に滑るので、慎重に歩かなければならなかった。林道が曲がっているのでさえ、分からないのであるから・・・

 ショートカットを提案したが、山ノ神は首を立てに振らなかった。したらしていたで、降りた所が、林道かどうか、分からない状態だったから、正解だったのかもしれない。その林道でさえ、私は右にと言っても、山ノ神は左ではないかと言うほどに、全く分からない状態が続いた。疲れた。

 無雪期に1300mの駐車場から登山道を歩いて、一番始めの林道交差地点ある。その交差地点に辿り着いた時は、さすがにホッとした。(午後1時35分~45分)

 しかし、駐車場上のコルまでの斜面を降るのに、山ノ神の足が進まない。5分もあればと思っていたのに20分も要してしまった。また、この先のブナ林は、何の迷いもないだろうと進んだが、やっぱり少々ルートから外れたりした。「何回、間違うのか・・・」 と切れ気味の山ノ神に叱られる始末。

 一端林道(1170m位)に出て、もう一つ下の林道(892m位)までの間で、今度は大きくルートを外してしまった。その先からは、遠くても林道を歩く約束をしていただけに、間違うハズがないと高を括っていた。

 林道と林道の中間点辺りで、蛇行するようにルートを外していた。(GPSの軌跡より) 気が付いて、トラバース気味に登り返し、そのルートに近付こうとしたが、急斜面故に、山ノ神が動けなくなった。ならばと、降り気味に、その方向(左に)に行こうとしたら、私がスリップしてしまった。その滑落の様を見ていた山ノ神は、完全に固まってしまった。

 私が落ち着いた所で、山ノ神をその位置まで降ろし座標を見た。「もう林道を飛び越えている。この斜面を登り返す事は出来ない。困った。」 と思った。 時既に午後3時半であった。

 しかし、GPSのデーターは、その林道までしか入力されていないのに、その先に行っているわけがない。GPSが故障か・・・・登り返せない。降ればきっと沢になり滝になる。日が暮れる。でも、一応野宿する事が出来る。食料もある程度ある。でも、富山HCのようになるのかな・・新聞に出るのかな・・・などと頭を過ぎった。

 その時、切れていたハズの山ノ神が「落ち着け!」 と一喝した。その一言は、日頃の一言と違い私を落ち着かせてくれたのである。暗くなってからGPSの電池切れでは困ると思い、新しい電池と交換し、もう一度GPSをみた。落ちて来る雨を拭いながら・・・
座標の読み違いであった。

 山ノ神に、「あと、40m位我慢して、トラバース出来るか?」 と問うと、「行く。」 という。最も、行くしかないのであるから・・・・・・

 何とか本ルートに戻り、これで助かったと思った。ルートに戻っても、山ノ神からは、「あんたの行く所は、信用出来ない。」 とまで言われてしまった。
 その後、長い林道を、しかも、腐った雪上を歩くのは辛かった。行けども行けども着かなかった。





  ■■■ コースタイム ■■■
    一日目
 高岡6:30=車デボ地点(8:00~25)=取り付き(9:00~10)=871m(10:05~15)=1175m(11:30~35)=1297m(12:10~30)=1379m(12:55~13:05)=小白木峰頂上13:30
    二日目
 小白木峰キャンプサイト9:30=1408m分岐9:45=1418m10:20=1427m10:50=白木峰頂上(12:10~20)=白木小屋(12:35~40)=林道分岐(13:35~45)=1300mP上14:05=1170林道14:30=892m林道15:50=管理棟16:55=車デボ地点(17:15~30)=高岡

  ■■ 同行者 ■■
             比佐恵