元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
白 木 峰 (1,596㍍)  
<富山県八尾町  岐阜県宮川村>
平成15年07月07日





 はじめからずーっと雨。ワイパーをフル回転しながら、大長谷を走った。近頃は、「白木峰」も雨の山行に組み入れられた感じで、この大長谷を走る機会が多くなった。
登山道と林道の交差する所の標識
 「21世紀の森」から、林道に入ると雨も小降りになり、標高1300mの駐車場に着いた頃には、雨も上がった感じであった。本来は雨上がりの緑は、気持ちの良いくらいの景色にならなければいけないところだが、ガスに遮られて遠くを望む事は出来なかった。
 また、これから向かう上部は、ガスが濃く雨も予想されたため雨具を着込んでの出発となった。

 昨年の雨の時もそうであったように、今回も上りは林道を経由する事にした。登山道を登るのよりは、数分多く歩かなければいけないが、意外と花が咲いているからでもある。
   雨具の下は半袖であっても、少し歩くと汗ばんで来る。そんなに速く歩かなくてもいいのだが、これも長年の癖でしょうがないところである。金剛堂山が、ガスの合間から姿を現すと同時に、快い風が吹き抜けて、汗を伴う山行の良さを感じる。


林道から白木小屋へ 白木小屋付近のニッコウキスゲ ガスの中の白木峰頂上

 ガスは濃いが、山中は下界ほど雨が降らなかったようで、林道には水溜りも少なく、側溝の流れも大した事がなかった。昨年覚えた林道上の草花の名もまた忘れてしまったが、「ギボウシ」だけが大いに目立った。 
ギボウシ


 「あれは仁王山?」「いやもっと右奥だよ!」などと、残雪期に二度登った事のある山だけに、他の山とは違った思いがある。右にカーブする所に、ニッコウキスゲの黄色の固まりが見えて来ると、その左側上に白木小屋(白木峰山荘)がある。
 
ササユリ

 白木小屋付近には、固まってニッコウキスゲが咲いていたが、昨年よりは数が少ないように思えた。
 山頂付近は、風こそ強くはないが、予想通り視界の悪い中を進む事になる。木道でイワイチョウを撮ろうと思うが、霧雨の中では、なかなかアングルが決められず苦戦する。一輪の小さなツマトリソウを見つけたが、やはりピンボケになってしまった。

 今日も誰もいない霧雨の中の山頂で、意外と少ないニッコウキスゲに驚いたが、ギボウシとササユリだけが目立ってしまった。
 ニッコウキスゲが不作の年なのか? それとも考えたくないが、心無い人の持ち去られたのか?などと悲しい思いにさせられた。 私の思い過ごしであって欲しい!  


浮島への木道で、ニッコウキスゲと 浮島で小休憩 ササユリの鑑賞を終えて

 
下山時に晴れ間が広がる
   期待に反したニッコウキスゲに視界が伴わない山頂から、いつもの事ながら、木道に乗って浮島に向かった。
「やっぱり、ここも何だか少ないね!」
「まだ、これからなのかもしれないよ!」
と慰め合いながら、お互い群落を求めていた。雨の日に来る事が多くなったせいもあり、遠望を求めず、自ずと足元の小さな花に目が移るようになった。
 木道そばに、小さなランのような花を見つけたが、これもピンボケ。
「トキソウ」か「サワラン」のどちらかなのだろうが、今のところ「トキソウ」らしい。
分かると嬉しいのだが、分からないとイライラしてしまう。

 誰もいない地糖の浮島では、霞んでいてそれなりの雰囲気はあったのだが、誰もが欲なようにそれ以上のものでないとダメなのか、長居はしなかった。シャクナゲも一花だけ、モリアオガエルの卵も時期を逸したのか、例年よりは少なかったように思う。
駐車場に向けて急な登山道を下る

 再び山頂に足を運んでいたら、我々と同じような「山バカ」の夫婦らしい一組とすれ違い、「ワザワザ雨の日に・・・・」などと、お互い笑いながらなじり合った会話が面白かった。
 山頂を通り過ぎ、ニッコウキスゲより、ササユリを見たいという「山ノ神」の要望にこたえて、小白木寄りに祠から下った。
 そこは例年より多くのササユリが咲いていた。そのササユリとの再会に、ご満悦だったのか、「山ノ神」の帰路は足取りが軽かった。
 ヘリポート付近で、白木峰がどんな所か調べに来たという熟年の夫婦に、“ニッコウキスゲの群生している所は何処か?” と尋ねられた。車の行ける所までのつもりで来たのだが、ついつい上まで来てしまったと言う出で立ちは、背にも手にも何一つない格好であった。恐らく一面がニッコウキスゲに埋め尽くされている期待を持っておられたのだと思うが、頂上まで行って来たのだと言われては、あそこが咲いている所だとは言えなかった。
 まだ早かったのかも知れないが、私も少し寂しく思ってしまったくらいだから・・・・・
 一日中、雨のつもりで来たから、下山時のガスの切れ間や、一時の晴れ間は、“おっおっ”と声を上げてしまった。
 駐車場から車を出してた下りでは、5台の車とすれ違ったが、彼らはあのニッコウキスゲを見てなんと思うだろうと心配してしまった。 






  = コースタイム =
高岡7:35=1300mの駐車場(9:30~50)=白木小屋10:35=白木峰頂上(10:50~11:00)=浮島(11:25~45)=白木峰頂上12:10==小白木峰方面にササユリ観察==ヘリーポート12:50=駐車場(13:20~30)=高岡15:15

 … 同行者 …
        比佐恵