元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
マルツンボリ山 (1,236.8㍍)
<富山県  平村> 平成14年12月03日



 無性に山に行きたくなった。M氏の山行報告や「EASの山歩き」を見て、心は「マルツンボリ山」に動いた。思い込んでから、雨の前日をやり過ごし、長い林道歩きを想定して、夜があけたら歩き出す為に、午前5時過ぎに自宅を出発する事にした。でも、やっぱりモタモタしてしまい、少し遅れたが未だ夜が明けぬ暗い道を五箇山に向けての出発となった。
 来春に平村下出から小谷川・西俣谷ルートを模索していただけに、人形山登山口横の林道を終点まで行って、後は斜面を駆け登れば良いとの情報は、私にとって、いてもたってもおられない状況にしてしまった。それは、来期の残雪時には、未だ行きたい山が多く残っているからでもあった。 


田向集落から林道を2㌔進み、左折し
て更に1.9㌔進んだカーブした所が決壊
林道決壊場所から歩行用に
迂回路が作られていた
中根平 積雪10~15㌢ 人形山登山口まではトレースがあった

 平村上梨で、庄川を渡ると田向集落がある。その集落の外れから、2㌔程進んだ所で左折し、高度を上げる。更に、1.9㌔進んだ大きくカーブする所で、土砂崩れのため林道が決壊していた。ヘアピンカーブのため真上にある林道に、歩行用の迂回路がつくられていた。薄っすらと積もった雪に、舗装してある所や、水っぽい所は、氷が張り、思わずツルリといくところだった。
 やがて、雪量が増えると、スキーのシュプールが現れその後を辿った。中根平に来ると10~15㌢位の積雪になり、いつ工事が行われたのか知らないが、この場所にあまり似つかない派手な山荘が二棟建っていた。
 人形山登山口に向けて、なおもシュプールを辿る。無雪期なら、ちょっとガタガタした林道を、車で5分も我慢すれば行ける所だが、雪原化した道を白い息を弾ませながら25分程掛けて歩いた。雪は40㌢位であろうか、少し湿っていて、あまり沈まなく快適な歩行が出来た。我高岡では、“そーらに乗る”と言ったものだが、その言葉の伝承は、もうなされていないようである。砺波地方では“すんずら”という言葉で、結構使われている言葉らしい。 

人形山から30分進んだ所で、
壷足断念!カンジキ装着
対岸の林道まで行くには、
ずーっと回り込まなければならない
カンジキを履いたら、
スムーズに歩行出来た
高度を上げるにつけ、人形山の
山並が浮かび上がってきた

 トレースのない林道を、沈まないと思って歩き始めたのだが、時折ズブッと予期せぬ所で、膝下まで沈むのである。それが、頻繁になると、もう壷足での歩行が嫌になってしまった。人形山登山口から30分の所で、満を持してカンジキを装着する事にした。
 カンジキを装着して歩き出すと、やや固めの雪の上を難なく歩く事が出来、何故もっと早くカンジキを使用しなかったのだろうと思ってしまった。遠~い対岸の林道を見ながら、一向に高度を稼げない行程に、この歩きで、果たして、山頂を踏んで帰れるのかと、不安が頭を過ぎり始めた。逆に少し高度を落とすように坂道をやや下って行くと、地図上では、Wの切れ込んだ船頭川の源頭と思える流れを渡り、また反対方向にでも進むのかと思うけれど、再びWの切れ込んだ源頭モドキを渡る。そこは、デブリとはいかないまでも、斜面から崩れ落ちた雪が、かなり量で林道を塞ごうとしていた。 


人形山~大滝山 林道終点で一休み マルツンボリ山頂より、「金剛堂山」 「スノーバレー利賀」スキー場の左後方
には、剱岳が先鋭な姿を見せてくれた

 今度は、少しずつながら、高度が上がり加減で、振り返ると真白な山の頂きが、手前の名もなき山々の上に姿を現してくる。北へ足を運ばせているが、西に目を向ければ、先程歩いて来た対岸の林道と、その先に中根平の山荘が小さく可愛く見え、袴腰山~猿ヶ山などの稜線も白く浮き上がらせていた。
 すぐ向かいに見ながら、ぐるっと回り込まなくてはいけない林道に、未だか未だかと思いながら、林道が二股になっている分岐に出た。ここは、「EASの山歩き」からの情報が、功を奏し迷わず右の上部の道を選択出来た。その地点から、10分程で林道が終っていた。やれやれとの思いで一服する事にしたが、何と、歩き始めて3時間半を要してしまった。
 林道終点から、雑木のさほど急ではない斜面を登るのだが、よく登られているのか、それとも、「EASさん」の付けたものか分からないが、キラキラしたテープが、我々を迷わせることなく、山頂に導いてくれた。


薄いベニヤの看板 マルツンボリ山頂で なだらかな山頂付近を歩く マルツンボリ山から林道終点に下る

 山頂は広く、何処が頂上か分からなかったが、杉が多く生えていて、その樹木の高い所に、古くて赤いテープが結んであった付近が最高点のようにも思えたが、もう少し南側で、先程のキラキラしたテープが多く巻かれた樹木の所を我々は最高点と認め、今にも割れそうな薄いベニヤに書いた標識を掲げた。
 杉が繁っており、展望は今一つなのだが、それを通り越して、東斜面に出れば、「スノーバレー利賀」スキー場が目の前に見え、その奥には白木峰、右側には、「金剛堂山」が大きく見えた。またスキー場左奥には、小さきながらも剱岳が先鋭な姿を見せていた。頂上と認めた場所から、南と西に目を移せば、三ヶ辻山、人形山、大滝山などが大きく見え、その右奥に小さく真白に見えた山は、大笠山、笈ヶ岳ではないかと、はしゃいでみた。
 帰りが遅くなって、暗くなってはいけないといいながら、またしても、滞在時間が1時間を超してしまった。 




 ■■■ コースタイム ■■■
高岡5:20=林道決壊車デボ地点(6:40~7:15)=中根山荘(7:45~50)=人形山登山口(8:15~20)=カンジキ装着(8:55~9:05)=船頭川カーブ9:25=第二のカーブ9:45=林道二股(分岐)10:35=林道終点(10:45~55)=マルツンボリ山頂上(11:40~12:50)=林道終点13:05=二股分岐13:12=第二切れ込みカーブ13:55=第一切れ込みカーブ14:07=第一休憩場所(コーヒーブレイク)(14:25~40)=人形山登山口15:00=中根平(15:15~20)車デボ地点(15:45~55)=高岡

 ■■ 同行者 ■■
        比佐恵