元   さ   ん  の  山  歩  き
西鐘釣山 (740m)
<富山県 宇奈月町> 平成17年11月21日




 二日前「西鐘釣山に行きませんか?」と長勢君からメールが届いた。術後、まだ日数が経っていないのだが、先日の高坪山をチョッとでも歩いたからと思ってくれたのか、それとも、春から「西鐘釣山」に興味を示していたからであろうか、声を掛けてくれたのである。
   どんな所かわからない不安があるものの、この機会を逃しては、またしばらくお預けになるような気がして、「こんな身体で迷惑を掛けるかもしれないが、宜しければ連れてって欲しい。」と返事をした。「荷は、全部担ぐから・・」と私を気遣った優しいメールに、「尚更頑張らなくては!」と思った。


黒部峡谷鉄道「鐘釣駅」 万年雪展望台の後側が登山口 不安ながらも後に続く 始めから岩峰が聳え立っている

 魚津ICで長勢君と待ち合わせ、新しく乗り心地の良い彼の車で宇奈月へ。宇奈月の駐車場では、橋本君が既に到着していて準備を始めていた。
 今日はゆっくりとあって、午前9時発のとトロッコ電車に乗った。一時間足らずで鐘釣駅に到着し、すぐに西鐘釣山の取付きへ向かった。その取付きは、登山口と称するものはなく、コンクリートのトンネルを抜け、「万年雪展望台」と称した標柱の山側の鉄梯子から登るのであった。


岩峰の横を通過する感じである 点検道(作業道)には、
多くのロープや鉄梯子が付いている
落ち葉を踏みしめての急登

 「お~っと」と、いうくらいの切り立った岩峰に向かって、登り始めから急登である。350m程の標高差を一気に登りのである。しかし、時にはジグザグに、また要所にはロープが施されていて、普通に登るにはそう問題はない。
 今日は、好天に恵まれ、皆 「いいね!」 「いいね!」 の連発しつつ、お互いカメラのシャッターを切る。陽が当たると、葉を落としつつある樹木が色鮮やかである。


西鐘釣山頂上付近から、
憧れのサンナビキ山が見える
兄弟分の東鐘釣山と対峙する 稜線に出た山頂付近の鉄塔で
いつものポーズで決める橋本君
何故か、雄叫びをあげる長勢君

 送電線が走る尾根に出ると、雪で白くなったサンナビキが眩しい。すぐ北側の鉄塔に行くと対岸の東鐘釣山が素晴らしい。その先、煩い木々を漕げば、西鐘釣山のてっぺんに立つ事が出来た。黒部川を覗き込めば、吸い込まれていくような大きな岩の上である。

手前の山が、奥鐘山? 食事に適した場所を模索中! 山頂から黒部川を見下ろす 剱岳北方稜線の山々?
私は毛勝山と剱岳と思ったのだが

「あの山は何処?」 「こっちの山は、何?」 などと地形図と見比べるが、何だかよく分からない。黒部川上流奥に見えるのが、「奥鐘山だろう?」 「 手前か奥か?」 意見が分かれる。 「その右に、白く、そして、ギザギザに高く聳えるのは毛勝山?」 「位置的にはもっと右だよ!」 「では何?」 「剱岳に連なる稜線か?」 「いや、あの奥が剱岳だよ?」 「剱岳は見えないハズ。」 など初めての山頂で意見が分かれた。
 しかし、いつの間にか狭い岩の間で作ってくれたご馳走に気は注がれ、山座同定はどうでも良くなった。橋本・長勢両君に感謝である。
 前日に、奥鐘山に登って来た長勢君の話に聞き入り、今春、山頂に達する事が出来なかった名剣山、そして、不帰岳・百貫山の話題になる。滝倉山・サンナビキにまで及ぶ。どれもこれもが興味があるが、私にはどの山に縁があるのかな~。どちらにしても、今日同行してくれた両君の力を借りなければ、そう簡単には登れない事は確かである。


岩峰でご馳走になった。
若い二人はその後片付け!
河原を歩き、露天風呂を探す 黒部川の河原にある露天風呂は
好天にも恵まれ最高の気分であった。

 下りでも、私の身体を気に掛けてくれた両君は、鐘釣の河原にある露天風呂に案内してくれた。その露天風呂は、以前と違って、ちょっと人工的になったと言っていたが、私にしてみれば、奥深い黒部の峡谷で、素っ裸になりながら、やがて散る紅葉を眺められた事に、凄く感動を覚えたのである。


「平成17年11月21日のコラム」(山つれづれ・・・・から)

11/21 「好山病友の会」の若きメンバー長勢・橋本の両君は、私の病を治そうと黒部峡谷の山へ誘ってくれた。チョッピリ怖い思いをさせなければ、持病の好山病が治らないと思ったのであろうか、重い荷を担ぎながら、私の前後を固め、屏風がそそり立つような山へ、私の足取りを気にしながら誘ってくれたのである。その山は越中の百山の一座「西鐘釣山」である。
 最高のお天気に恵まれ、低山なれど、岩峰の頂上からは、サンナビキ山や奥鐘山が望まれ、兄弟分である東鐘釣山も対岸に向き合っていた。「あの山は?」 「毛勝山・赤谷山・池平山」などと意見が分かれ、山座同定は出来なかったけれど、そんな事はどうでもよかった。
 大きな岩の間で、二人は美味しいご馳走をしてくれた。「早く治ってよ!」或いは、「もう大丈夫と・・」 どのように思ってくれたかは分からないが、実に嬉しく思った。今年は登れないと思っていた私にしての新たな「越中の百山」の一座、「西鐘釣山」に、この時期になって登れた事が実に嬉しかった。登ってみれば簡単かもしれないが、なかなか機会がなければ登れない山である事は間違いない。登山口が何処であるかなど表示していないのであるから・・・
 下山後、河原の露天風呂に入れるサービス付きであった。術後完治途中の私には、素晴らしい晩秋のプレゼントであった。



 ■■■ コースタイム ■■■
高岡6:40=魚津IC(7:50~8:00)=宇奈月(8:40~9:00)=鐘釣(9:55~10:00)=登山口(10:15~20)=鉄塔のある稜線(11:00~10)=西鐘釣山頂上(11:20~13:20)=登山口14:00=露天風呂(14:15~45)=鐘釣宇奈月(16:00~10)=魚津(16:40~50)=高岡18:30

 ■■ 同行者 ■■
      長勢君・橋本君