元 ち ゃ ん の 山 紀 行

牛     岳  (9 8 7㍍)
平成12年11月07日



 前日の八ヶ岳の天狗岳行きの事もあり、また、来週は父の七回忌法要のため準備もあり、今日の山行は中止の予定だったが、つい悪い癖が出てしまい、一寸の時間を見付け、牛岳に来てしまった。車で林道を走ると、対岸の山々が、ほどよく色付いており、ついつい見とれてしまった。

 紅葉の見頃は、終演を迎えており、五合目から六合目の間の登山道が落ち葉で埋まるような感じで、歩み出す靴に、その落ち葉がまるで、雪を掻き分けるよな「サラッ、サラッ」と腐葉土を踏むのとは、また違った感触で気持が良かった。
 落葉した樹木は、晩秋から初冬にかけた独特の風貌を保ち、黄や赤の幾枚かの残された葉が、見通しの良さも手伝って、そのコントラストは単独行には実にあっている気がしてならない。

 昨日は快晴、そして今日のお天気は霞んでいるものの晴れ。でも六合目から上は、落ち葉が濡れていて、所々がぬかるんでいる。昨夜は雷様が如雨露を持って、牛岳一帯に水をまいたのかと思っていたが、定かではないが、もしかしたら、霜が溶けたのかもしれないと思った。

 静かな山は、小さい流れや、葉が散る音も、また、日頃聞き漏らす小鳥のさえずりまでも私の心を和ませ躍らせる。
 無心で歩く事もあれば、過日の山行の回想をしたり、次行く山への想いを膨らます事もある。しかし、どれだけ山に入っても悩みは尽きなく消えない。

 何時ものように誰もいない今日の山頂からの展望は、晴れているのもかかわらず、霞んで北アルプスや日本海も見えず、砺波平野の散居村も薄っすらとしか見えなかった。約束の帰宅時刻を気にしながら、二台のカメラのアングルを求めながらゆっくり下りた。


《単 独》