元 ち ゃ ん の 山 紀 行

大 谷 山 (558.7㍍)
富山県 朝日町
平成13年02月06日



 小川流域の羽入の集落に着いて準備をする頃には、細かい雨が降ってきた。 今朝の予報は昨夜と違い、高い確率の雨の数値を出していた。
 羽入の集落附近では、車を止める場所がなく、小川温泉よりの道路が少し膨らんだ所に止めた。4~5分程歩き、集落の外側の林道にカンジキの跡があるので、それを追った。しかし、この道が違うと思ったのか、集落の中を通った方が楽だと思ったのか知らないけれど、2~3分程で途切れていた。壷足で行けるかと思ったのだが、やはりカンジキを装着し自分自身でのラッセルになった。
 しかし、暫く行くと、集落の奥からのトーレスと合流し、楽な歩行となった。日曜日か、また、お天気の良かった昨日に先客がいて私を導いてくれる。標高100㍍余りの林道の積雪は150㌢以上もある。でも新雪ではなく、しかも前任者の踏み跡を辿ればいい訳だから、少々の雨でも戻る気にはならなかった。

大谷山の標識
 小さな流れの右岸を歩きながら、前の日に、歩いたと思われる人の事を、自分の頭の中で描いていた。「私のように山が大好きな人。」「歩き方が不規則だな!」「すぐ休んでいる。」などなど。
 高い鉄塔が結んでいる送電線を潜った所から、左岸になり、いつしか、その流れの音も聞こえなくなっている。雨が気になってきた所で、雨具の装着なのだが、カンジキ、そして私の場合は、靴も脱がなくてならず、時間を費やしてしまった。
 この先で、有り難かったトレースが消えてしまい、杉林で休息した跡があったから"前日の人"は、ここで退却したのだろう。後は自力のラッセルと言っても、重い雪で足を抜く時は、一寸辛いが、新雪の事を思えばたいした事はない。

小雨の大谷山頂上
 林道が合流する所から、やたらに動物の足跡が目立つようになり、この先「熊出没」や「熊注意」の看板が頭の中から離れなくなる。
 その看板からもう少し進み、事前に地形図で確認しておいた、なだらかな杉林の尾根に突入する。(標高310㍍)
 杉林の中の、やや高い所を選んで西へ西へと進んだ。熊の後を追っているようで仕方がなかった。いつしか、リックの鈴だけでは物足りず、笛を吹きながらの登行となり、気が付いたら標高450㍍。  右に杉の斜面、左に雑木の斜面が、行く手に痩せた雪の尾根を作り出していた。左(北)からの谷がなくなり、小さな尾根と合流し、それを乗り越えたら、また、左に谷と言えばいいのか、斜面が現れてきた。右は相変わらず杉の谷。振り返ると棚山のゴルフ場が、また、石谷、蛭谷集落あたりの小川の大きな流れが見えて来る。
 そうするうちに、左(北東)から、大きな谷と尾根が出て来た。その合流地点が頂上らしく、左の谷と右の杉の谷とで突き上げた尾根が、頂上への誘導路に思えたから不思議である。もっと手前からは、その地点が鞍部に見えていた。最後の急斜面の登りは、あれだけ気にしていた熊の事なども、忘れるくらいの雪との格闘で、崩れてくる雪を踏み固めて、尚且つ斜行しなければならなかった。

大谷山頂上から負釣山
 小雨は降り続いているものの、頂上からの展望は、立木が少し煩い事を除けば、まずまずで、負釣山が険しく立派に見えた。期待していた大地の頂上と初雪山は最後まで姿を現さなかったが、黒菱山あたりの稜線が、ぼんやりと見え隠れしただけでも、良しとしなければ!
 頂上の雪量はどの位なのかわからないが、ストックなどでは、余りにも多くて測れなかった。2~3㍍なのではなかろうか!
 その頂上は広い台地状で、風当たりが強いからか、全然沈まなかった。赤布が一切れ、木の枝に結ばれていたが、久し振りに持ち込んだ「大谷山」の看板と記念の写真に収まった。
 帰路は、気温が上がって雪も緩んでくるが、構わず滑り下りるようにして、林道に出た。林道も所々で、やわい雪に足をとられながらも、何の問題もなく羽入の集落に着く事が出来た。時間があったので、大地山の登山口である朝日小川ダムの除雪状況を偵察に行って来た。



☆☆コースタイム☆☆

高岡5:50=羽入(7:25~40)=カンジキ装着=集落はずれ8:00=電線8:12=雨具装着(8:30~45)=尾根に取り付く8:55=大谷山頂上(10:18~11:16)=林道(11:43~45)=集落はずれ12:14=道(12:22~38)=小川朝日ダム(12:45~55)=高岡16:40
                 単独行