元   さ   ん   の   山   紀    行
剱  岳(2,999m)
<富山県立山町・上市町>  平成20年07月20日~21日



次第にお天気が回復し、展望が広がった剱岳山頂。



午前5時過ぎ、ネコ君に挨拶してから 剱沢を後にする。 雪渓をトラバースして、剱山荘へ


新しくなった剱山荘 剱沢方面を振り返る 剱山荘を振り返る 一服剱に着いて・・


イワギキョウ シナノキンバイ チングルマ


ようやく、少しガスが切れて来た。 いよいよ、鎖場が現れる。


難所・カニの横バイ 複線になっていて、前剱への上りルート。


7番鎖場、「平蔵の頭」 「何処を、つかめばいいの?」 平蔵のコルへ


平蔵のコル。(平蔵谷は雪がいっぱい。) 縦バイが始まる。 ビビっている人もいた。


トラバースも怖い! ようやく青空が広がった。 久しぶりにブロッケン現象!


雲間に剱沢が見え、別山・雄山も・・ 今年は、山頂の祠がない。新調中である。


それほどでもなかったが、多くの登山者が訪れた。 八ッ峰をバックに記念写真。


左に五龍岳・右に鹿島槍ヶ岳が浮かぶ。 遠くに富士山が見えた。


早月尾根と伝蔵小屋 カニの縦バイの降り。 鎖に繋がりトラバース。


足を伸ばすのに戸惑う所。 てっぺんにも、人が・・ 平蔵のコルの上(頭)付近の岩場


五龍岳・鹿島槍ヶ岳を眺めながら・・ 帰路・前剱にて・・ 剱沢に戻って、まずは喉を潤す。


予定より早い帰還にびっくりの山ノ神。 テントを撤収し終わって・・ 剱沢から剱御前へ雪を伝って・・ ハクサンイチゲの群落!











「7/21コラム(山つれづれ・・・より)」

7/21 早立ちの人達が、午前3時頃から、ザワザワしだしたので、テントから顔を出し、お天気を確かめてみると、ガスが掛かり思わしくない。ならばと、また、シュラフの中に潜り込んでしまった。でも、気になって、何度も、外の様子を伺ってしまう。

 「本当に行かないのか?(山頂に)」 と山ノ神に確かめるが、やっぱり行かないと言う。ならば、当初の計画通り長治郎雪渓を経由して、本峰へと思うが、お天気が回復するかもしれないが、それは、その時になってみないと分からない。一人残していって、ずっと、心配させるのもどうかと思うし、もし、遅れて帰って来たら、それこそ、もう一泊しなくてはいけなくなる。(帰れなくなる。)

 結果的に、別山尾根を選んだ。午前5時過ぎテントを離れ、ネコ君に挨拶して、剱岳山頂を目指した。雪渓まで見送ってくれた山ノ神に、「帰りは平蔵谷を降ってもいいかもしれない。それには、ピッケルがいる。」 僅か10分ほど、取りに戻ればいいのであるが、「降らないのなら、ピッケルは邪魔なだけ・・・」 「ウムム 一度決めたのだから、その通りにするよ。普通のコースタイムに、休憩時間をプラスすると、テントに戻るのは、正午頃かもしれないよ。」 と山ノ神と別れた。

 あまり速くない私なのに、結構道を譲って頂いた。カニの横バイ辺りでも、まだガスが漂っていた。縦バイを過ぎた頃から、青空が少しずつ広がってきた。ちょっと上の辺りで、「虹だ!」 と言う女性の声がした。駆け上がると、ブロッケン現象である。「手を振ってみなさいよ!」 と言うと、「エエ~ッ」 と驚きと感嘆の声に、何も特別の事をしたわけでもないのに、私は何だか嬉しくなってしまった。山頂には、ドンドン人が押し寄せて来る感じで、どの方も、雲上の人となったその素晴らしい光景に声は弾んでいた。

 あちこちで、「プシュー 乾杯!」 と賑やかであったが、昨日飲み過ぎたからであろうか、それとも、山頂での祝杯を、いつも山ノ神に譲っている所為であろうか、あまり羨ましくもなかった。30~40分の滞在であったが、これから剱沢へ戻れば、立山三山を縦走しても、室堂に充分到達可能ではないかと、その素晴らしい展望と別れた。

 平蔵のコル上に出た時、降ろうかと暫し迷った。充分に雪量がある。切れていない。ピッケルはないが、アイゼンはある。しかし、アイゼンがあっても、ピッケルどころかストックもない。初めの角度は、どの雪渓にも負けないくらい急ある。何かあったら笑われる。笑われるだけならいいが、二度と山に来られなくなる可能性もある。

 やっぱり、今朝決めた計画通りにしなければとなる。今朝も迷った。迷った時は、ろくでもない事が起きやすい。これこそ、またの機会があるし、その谷(雪渓)を降ったところで、自己満足だけなのであるから・・

 私は、岩場の降りは遅い。ヒョンヒョンというわけにはいかない。それは、当たり前の事で、やれる人は特別の人なのだと思い込むしかない。それでも、剱山荘までは、2時間足らず、剱沢キャンプ場までは、プラス20分程なのであるから、60歳のおっさんとしては、まずまずであろう。

 「帰ったよ!」 とテントを覗くと山ノ神がびっくり。「ネコ君・池さんご一行を見送ってから、食事をして、今から寝ようかと思っていたのに・・ 何で早く戻って来たのか!」 というような顔である。 「ちょっと食事に時間を掛けても、今からなら、立山三山を縦走しても、最終バスには間に合うよ!」 と言うと、山ノ神は、「私はダメ!」 と拒否。それよりも、ビールを冷やしてあるから飲めという。

 またまた、のんびり「いわゆる剱沢に浸かる。」 となる。お腹を満たし、ゆっくりテントを撤収し、ヨロヨロと歩き、剱御前小屋前(別山乗越)に着いたのが、午後2時過ぎである。三山縦走とはいかないが、「別山まで行こう。」 と山ノ神は言う。きれいな剱岳を望む事は出来ないであろうが、違ったピークを踏むのは私は好き。

 別山から戻ると、昨日の仲村トオルさんがいる。山ノ神は、ちゃっかり交渉し、私も乗っかり一緒にカメラに収まる事になる。ルンルン気分の山ノ神は、雷鳥坂の降りも何のその・・・ しかし、室堂までのアップダウンに四苦八苦であった。




 ■■■コースタイム■■■
  一日目
 高岡5:10=立山駅6:50=室堂(8:00~55)=雷鳥沢(9:45~55)=剱御前小屋(12:2045)=剱沢13:20

  二日目
   剱沢5:05=剱山荘5:25=一服剱5:45=剱岳頂上(7:25~8:10)=前剱9:05=一服剱9:45=剱山荘10:00=剱沢(10:1512:45)=剱御前小屋(14:00~15)=別山(14:40~45)=剱御前小屋(15:15~20)=雷鳥沢=室堂17:35=立山駅18:40=高岡20:00

 ■■■同行者■■■
        比佐恵