No.143 (H.20.07.10)


       牛岳(7/8)の山頂で、突然雨が降り出した。
       高を括っていたが、物凄い降り方に慌ててしまった。

       「乾杯!」 栓を開けた途端の雨に、東屋へ避難となった。
       「山の神」は、何よりも先に、ビールを避難させようと
       したのであるが、
       持ち損ねて、ビール缶を、倒してしまったのである。

       「ワーッ」 と、悲鳴とも取れる叫びと共に、
       缶の半分を、失ってしまったようであった。

       私のノンアルコールと、一緒に持とうとしたのが、「運の尽き」
       そして、そのノンアルコールビールが、生き残ったのであった。

       東屋に避難しても、「山の神」の心中は、穏やかでなかった。
       ましてや、ノンアルコールビールと言えども、美味しそうに
       飲んでしまう私の様子を見ては、尚更であったのだろう。

       「家に戻れば、飲めるじゃない!」 となだめても、
       「山で飲む事に意義がある。」 とかで、
       てんで話にならなかった。


       川のようになった登山道を降りながら、私は思った。
       「何だか変だぞ・・・」

       二日間も女房が山中で飲み、私が運転手。
       「一日ぐらい替わってやろうか。」 と思わないのか?
       「私を、何だと思っているのか?」
       などと、やっぱり言えない。

       報復が、怖いばかりではない。
       「こんな私にしたのは、あんたじゃない・・・」
       言われそうで・・・
       そんな事もないのに・・・・・・・・・・