元  ち  ゃ  ん  の  山  歩  き
大 辻 山 (1,361㍍)
<富山県  立山町、上市町> 平成14年11月11日



 前夜のタイヤ交換でボルトを折ってしまい「雨飾山」行きを中止にしてしまった。ナットが一つなくても何とかなるだろうと思い直して、冬タイヤを装着したが、この時期のこの雪量では、遅い出発となってしまった。芦峅寺の雄山神社横を左折して、立山国立少年の家に向かう道には、シャーベット状にはなっていたが、相当の積雪であった。
 前日までは、大辻林道には全く入れなかったらしいが、今日は、除雪がされていた。しかし、その先はどのような状態になっているか分からず、恐る恐るの前進となる。城前峠から1.4㌔地点の平原で車をデボした。工事車両や除雪車と鉢合わせになったりしたら、待機場所がなく、慌てふためなければならず、長尾峠までの距離などを考えれば適当な所だと思った。しかし、車一台分の雪を、しかもそこに駐車する為には、相当のエネルギーを費やさなければならず、果たしてここまで車を上げてよかったのかと思いながらの除雪であった。


城前峠から1.4㌔の地点で車をデボ 車デボ地点から、鉢伏山 林道からの鍬崎山 林道からの薬師岳(白く見える奥の山)

 車デボ地点から20分程で、長尾峠に着いたが、除雪車が排雪のために、雪を押し寄せてつくられた駐車スペース2~3台分程あったが、それは来てみて分かる事で、それはそれで善しとした。
 やや林道を下りながら、⑨の標識のある登山口は、工事現場まで行くために除雪したからであろうが、高く雪が積み上げた感じになっていて、そこでカンジキを装着したが、もう正午に5分前になっていた。
 この時期の雪山に、こんな時間から登るなんて常識に外れている行為なのであろうが、頂上まで2時間の目標を立てた。前日に奥長尾山まで登ったと思われるトレースがついていたが、「立山国立少年の家」から歩いたようで、時間切れになったのだろう。
 また、もう少し積雪があったら、樹木が邪魔せず「鍬崎山」が大きく撮れるのであるが、この時期としては仕方がないところであろうか!


長尾峠からの大辻山 大辻山頂から大日岳後方の
剱岳を望む
大辻山頂から毛勝の山々を望む 大辻山頂から立山・弥陀ヶ原を望む

 ③の標識のある標高1025㍍の奥長尾山の先は、トレースがなかったが、山をやる者としては、これが結構楽しいのである。膝まで潜れば大変なのだが、苦にならない程の沈みで、まずまずのコンディションであった。高い所を歩いていくと、「国立少年の家」の山でもあるかのように、その行く先々に、標識がある。
 日が差したかと思うと、もの凄い風が吹き、帽子が飛ばされそうになり、降雪に遅れた木の葉が乱舞し、わたしのカンジキの跡の穴に埋まって行く。何とも不思議な光景で、そのトレースが、上から見るとまるで、土が現れているのではないかと思うほどである。
 ⑧の標識に辿り着いた時は、もう午後2時に8分前になってしまった。この頃から、ちょっとカンジキに、トラブルが発生して嫌な感じとなったが、予定時間を無視し、また⑨の標識をカットして、斜めに直接稜線に出るルートを進む事にしたが、時計を見ながら、“ もう30分オーバーしても何とかなる。 ” などと自分に言い聞かせて、上がらなくなって来た足に鞭打っての登行となった。
 稜線に出て、フーフー言いながら10~15分程我慢すれば、山頂の方向に青空が見えた。


好天の大辻山頂で戯れる 大辻山から大日岳を望む 風が吹き、私の歩いたカンジキの跡に
落ち葉が溜まった
黄昏の来拝山に日が落ちようとしていた

 先にも後にも誰も来ない山頂に届いたのは、午後2時半であったが、お天気もよく、今年1月第3週に来た時と、さほど遜色ない展望にも心が動かされ、家に帰れば、また同じ写真ではないかと、言われるのは必死なれど、シャッターを切りまくり、また雪の中を転がりまくった。
 “ おい、おい、3時ではないか! 日が暮れてしまうよ! ”
 ハッ!として、山を駆け降りた。長尾峠から、車デボ地点に帰るまでの林道で、薄暗い中に大きく墨絵のように見えた「鍬崎山」と、来拝山に日が落ちる様がとても印象的であった。






 ■■■ コースタイム ■■■
高岡8:40=城前峠より1.4㌔地点(10:35~11:15)=長尾峠11:35=⑨の登山口11:55=奥長尾山(12:20~25)=大辻山頂上(14:30~55)=奥長尾山15:50=登山口(16:05~10)=長尾峠16:15=車デボ地点(16:30~45)=高岡18:20

 ■■ 単独行 ■■