元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
三ヶ辻山 (1,764.4b)
<岐阜県白川村>平成12年06月18日


 昨夜の空模様は一寸怪しかったが、今日は何とか晴れ、福岡、小矢部、福光経由で五箇山トンネルに入った。日曜日とあって観光バスを含む県外ナンバーの車が目立った。
<風衝地帯を行く>
 156号線の上梨から、対岸の田向に渡る。林道を中根平に向かうにつれて「日曜日だから、工事での通行止はないよね!」の心配をしたが、難なく通る事が出来、かえって上部の方は整備された道路となっていた。

 中根山荘から5分程なおもガタガタ道を行くと大きな広場のある登山口に着く。既に6台駐車しており、また、我々の後から3台の車がやってきた。日曜日としては、少ない登山客なのかもしれないが、前述したように昨夜からのお天気の状態からして、態度を決めかねていた人達が多かったのではなかろうか!

 午前11時、我々二人とあまり数多く語らない人達3パーティ4人が、パラパラと出発した。
 2,000年とやま国体の登山競技の会場にでもなるのだろうか、ところどころに小さな標柱が建っていた。一寸ぬかるむ山道脇に採り残されたひ弱なワラビが、また今夜の食卓に酒の肴となって上るかもしれないと思いながら、相変らずのマイペースで登って来る家内が追いつくまで時々立ち止まって待たなければいけない。汗ばんだ身体に曇り空ながらも時折強い日差しを受け、額から目に流れ込む汗を払いのけなければならない作業が一層堪える。
<鳥居のある宮屋敷跡>
 二日酔いのため体調の良くないと言う一人の中年男性を抜き、第一休憩所(1218b)で、登山口で一緒になった3人に追い着いた。「休憩所まであと200b」の標識からなかなか着かないと言う事が話題になった。

 小さくうるさい虫が纏わりつく中、山容を一度も見ぬまま第二休憩所(1380b)に着く。息が上がっている家内は、「目の中に虫が入る。」と嘆きながら何時の間にか500mlの水を飲み干してしまい、私のペットボトルにも手を伸ばそうとしていた。宮屋敷跡まで、この先20分程が行程的にも辛いところかもしれない。

 宮屋敷跡と言うくらいでしめ縄を付けた鳥居がある。休憩には格好の所で、何時もなら展望もよく、しかも快い風が汗ばんだ心身を蘇らせてくれるはずだったが、展望も風もなく、軽く口の中に食べ物を送り込んで、虫を避けるように先に進んだ。
 僅かな残雪の上を何度か通り過ぎて、イワカガミ、ウメバチソウ、ツバメオモトなどの可愛い花々と出くわす。また、風衝地帯では、ニッコウキスゲの茎が伸び今月末には、開花しそうに思えた。最後のぬかるみと急登を凌いで、人形山と三ヶ辻山の分岐に出た。

<三ヶ辻山頂上で>
 時刻は午後1時半。当初は、人形山と三ヶ辻山の二つのピークを目指す予定だったが、取りあえず家内の未踏の三ヶ辻山に足を向ける事にした。他の登山者達と道を異にして、踏み跡はあるものの、あまり刈り込んでない笹薮のような登山道を進んでいるうちに、太い木の根の上で足を滑らしてしまった。素直に転べば良かったのに、踏ん張ってしまったので、転ばず違った大きな木に向こう脛を強打、もう片方の足が攣ってしまった。おまけに左手中指も木々の間に挟んでしまった。あまりの痛さに暫くの間その場所にうずくまってしまった。「ワーッ」の大声に後方から家内が、駆け寄ってきた。「一瞬、帰りはどうしよう!」と思ったとか。快適に歩けたのは、ほんの少しだけで、相変らずの小さな虫の大群に付き捲られ、笹を掻き分けながらの登行となる。「こんな酷い山、やめようか!」とブツブツ言いながらも笹ヤブの斜面に咲いていた沢山のカタクリとイワカガミが心を和ませてくれたのが救いだった。やっと着いた頂上には、数年前にはなかった小さな「三ヶ辻山、1764.4m」の看板が三角点の上にのせてあった。この虫の状況では、食事をする気にもなれず、記念写真を2枚撮って、早々に立ち去った。

<人形山頂上直下の風衝地帯で>
 もう一度戻った分岐で、人形山へ行くかどうか迷ったが、とにかく何処かで食事をしようと言う事になり、人形山に10分程向かった風衝地帯で休息とした。人形山頂上も虫で悩まされる事間違いなし。
 この風衝草原で、ハクサンチドリとニッコウキスゲの蕾を見ながら、遅い昼食となった。いつも頂上では1時間以上滞在するのだが、今日ばかりは"虫君"に負け退散する事になった。そして、登山口到着が夕方6時になり、五箇山荘の湯につかるのはまたの機会にお預けになった。





<イワカガミ><ハクサンチドリ><カラマツソウ><ツバメオモト>


  《コースタイム》

高岡8:40→〈福岡、小矢部、福光経由〉→登山口(10:40〜55)→第一休憩所(11:40〜45)→第二休憩所12:10→宮屋敷跡(12:38〜50)→分岐(13:30〜35)→三ヶ辻山頂上(14:15〜20)→分岐14:50→人形山へ10分の所で休憩(15:00〜40)→分岐15:50→宮屋敷跡(16:33〜40)→第二休憩所17:00→第一休憩所(17:23〜28)→登山口(18:00〜10)→高岡19:30


   〈同行者〉

     比佐恵