元  さ  ん  の  山  紀  行
薬師岳 (2,926m)
<富山県富山市(大山町)>
平成20年06月09日





  昨年も薬師岳にやって来たのであるが、前夜に飲み過ぎてしまい山の神がダウン。(折立) 結局、私の独り歩きとなり、時間の都合もあり、薬師平で撤退した経緯がある。残雪の状態次第であるが、「出来れば山頂まで・・」 を口にすると、山の神から計画自体を壊されてしまうので、今回は、「行ける所まで・・」 と、トーンダウンして出発となった。

登山口発が午前6時45分 30分もしない内に休憩となる アラレちゃんは、目印になる 標高1790mから残雪が現る


 荷に非常用の物を詰め込んだり、より楽しくという事で、キャンプするような重さになってしまった。でも、これくらいであったら、まだまだ山の神には負けない脚力はあると自負している。
 30分も経たない内に、「休まないの?」 の声が掛かる。グループ山行より、「二人だけの山行がいい。」 と言うのは、このわがままが言える所以であろう。
 その先を進むと、何故かアラレちゃんの看板がある。「太郎を愛する会」の作成とあるが、何故、薬師岳に、アラレちゃんなのか分からない。でも、時間の目安にはなる。」(三角点まで、あと60分、折立まで30分。)


何故かドラエモンが・・ 三角点は、標高1870m 有峰湖が見えて来る 北ノ俣方面上部にはガスが掛かる


 水っけがないのに、ミズバショウが、幾株も登山道に咲いていた。その先には、残雪が現れ、高度計を見ると、1793mを指していた。今度は、壊れかけた「ドラエモン」 である。それを過ぎれば三角点。(標高1870m)
 三角点を過ぎれば、有峰湖が見えて来る。右上には、北ノ俣岳からの稜線が見えるハズであるが、ガスに覆われ、はっきりは見えなかった。


樹林帯には残雪が多くある 全く雪の無い所もある 鍬崎山を見ながら・・ 五光岩ベンチ、太郎平まで2キロ


 雪がないと思っても、樹林帯には、結構な雪量があった。うかつに歩くと、ルートから外れる。しかし、視界が良いと迷う心配がない。後は、忠実に夏道を歩けばよい。
 五光岩ベンチは、標高2189m、太郎平まで2キロ、三角点まで2・4キロの地点。午前9時半着。「良いペースじゃない。」 と言わなければならない。「遅い。」 などと言えば、山の神がむくれて、益々ペースが落ちるに決まっている。


雪がの残る所、消えた所、まだらに残雪が・・ 太郎平小屋と黒部源流の山々


 標高2200~2300mを超えれば、さすがに雪量が増して来る。お花が無い時期だけに、展望を期待するのであるが、薬師岳山頂付近はガスに隠れている。北ノ俣岳や黒部五郎岳・笠ヶ岳方面も良くない。太郎平小屋に着いたら、水晶岳だけが、はっきり見える。外に出ておられる太郎平小屋の従業員の方々の様子を見ていると、シーズンイン前で、何だか手持ち無沙汰のように感じられた。


太郎平から薬師峠へ向かう


 太郎平から薬師峠までは、ちょっぴり木道の上を歩くが大方雪上である。しかし、峠へ降る所は、日当たりの関係なのか夏道が出ている。雪の状態は、気温の上昇からして、緩み加減であったが、アイゼンを装着する。

薬師峠でアイゼンの装着 薬師峠から自由なコース取りが出来る


 夏道の沢筋を通らず、やや北側を直登する。そして、薬師平に迂回せず、やや北寄りに進路を取り、途中から夏道に合流するようにハイマツの中を横断する。雪斜面に出た頃から雷鳴が轟きイヤな感じになる。東側に雷雲があり、西側には少しであるが、時々青空が覗く。しかし、真っ黒い雲の流れが速い。とにかく薬師岳山荘まで行く事にする。ピカッとなる度に、山の神が怯むが、ハッパをかけるしかない。
薬師峠から直登を試みる 薬師平を経由せず、ヤブを漕ぐ


 山頂まであと15分の標識のある所でアイゼンを脱ぎ、そのままで先を急いだ。薬師岳山荘手前で、避難小屋から薬師岳山頂付近の上部には青空が見える。と思ったらまたガスに隠れてしまう。その内、アラレが降って来る。とっさに、ヤバイと思った。30年程前、雹が降ったと思ったら、ピカドンと落雷となった事を目の当たりにしているだけにイヤな感じであった。

アイゼンを脱着 雷がゴロゴロと気持ちが悪い パーッと視界が広がった 薬師岳山荘の営業はまだまだ先


 雨具を着込んでタープを張ったら、その後は降らなかった。「山頂まで行って来たら・・」 と山の神が勧めてくれたが、雨具を着込んだ時点で、登頂を諦めてしまっていたので、それよりも食事を優先する事にした。昨夜折立入りして、早朝から山頂を目指したという高岡のT氏が下山されてきた。(高岡ハイキングクラブ所属だそうである。)今日、お会いした唯一の登山者であったので、カメラのシャッターを切って頂いた。山頂に、割と拘る私であるが、この条件下で、山の神が、よく頑張ったと、褒めてやっても良い今日であった。


雷鳴が轟き、アラレが降っては、無理する事無く、登頂を諦める






「6/9コラム(山つれづれ・・・より)」

6/9 珍しく時間厳守と合いなり、有峰林道ゲート開門10分前に到着。あれもこれもで、私の荷が16キロ、山の神が8キロとなる。日帰りなのに、これでは、真っ黒ネコ君が、キャンプ時に担ぐ重さと変わらないではないかと、お天気もあまり良さそうでないので三脚を外した。でも、しばらく歩くと、山の神の荷の一部を、担がなくてはいけなくなり、最初の荷より重くなった感じであった。

 「6月の薬師岳は初めてで、太郎小屋まで行ければ、御の字」 の山の神に、ハッパを掛けるが、足は動かないようであった。でれでも、休み休みとは言え、3時間半余で、太郎小屋に届いたのであるから、その先を目指す事が出来たのである。

 薬師峠(キャンプ場)からは、まっすぐ突き上げ、薬師平を経由する事無く、直接・標高2600m下辺りに出る事が出来た。しかし、その辺りから、風雲急を告げ、雷鳴が轟き始めたのである。薬師岳山荘に到着したなり、今度は霰が降り、不吉な予感がしたので、山頂へ全く行く気のない山の神の事を考慮し、登頂を諦めまだ閉鎖されている薬師岳山荘前で、食事とする事にした。多くは降らなかったのであるが、雨具を着込みタープを張ったから、降らなかったような・・・・ 不思議な気分であった。

 薬師岳山荘到着が、午後0時40分位であったから、山の神が、「何度も山頂まで、行って来たら・・」 と私に促したが、お天気の悪い中(結果的にはあまり降らなかったが・・) 一人残して行くのもどうかと思ったし、時間の関係上、せっかく担いできた食材を食べずに帰らなくてはならなくなるのも考えてしまった。

 もともと、「今日は何処まで行けるか・・」 が、テーマだっただけに、無理する事など全く無かったし、悔しくも何ともなかった。帰りも、途中でコーヒーを沸かしたり、またまたコシアブラ採りになり、車に戻ったのが午後7時になってしまった。





 ■■■コースタイム■■■
高岡5:00=有峰林道ゲート(5:50~6:00)=折立登山口(6:30~45)=三角点(8:10~20)=五光岩ベンチ(9:30~40)=太郎平小屋(10:25~40)=薬師峠(11:00~15)=薬師岳山荘(12:40~14:00)=薬師峠14:45=太郎平小屋(15:10~15)=五光岩ベンチ(15:55~16:00)=三角点(16:55~17:20)=折立登山口(18:55~19:10)=高岡

■■■同行者■■■
         比佐恵