元   さ   ん   の   山   紀   行
剱   岳 (2,999m)
<富山県立山町・上市町>
平成17年07月17日~平成17年7月18日




 「剱岳が大好き!」 「剱沢が大好き!」 「剱岳を登るのなら長次郎谷から・・・」であったが、年々剱岳への思いが遠のき、剱沢も3年ぶりである。長次郎谷も同じく3年ぶりである。「山ノ神」も剱沢キャンプは3回目であるが、いずれも私が長次郎谷へ行くため、テントキーパーとなってしまう。今年は、eiko女史の同行もあり、女性同士で違った山の楽しみ方をしたようである。

剱御前小屋前で 剱御前から剱沢へ キャンプサイトが見えて来る 剱沢から望む剱岳が好き!

 前夜に濃いコーヒーを飲んだわけでもなかろうが、テントのバタバタとする音に殆ど寝る事が出来なかった。
 しかし、一日くらい寝なくても、山中ではどうって事はない。軽い食事を済ませ、eiko女史と「山ノ神」に見送られて、午前5時剱沢キャンプサイトを後にする。


午前5時、長次郎谷に向かって出発 朝日を浴びながら剱沢を下る

 雪渓が大きく崩れて滝になっている所を過ぎ、夏道が途切れた所でアイゼンを装着する。左に武蔵谷を見て、次に「どんと岩」が出合にある平蔵谷を見上げてカメラのシャッターを切る。
 平蔵谷上部は何時も切れているイメージを持っている私には、「シュンちゃん、今日なら簡単に下れるよ。」などと余計な事を言ってしまった。剱沢へ戻る時間にも制限があるに・・・・。
 長次郎出合に来ると陽も閉ざされて暗くなる。3年前の土石流痕も感じられず、何となく登りやすいように思えた。


平蔵谷を見上げる 長次郎谷出合から

 今回は「ゆっくり」がテーマ。アイゼンを利かせてゆっくりコツコツ登る。熊ノ岩まで、一ヶ所クレパスがあったが、特別難儀するものではなかった。長次郎谷は毛勝谷などと比べて何となく明るく品を感じる。
 途中一回の休憩を入れて、熊ノ岩付近で中休憩。心配していた左俣(熊ノ岩の横)の雪渓がびっしりと着いていたので、胸を撫で下ろす。3年前は崩壊寸前で、右俣を経由した経緯がある。


サクサクとアイゼンを利かせて 長い雪渓の始まりである 熊ノ岩が見えてもなかなか・・・ 熊ノ岩付近で休憩!

 今年は雪の状態が安定していたし、「シュンちゃん」という強い味方もあり、要求されたのは耐久力だけであった。
 八峰6峰を眺め、少し感傷的になった。5・6のコルから6峰に、そして、8峰まで登った事をシュンちゃんに言った。マイナピークと1~5峰(下半)は未踏だが、登ろうなどと思った事もないと付け加えた。
 “ 源次郎尾根のあそこが懸垂場なんだよ!” “ 高2の時何も知らないで、麻縄で、しかもカナビラも使わないで降りたんだよ。” そして、その数年後、友人と再び挑戦したが痛い目にあった事も・・・・。
 もう岩はいらない。自分の技量にあった所だけで楽しみたいなどと思う今日である。長次郎雪渓あたりが、現在の私からみれば一番難度の高いところかな!


ガスが出る不安定な気象 クレパスを乗り越えて もう少しで長次郎のコルへ 長次郎雪渓を登りきる

 高度を上げるに連れ、傾斜を増すが、八ッ峰や源次郎尾根の形も変わって来る。時期を逸すれば、ズタズタに亀裂が入り、渡るにも勇気がいる。それ以上雪解けが進むとガレ場になる。
 長次郎谷の雪渓がどんな急であろうと、全面が雪に覆われいるなら、今春敗退した名剣山の狭くて暗いイメージの雪渓を登り下りする事を思えば、言い方が悪いがルンルン気分である。しかし、もう一週間過ぎれば、相当様子も変わっているに違いない。


一歩一歩確実に・・ クレバスが大きく口を開けていたが・・ 長次郎のコルを目指して最後の急登

 今日のテーマの如くゆっくり歩いた。岩峰を眺めながら、長い雪渓を見つめ直しながら、長次郎のコルの青空を目指した。コルからは、毛勝の山々や早月尾根はもとより、富山平野や日本海を望む事が出来た。コルからの本峰と反対側には、「長次郎の頭」が聳えている。

長次郎の頭を見上げる 八峰の岩峰群・長次郎右俣上部 長次郎左俣・熊ノ岩を見下ろす 長次郎のコルから本峰へ

 長次郎のコルから20~30分程岩稜を辿れば、今までと打って変わった雰囲気の山頂となる。新しく出来たという三角点にも触れて見た。30分程の食事時間に携帯を覗いて見ると、eiko女史と「山ノ神」から、別山から眺めているが、「手を振れ!」というものであった。おそらく雪渓上部を歩いている頃に受信しているらしいが、“ あてすっぽ” ではなく、まさか二人が登っているのが見えたのであろうか?

稜線を辿って剱岳本峰へ 午前9時50分剱岳頂上へ 頂上から剱沢・別山・雄山を望む

 剱沢へは別山尾根(一般コース)を下るのであるが、雪渓も岩稜も、今や普通の登山道でも登りよりも下りの方が、遅く下手なのである。その事を「シュンちゃん」に言うと「何回も剱岳に登っている人が何を言っているのか!」と一喝されてしまった。

岩場を駆け巡る「シュンちゃん」 カニのタテバイ 本峰をバックに前剱で





 ★★★ コースタイム ★★★

一日目
高岡4:20=アルペン村(5:05~20)=立山駅P5:30=立山駅6:20=美女平6:35=室堂(7:20~50)~地獄谷経由~雷鳥平(8:30~45)=剱御前小屋(11:00~30)=剱沢キャンプサイト(12:15~14:45)=剱山荘15:15=一服剱(15:45~55)=剱山荘16:20=剱沢キャンプサイト16:50

二日目
剱沢キャンプサイト4:55=アイゼン装着(5:20~30)=長次郎谷出合(5:55~6:05)=熊ノ岩(7:25~45)=長次郎のコル(8:55~9:20)=剱岳頂上(9:50~10:20)=平蔵のコル10:45=前剱(11:20~25)一服剱12:10=剱沢キャンプサイト(12:40~14:00)=剱御前小屋(14:45~15:00)=雷鳥平(15:45~16:05)=室堂(17:00~18:10)=立山駅19:15=高岡

 ☆☆ 同行者 ☆☆
         eiko女史・「シュンちゃん」・「山ノ神」