昨日の「大辻山」行きの林道歩きで疲れているのに、一杯飲んだ後、PCの前に座り込んで床についたのが、深夜の1時半を回っていた。連夜の寝不足は、さすがに、5時過ぎの目覚しに反応する事がなく、気が付いたら、もう7時過ぎで、予報よりも早く雨になっていた。
 この時間になると、ラッシュを外して、子供を見送ってからの出発とした。はじめから雨。それも低山とて雪の山である。"何が面白くて!"と自分の事を、棚に上げ腹の中で苦笑している。ここ最近、この病気が「山ノ神」に移ったのか、何処へでも付いて来るのである。山行は、もはや我家のライフスワークとして、形成されてしまったのである。
小さな橋を渡る(橋の上の雪は、溶けていた)

 「種」の集落を過ぎ、上市第二ダムの堰堤を通り過ぎる頃、雨足が凄くなってきた。これから歩く林道付近の駐車場で、雨具を着込んでいる姿を見て、工事用のダンプの運転手達は、「この物好きな!」と見て通り過ぎて行ったに違いない。
 1月3日に、同じこの場所に来た時は、未だ一車線の除雪中で、車を止める場所もなかった。あの雪も、直近の降雪もなく、しばらく続いた好天と、今日の雨でかなりの雪を溶かしてしまった。
 あの時の第一歩が、120㌢の積雪で、一寸進むだけでも、汗だくになったのだが、あの時3時間を費やした水道施設のある広場まで、30分位で来てしまった。"ここの積雪は何センチ?"などと、ストックを指して測量が始まる。HPに載せるためとは言え、今や山に関する「情報屋」気取りである。
高田さん達が作った雪洞で

 昨日は、好天で何処の山に出掛けた人も、放射冷却の恩恵を受けて、足元が沈むことなく、快適に歩行出来たに違いないが、雨、高温は、もはや、そのスタイルを崩れさせようとしていた。でも、カンジキを履かなくても、時折、ズブッと雪の中に足を潜らせることがあるが、まだ愛嬌の域である。
 無雪期の登山口である所に来ると、さすがに、1㍍近くの雪量になってくる。ここまで歩くと、雨具を着ているせいもあり、じわりと汗が滲んで来る。でも、吐く息は、そう白くは感じない。
雨の千石城山頂上で

 薄暗い杉林の中と鉄塔を過ぎると、小さな橋がかかっているが、その橋の上には雪がない。橋に降りたり、橋から上がったりする方が、雪が軟弱で嫌かも知れない。トラバース気味に次の鉄塔へ行く斜面は、日当たりの具合なのか階段が顔を出している。次の中間位にある鉄塔までは、昨日が好天で、大勢の登山者で賑わった名残のトーレスが至る所に見受けられ、崩れ落ちている。高度を上げるに従い、雨の洗われた木々が、生き生きして見えるから不思議である。振り返れば、はっきりとは見えないのだが、墨絵のように見えた大辻山や、高峰に繋がる山々が見えなくなっている。
 
雨の中の山頂からの展望

稜線に上がると何時もの光景で、早月の流れと薄っすらしか見えない大倉山。一向に止まない雨に、「山ノ神」曰く「ここで合っているの?」ただの雨でなく、雪の山の雨は、何故か何時もの山行と違ったものを感じるのであろう!2~3分程歩くと、稜線上の鉄塔に着き、やっと安心したらしい。
 時間が経つにつれ、雪の中に足を取られるようになる。カンジキを装着すればいいのだが、ナマクラなのと、雨は違った作業のする気を失えさせてしまうのであろう。
 昨日の大辻山行の折、今日のために、何枚かのフイルムを残しておいたのだが、この雨では、カメラが可哀想である。傘を出して、一枚撮ってみたが、悲惨なものである。
 千石城山山頂には、もう一つの楽しみがあった。昨秋、剱岳早月尾根でお会いした高田さんが、昨日同じ山頂で、「元ちゃんが明日この頂きに来るはず、雪洞を掘ろう!」となり、息子さんと二つの要塞を作り上げ、その後雪合戦に乗じたと昨夕メールが入っていた。
千石城山頂上

 雨が降りしきる山頂で、その雪穴は、何を使って掘られたのかわからないが、人の背丈が隠れるほどのものであり、それも二つである。仲のいい家族を頭の中で描いてみた。
 傘をさし、軽く口の中に、食べ物を流し込み、大日岳方面の下部しか見えないが、墨絵のような山々に靄が掛かって行く神秘的な光景を見ながら、ぬかるんだ尾根を下り始めた。
 ここでもカンジキを履くかどうか迷ったが、もう少し、もう少しで、ゴボリながら下った。橋を渡って杉林の中に入らなければいけないのに、右方向に行く「山ノ神」に、もう少し左に寄らないとダメと忠告するのだが、トレースが消えているとは言え、どうも合点がいかないらしかった。
 しかし、私の方向が正解で合った事がわかると、いっぺんに疲れが出たらしく、元気がなくなってしまった。林道もカンジキを使用しなかったため、必要以上に疲れてしまった。車に戻った頃には、雨もミゾレ模様に変わっていた。



 ★★★ コースタイム ★★★

高岡9:05=上市第二ダム早乙女湖林道入口(10:00~10)=登山口10:55=稜線(11:35~40)=千石城山頂上(12:05~30)=登山口13:15=林道入口(13:55~14:15)=高岡15:30

   ☆☆☆ 同行者 ☆☆☆
         比佐恵