元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
僧 ヶ 岳 (1,855.4b)
<富山県 宇奈月町 魚津市> 平成15年11月16日





烏帽子登山口
 富山に入いると雲間から山々の稜線が見え、海岸線側から明るくなっていく。しかし、宇奈月に入ってから俄然雲行きが怪しくなって来た。工事が行われていない日曜日を選んだが、平和観音像を過ぎてからは、林道上の視界も悪くなってきた。
宇奈月尾根
分岐の標識

 日が短いこの時期は、烏帽子口まで入れないと、山ノ神同行では、とても頂上まで行けないと思っていた。
 今日はメチャクチャ暖かいので雪の心配がないが、例年は11月に入ると車が上がれない事が多くあるはずである。やはり駐車場には、どれだけ日曜日とはいえ、この天気では、他の車があるはずがない。
 烏帽子口に着いた頃から、雨が降り始めた。
 「行くよ!」
 「今日は頂上を踏んですぐ帰ろうよ!」
 暖かいというものの、やはり山の事、林道の走行も含めて、雨が雪に変わる事が一番警戒しなければいけない。
 標高の高い烏帽子口から頂上までは標高差600m位であるから、往復4〜5時間程度なら、雪になる事はないであろうと雨の中の突入である。
宇奈月尾根分岐でチョット休憩

 始まりは、なだらか。
 「これならば!」と快調な滑り出しの「山ノ神」であったが、山登りはそんな所ばかりではない。
 やがて、病上がりの私に差を付けられる。
前僧・宇奈月コース分岐

 それでも、葉を落とした樹木の中は、雨でも何だか開放感がある。
 その雨のためか、何時もの「未だ休まないの!」「喉が渇いた。」がない。
 それなりに雨の山に緊張感があったのであろう。

 1時間ほどで宇奈月尾根との分岐に出た。
 「フーッ」と一息。お茶に菓子パンを食べた。
 酷い雨でもないが、じっとりと濡れた感じである。

 そのまま合流した宇奈月コースを、10分ほど南方向に進むと、前僧コースとの分岐(標高1600m)に出る。右が前僧ヶ岳への前僧コース、まっすぐ(左)が宇奈月コースの延長で、これが仏ヶ平で合流するのである。
宇奈月尾根分岐でチョット休憩

 幾つものぬかるみを越え、倒木を跨ぎながら進むのだが、結構時間を費やすのである。福平への分岐の標識がある大きなぬかるみを過ぎると、その上に「前僧ヶ岳」待っている。
 小さなケルンと文字の消えた標識のようなものが立っているが、前僧ヶ岳とわかりにくいかもしれない。
 その先に、真夏ならニッコウキスゲなどが咲き誇るお花畑で、風衝草原の「仏ヶ平」に出る。初冬を迎えようとしている今はその面影は全くない。中央に何も書いてない道標があるが、そこで宇奈月コースと合流する。

 頂上への道は「駒ヶ岳」まで夏道がついた事もあって、何故か広くしっかりしたように感じたのは、最近は残雪時にしか来ていないから錯覚なのかもしれない。


頂上でツエルトを張り簡単な食事 頂上でツエルトで雨を凌いだ

 「僧ヶ岳」と書かれた石柱が、冷たい雨に洗われて、より冷たく感じた。ブナクラ修復グループが作った「駒ケ岳」の夏道も、この目で始めて見たのだが、何時も雪で覆われている頂上付近の光景とは、少しギャップを感じてしまった。
 とりあえず、食事をしようと、小さなツエルトを小枝とストックに結んで、リックと身体を入れた。雨を凌いだ身体はすぐ暖かくなり、コーヒーとおにぎりを食べた。面白半分に狭いツエルトの中で、デジカメのシャッターを切ってみた。

 ツエルトの中に20〜30分もいたであろうか! 早々に引き上げる事にし、濡れたツエルトをたたんで仕舞い込み、担いで下山しようとしたその時、何と「黒部のシュンちゃん」が登って来たのである。
 「シュンちゃん」は、登山口で私達の車を見て、少しは想像していたかもしれないが、この雨の日に誰も登って来ないであろうと思っていた私達は、それもそれが「シュンちゃん」であるから本当にビックリであった。


長い林道歩き 中俣新道登山口

 「シュンちゃん」は、一ヶ月前にお母さんを亡くし、その悲しみとお母さんとの多くの想い出を担いで「僧ヶ岳」に登って来たようである。その「シュンちゃん」が、高岡の小竹氏夫妻と筏井氏がもうすぐ登って来るのだという。

 私はその3人とは正式の面識はなかったが、今秋4人で蓮華温泉から朝日岳を目指していた時に、逆に下って来られる小竹氏夫妻とカモシカ坂で一言交し合った事が後から分かったし、筏井氏は、「シュンちゃん」などを介して、メールのやり取りをしていた経緯があったので、何となくお顔を合わせて見たいと待つ事にした。

 その「シュンちゃん」と元々仲良しの高岡グループは、偶然にも登山口で遭遇しお互いビックリしての登山であったようだ。お互い「何で雨のこんな山に!」と思ったらしい。
 感激の対面で意気投合したというものの、せっかく美味しい食材を担ぎ上げられたのに、私達までご相伴に預かる事になってしまった。シュンちゃんの持ち込んだ大きなツエルトをタープに張り、楽しい雨中宴会となった。
 山は何て楽しいところなのであろう。




 ■■■コースタイム■■■
高岡6:00=宇奈月7:15=烏帽子登山口=(7:40〜55)=宇奈月尾根分岐(8:55〜9:10)=宇奈月コース・前僧コースの分岐9:15=前僧9:50=僧ヶ岳頂上(10:15〜12:30)=宇奈月コース・前僧コースの分岐13:10=宇奈月尾根分岐13:20=烏帽子登山口(14:05〜20)=林道を片貝川側に下る=高岡16:10


 ■■■同行者■■■
         比佐恵

 ■■■合流■■■
        「シュンちゃん」・小竹夫妻・筏井