元 ち ゃ ん の 山 紀 行
松ヶ窪
(430.5㍍)
マッキン平
(316㍍)
富山県 大山町
平成13年01月15日
寒波の襲来の中、天気予報と朝の積雪量で、松ヶ窪行きを決断する事にしていた。
気温は低かったものの高岡の積雪は、思ったほどでなく出掛ける事にした。
でも、昨夜来の大雪の予報にビビッタのか、所要もあってか分からないが、我家の「山ノ神」は断念する事になった。
出発した時刻も悪かったのかもしれないが、路面が凍結しており、20キロ位のノロノロ運転が富山まで続いた。
4年前の2月に、小糸山へ出掛けた時、熊野川ダムまで車が入れたし、今回の目的地は、そのかなり手前の廃村になった集落で、また、昨年の9月に取り付け口を確認しており、そこから、藪のため身動きできない所まで進んだ事の実績もあり安易に出掛けてしまった。 途中、何処かのコンビニで簡単に食料を調達すればいいと思っていたのだが、ノロノロ運転が続き、もう少し、もう少し先と思っていたのが仇になり、お店がなくなってしまった。戻って調達してこればよかったのだが、「簡単な山だから」が、頭の何処か隅にあり、後々寂しい思いをしなければならなくなってしまった。
西小俣先の発電所附近の行き止まり
花崎を過ぎ、文珠寺の集落に入った頃は、土地の人達が一斉に除雪をしているくらいの凄い雪で、何故か自分だけが、遊びに行く罪悪感に襲われそうになった。
その先の最終集落西小俣に行かなければいけないのに、分岐で標識を見逃し、左方向の東小俣の集落に入り込んでしまった。熊野川の右岸に来てしまい、何か変だぞと思いながら、積雪が益々増えて行く。やがて熊野川をもう一度渡りなおし、西小俣集落の先の地点に出て行く頃は、除雪した道に、なお15㌢ばかりの雪が積もって道幅が狭くなっており、対向車の事を考えると不安が募ったが、こんな所に誰が来るものかと、開き直って先に進んだ。発電所を左に見て、暫く行くと、最終地点という事なのかブルドーザーで、前途に高く雪が積み重ねてあった。
除雪車がきたときの事と、この後、大雪になった時の脱出の事を、頭に入れながら車の駐車を考えて、いよいよ準備に掛かった。長瀬の集落(廃村)まで林道は、地形図を見てもかなりの距離がある。
深雪の為林道歩きも悪戦苦闘
とりあえず行こうと、第一歩を雪の中に入れると、カンジキを履いていても腰上まできてしまい、ストックを刺しても何の手ごたえもなく、身体を支える事が出来ないのである。足を精いっぱい伸ばし上面をならし、少しずつ上から踏み固めていく方法をとらないと、次の足が前に出ないのである。30分のラッセルも100~200㍍しか進まず、全身汗でビッショリになり、目にまで額から伝わってくる。これが単独行のラッセルの辛さで、綺麗に付いたトレースの距離が延びないのである。さほど傾斜のない林道ですら、このありさまなのだから、目的の斜面に取り付いたら、とても一人では、登れないと思うようになってきた。1時間も歩いたところで、食料も水もないのでは、この先は、とてもじゃないがダメの判断をし、退却となった。一時間以上歩いたところも退却するのに5分しか掛からなかった。
最近は、特別マイナーな所を目指すからかもしれないが、ピークに立てないで、退却することも増えてきた事に、何故か寂しさを感じている。でも、次回にその目的を達成したら喜びもひとしおなのだが!
では、「マッキン平」へは、行けないのかと、車で下りはじめた途端に、小さな雪崩が発生し林道を覆ってしまった。もっと崩れたらどうしようと、上から崩れて来るのを警戒しながら、スコップでとりあえず車幅だけを懸命に開けた。通過する時でなくて良かったと思いながら…………………どれだけの時が過ぎただろうか………………そして、西小俣へ
「とやま山歩き」には、西小俣集落の300~400㍍手前の右に、ゆるくカーブするあたりの小尾根に取り付くとなっているが、昨秋、「松ヶ窪」同様下調べした時は、全く分からなかった。
今回は目的の松ヶ窪のピークに到達する事が出来ず、そのうっぷんを晴らすためでもないが、ゆっくり車のメーターを見ながらの探索となった。取り付きとなる急階段の手すりが、雪の中に埋まりながらも、かすかに見えたので、悪いとは思いながら、ロータリー車が、高く積み上げた熊野川側に車をおいて、反対の斜面に取り付いた。
急斜面は、いきなり腰上まで雪で足が上がらず、ずり落ちてしまい、一歩一歩雪を固めながらの登行となる。階段が、あるくらいなのだから、おそらく神社まで道がついているのだろうと思ったが、眼下に熊野川が見えはじめた頃、それらしいものがなくなり途方にくれた。
低山特有の木々が、まるでパズルのように、私の身体に纏わり付いて、身動きが自由にならなくなって困ってしまった。小さな沢のような所を北西に進路を取り、滑り落ちる時は、木々にぶら下がりながらの奮闘である。やがて、沢とも尾根とも区別がつかぬ所では、只、コンパスだけが頼りである。なるべく、腰まで沈まぬ所を探し求めたから、進路がジグザグになったりして効率よくはなかった。
小さな斜面を登りきった所の前に、大きな水のない池と言えばいいのか、堀なのか分からないが現れた。左を見ると、これまた小さな神社があった。そうすると、これが空堀なのだという事が分かった。腰近く沈みながら、神社まで行き、おそらく神社へのルートは違っていたかも知れないが、何故か、やれやれと思ってしまった。そして、思い出したように12時半にもなるのに、今朝から何にも食べていないのである。でも、気を取りなおして「とやま山歩き」の説明通り暫く行くと、広々としたゆるい斜面に出た。そこがマッキン平である。
マッキン平の最高点
ゆるやかな斜面を登る時だけが気持ちよく、また藪の中へ突入である。それこそ、10㍍進むのに何分も掛かるのである。苦労して登った尾根は何の展望もなく、もしかしたら、一番高い所でないかもしれないが、おおよそ間違いがなく、316㍍のピークとした。
そのピークに長居する事もなく、50分程かけて登ったところを10分もかからないで下ってしまった。マッキン平からは、遠望は出来なかったが、右に尖山、左に来拝山が見え、それなりの景色を見る事が出来た。
空堀からは、今来たルートを辿ったのだが、風、樹木からの落雪で、所々トレースが消えてしまっており、何度か躊躇したものの、あっという間に取り付き口まで下りてしまった。
カンジキ、着衣を外し登山靴の雪を落としていたら、靴底が剥がれてしまった。何故、雪の時しか履かない靴なのに!帰路富山のお店に靴の修理をお願いしてきたが、暫く山行できなくなってしまいそうだ。
★★
コースタイム
★★
高岡7:00=発電所附近の車デボ地点(9:00~30)=退却10:40=車10:45=マッキン平取り付き地点(11:10~20)=神社(12:25~40)=尾根13:25=ピーク(13:35~40)=神社13:55=車デボ地点14:10=富山の靴修理店=地形図購入店=高岡
☆☆
単独行