元 ち ゃ ん の 山 紀 行

白  鳥  山(1286.9㍍)
平成12年05月08日



<白鳥山坂田峠のカタクリ>

 昨年の同時期に苦汁を味わった突坂山。

 前夜での天気予報は、「午前中は雨、ところによっては雷。昼から晴れ」今年は、残雪が多いし、相棒「はるちゃん」のキャンセル。ガスの中を一人で、しかも、なだらかな広い尾根の下りを連想すると、イヤになりパソコンに夢中になった。と言ったものの未練がましく早朝4時に目覚ましをセットし、深夜の1時半過ぎ床に入る。一眠りしたあと外に出て、ずーっと空を見上げていたが、霧雨で判断がつかない。パソコンで天気予報を見ると,降水確率の数値こそ下がったが、雨の予報に変わりなし。呉東の回復はなお遅い。

 でも折角"一人の休暇"をもらったからには、出掛けなくてはと思い、二つの山を頭に置きながら、雨が上がった6時過ぎに出発する。コンビニで簡単な食料を買い込み、トロッコ電車の始発時刻を考え高速へと思った途端に、また雨が降り出してしまった。

 そうなると心が揺らぎ「突坂山→白鳥山」になり、8号線を走った。しかし、だんだん天気が良くなるような気配を感じ、再び滑川から黒部まで高速となった。でも、黒部から宇奈月へは、どんよりとした薄暗い空模様になった。2番電車(黒部峡谷鉄道のトロッコ電車)の発車まで、駐車、準備をしなければならず、残されたタイムが15分。また思案をしているとザーッと雨が来た。さすがに、これではダメだと思い、経験のあるしかも行程の短い白鳥山に「正式」に変更する事にした。

 突坂山に未練を残しながら、白鳥山の坂田峠下の駐車場に着いたのが9時を少しまわっていた。そこで見た光景にまたビックリ、峠を打ち抜いて林道工事(林道金山線と称していた。)をやっているではないか!「何故!と思わず言いたくなる。私には自然破壊の何物でもない。」
 その林道の土手沿に可憐なカタクリが痛々しく咲き誇っていた。やるせない気持ちで出発準備をしていると、私の痛くなる胸を察してか、ザーッとまた雨が来た。たまらず車の中に逃げる。雨宿りをしていると、新しく購入した三脚と、折りたたみ傘を、家に忘れて来た事に気が付く。
 雨が上がった9時50分、林道工事に抉られた片隅の土手に咲くカタクリを見ながら、金時坂を登る。金時坂は急登だが、ブナの息吹が感じられ、衰え気味の視力が回復したかのように、何故か気持ちがいい。順調に20分程登ると、やがて、←金時坂→の標識がある。ちょうどこの坂の半分くらいになるのだろうか。もう10分程先に進むと、登山道がほとんど雪に覆われていた。
 あまり正確とは言えない私の高度計が、960㍍を指していた開けた広い尾根で5~6分休憩した。その頃から、少し青空が見えてきた。

 そこから木々の間をぬけて雪の付いていない坂道を3~4分程下ると沢に出た。その沢を左に進み4分、二又を今度は右に進み、4~5分程のこのあたりが、シキワリか?今年は残雪が多いが、雪解けと共にシラネアオイがたくさん咲くところだ。また5分程進み、帰りは滑り応えがあると思われる北斜面に取付く。登りきった所から、1100㍍代のピークが見える。東側に見えるのは、青海の黒姫山かな?チョッピリ急登をしのげば、後は広くなだらかな尾根を高いところに、向かって進めばいい。

 11時35分(標高1200㍍)山小屋が見える。今日も一人の白鳥山は、何時の間にか青空がいっぱい広がり早く頂上へ来いと呼んでいるようだった。東側は雪庇状のものが崩れて大きく口を開け、前回来た時、登山道上にあった「サワガニ山岳会歓迎アーチ」も雪の下だった。

 見上げると一寸雲が山並みの上にかかっているが、犬ヶ岳が見える。その右側に、私の大好きな初雪山が悠然とした山容を見せた。駆け上がって20分、12時ジャストに白鳥山に着く。初雪山の上部に雲がかかってしまった。


<初 雪 山>



 「うーん。でも白い栂海の山々を見る事が出来、そして、何よりも初雪山との対面出来て幸せ!(1月16日 負釣山からに次いで2度目。)
 白鳥山山頂にある小屋の周りだけに雪がなく、ほんの一寸の土の上にカタクリが可愛く咲いていた。すぐ食事をすれば良いものを、カメラを持って南側で初雪山.犬ヶ岳を、西側から焼山.黒菱山.大地山.初雪山を撮った。

<白鳥山頂上>


 たった一人の缶ビール1本では、"宴会"にもならず、ゆっくりと山々を美しさに見惚れていた。「私は幸せ」の1時間半もあっという間に過ぎ、3度目の山頂を後にした。
 広いなだらかな尾根を、快適に鼻歌気分で下りていたのだが、最後に来て少しガスが出たとは故、ルートを少し西側に外れてしまい、藪と小さな沢に出てしまった。下ったところを20分程、登り返さなければいけないのだが、ピッケルを持って来てよかった。赤い布切れを見つけた時は、ホッとした。


 《コースタイム》
高岡6:35→高速(滑川~黒部)→宇奈月(7:55~8:05)→家に電話し目的地変更を告げる8:15→白鳥山坂田峠下駐車場(9:05~50)→金時坂の10:09→雪に覆われる休憩(標高960㍍)10:19→シキワリ10:48→斜面に取付く10:53→平になる10:55→小屋が見える(標高1200㍍)11:35→白鳥山(12:00~1330)→下山路迷う(14:05~20)→坂田峠駐車場(14:40~15:00)→ 高岡17:15