元 ち ゃ ん の 山 紀 行

牛   岳 (987㍍)
富山県庄川町、山田村、利賀村
平成13年01月02日



 お正月の休日は、元日を除いて山行三昧と決め込んでいたので、少しぐらいの悪天でも気が滅入らなかった。
 牛岳毎月登頂の為にも早めに行っておきたかったし、家内が風邪気味で自宅待機を宣言したので、すんなりと決行となった。
 156号線も庄川町に入ると田圃がようやく白くなってきた。庄川の藤橋を渡る湯谷の手前の気温表示は2℃で水っぽい雪となった。

 利賀街道から牛岳林道に入ろうとしたが、10㍍程進んだところで積雪のためダウン。四苦八苦の末脱出し、林道入口の広がった所に除雪して車を止めた。出発にあたり、オーバーズボンを雪降る中で身に付けるとなると、私の靴が大きく履いたまま脱着する事が出来ないため、靴から脱がなければならず面倒なので、今日は最初から行動着として上下を纏うことにした。

 利賀街道を5分ほど歩くと左側に「ふるさと歩道」の看板が掲げてある。最初から雪道の登行となる。二度目の林道に出たら、それに沿っていけば、大きな案内板のある何時もの登山口である。重たい雪だが35~40㌢の積雪がある。杉林の中はさほどの積雪もなく壷足で充分である。四合目あたりから一番いやなミゾレになる。五合目までは車を離れて一時間を要した。
五合目から急登を7~8分程行った所で、積雪量が急に多くなりカンジキを装着する。(60㌢) 「ゴー」という風の音が鳴る。高度を稼ぐに従いサンタの森スキー場のゲレンデが見えて来る。この辺までが未だ少し薄っすらながらも視界が利いていた。

 六合目に来ると、風雪が強まり思わずフードを付けた。積雪量も一気に1㍍位に増えた。でも多いとは言え降ったばかりで、この程度の積雪では夏道を捨て、稜線への直登ルートをとるわけにはいかない。西側の斜面をトラバース気味に行くのだが、カンジキを履いて膝あたりまで来ると、どうしても歩行が遅くなる。また樹木が雪の重みに倒れたり、雪面が嵩上げされ、樹木のとの空間を這うようにしたりしなくてはならず、それを遠回りしようとして、尚更深みに嵌りニッチモ、サッチモ行かなくなり?かなければならなくなる。
 このルートの難関は、吹き溜まった西斜面をトラーバースして行く時に、細っている沢を、幾つか渡る時の足場が悪いことである。滑落しても、やがて何処かで止まると言う低山特有の安心感があるものの、この滑った沢だけは、黒い岩の様相を残しているので嫌な感じである。
 ルートファイティングやその緊張感故か、雪の中に埋まってしまっていたのであろう七合目、八合目の標識を確認することが出来なかった。八合目を過ぎ、暫くして最後の急登の場面では、雪の中に碁石のようにぽつんぽつん
と木々が立っており、どのルートを選べば良いのか分からなくなってしまい、一時強い風雪の中で立ち止まってしまった。

 そこは、近年毎月のように牛岳通い続けているだけの事はあり、決して方角は間違ってはいなかった。両手に持った125㌢のストックは雪に刺すが手応えなく、カンジキを付けた足が太腿まで沈み、息があがってしまう。ようやくお天気なら、砺波平野が見える九合目への水平に近い所まで来ても、前途に樹木が倒れてルートを塞いでいた。樹木に接すると、雪が締まっていないせいか、突然腰まで沈んでしまい、身動きが出来なくなってしまった。カンジキと雪中の木の枝とが絡み合い、足を引き上げようとするとピリッと攣ってしまう程で、首筋に雪が入っても冷たいなんて言っていられなかった。ここまで来たら、「もう少しだ。」と自分に言い聞かせ、只管、足を前に出して進んだ。頂上と三角点への分岐が九合目なのだが、雪が標識も隠してフラットな状態だった。
 頂上まで雪がなければ2~3分程の行程なのだが、深く潜る足は、疲れてきたのか10分掛かってしまった。

牛岳頂上 風雪強し!
 4時間半も掛かって着いた頂上は、風当たりのせいか祠周辺は積雪が少ない。そして、風雪は、私にほんの一時の休息の間も、与えてくれないほど真ともに襲い、楽しみに担ぎ上げて来た食料をリックから出す事さえ許してくれなかった。
 毎月連続登頂記念の写真撮影も、三脚が倒れそうな感じとカメラの濡れ具合が気になったのだが、仕方がないと少しの時間を我慢した。祠の片隅から、友人の中山君に「只今牛岳山頂、風雪強し、食事せず下山する。」と携帯で連絡し、冷たくなったパンを口の中に入れて、何一つ見えない山頂を後にした。でも体力を消耗しながらも、登りきった充実感は、自分の付けて来たトレースを、辿りながら踏み締める足に、余韻として快く残っていた。



   ◇コースタイム

高岡6:50=林道入口.除雪(7:30~40)出発8:00=二合目8:05=三合目8:22=いつもの登山口(8:31~34)=四合目8:39=ミゾレ降る8:54=五合目9:06=カンジキ装着(9:13~18)=風強く.サンタの森スキー場見える9:32=六合目(9:53~10:12)=九合目12:20=牛岳頂上(12:30~55)=六合目14:15=五合目14:34=四合目14:42=いつもの登山口14:46=二合目15:02=林道入口=(15:07~20)高岡


    ☆単 独