No.134 (H.20.06.10) 薬師岳標高2600m付近で、雷鳴が轟いた。 雲の平、また、見えないが水晶岳・鷲羽岳方面の雲の動きが 異常であった。 「ピカ〜ッ」 と光れば、何も無い雪上を歩いている者として、 誠に感じ悪い。 「どうしよう?」 と、山の神が言ったが、どうしようもない。 「宝くじに、当たるようなもの。」 と慰め的な言葉を吐いた が、 こちらも、心中穏やかでなかった。 のちに、アラレが降って来た。 とっさに、まずいと思った。 30年前、目の前に落雷した時、大粒の雹(ひょう)が 降ったからである。 しかし、今回は、それを免れた。 もしかしたら、「山の神様」 への献上物を、 ザックいっぱいに、入れて来たからかもしれない。 しかるに、「あなただけ、山頂へ・・」 のお言葉を、 おいそれと、お聞きする事など、毛頭出来なかった。 山頂を諦め、献上物(点滴)を奉納すれば、嵐は急に収まり 「あれは、何だったのか・・」 となる。 非日常でも何でもなく、日常に戻された感じになり、 惨めさが漂ってしまった。 |