元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
雨 飾 山 (1,963.2㍍)
<新潟県糸魚川市、長野県小谷村>
 平成15年11月24日




 突然最愛のお母さんを亡くした「黒部のシュンちゃん」を、大好きな山で励まそうという目的の山行である。
 昨年6/16には、4/27の件で、しょげた「花じい」の復帰山行が、岐阜の「位山・川上岳」、同12/23には、私の母死去に伴う激励が、雪の「大辻山」で行なってもらい、今回が三度目の復帰山行となった。
 「シュンちゃん」の山の友である「茜パパママ夫妻」の参加もあり、終始楽しい山行となる。只、山行直前になって、ケガのため参加出来なかった「山の歌・天使夫妻」の顔を見れなかったのがとても寂しかった。


出発前の梶山・雨飾山荘前で 薬師尾根の難所の覗きに向かって 朝日を浴びる「鋸岳」

 集合場所の黒部ICでは、「山のママ」からの差し入れがあり、意気揚揚と雨飾山に向かった。2~3日前から悪天の予報で、かなりの積雪が予想され、各車には冬タイヤ装備となったが、気温こそ下がったものの雪はあまり降らなかった。林道も凍結の心配もなく、雨飾山荘前に到着してみて、眼前の鋸岳や鬼ヶ面山は真っ白であったが、登山口付近は、木陰や陽の当たらない所に薄らと雪があるだけであった。しかし、その分絶好の山行日和になった。
 雪量がどれだけだか想像がつかず、カンジキは持参し、アイゼンは外す事にした。アイゼンが使わなければならなくなったら、潔く撤退する事にし、イザという時のためにピッケルだけは数本用意した。


茜ママ・パパ夫妻が頑張る! 茜パパ、「花じい」「シュンちゃん」が行く 茜ママ、「山ノ神」、茜パパ

 薬師尾根の「難所の覗き」までは、0~5cmくらいの積雪しかなかったが、今朝の冷え込みで岩がツルツルになっており、慎重に行動しなければならなかった。
 20~30分も歩くと、寒さも忘れ体中が暖かくなってくる。多く着込んだ人は一枚脱がなくてはならなくなってくる。
 尾根道になっても5~10cmの積雪で、もう少し量が欲しいところであった。休憩を挟んで、50分位で「いっぷく処」の大きな標識の場所に到着。 先程の「難所の覗き」と共に、最近作られたのであろうこの大きな標識に驚いた。
 全国区の山だから致し方ないのかも知らないが、私の目には、チョット周りと、マッチしていないように思えてならなかった。「梶山へ1時間30分、頂上へ2時間30分」と目安のタイムが書かれていたが、すぐそばにある古い標識には、10分程タイムが短く書いてあった。

北ちゃんとシュンちゃんがおどけている 雪中行軍とはいかなかったが 10:15分岐で(峠)で記念撮影 笹平から雨飾山頂上を望む

 その先の20分ほど進んだ所でチョッピリ休憩。  今日のパーティーは7名である。寄せ集めの感があるが、そこは山好き同士であり、歩きながらでも大いに喋り捲る。止まっても弾む会話は、とても初対面とは思えないほどの溶け込みようである。
 標高1500m位にあるアルミの梯子を越え、鬼ヶ面山や駒ヶ岳が良く見える所で休憩となる。“もう少しで中ノ池”、 地形図を見ながら“このなだらかな所に池がある。” などと言っていたが、5分もしないうちに、板で堰き止めてあるダムのような「中ノ池」に着いてしまった。近年雨飾山には1mの積雪がある頃しか来ていないので、その光景にあまり見覚えはなかった。



笹平をさっそうと行く 山頂直下の岩場に取り付く 「元ちゃん」凍結した岩場を登る

 中ノ池からは、何と表現したらいいのか分からないが、小沢のようなとでも言えばよいのか、それとも浅い沢と言った方がいいのか急登が続くのである。ここに1m超える雪量があったら、カンジキを履いた足を上げても、それこそ滑り落ちて来て、単独行では泣きたくなる所である。
 葉は落ちていても、樹木に纏わりついている雪に加えて、北斜面であるからか、だんだんと陽が高くなっていくはずであるが、暗く「陰」の世界に入って行くようでもあった。

「シュンちゃん」
上からアドバイス

 30cm前後の雪量を確認しながら、1700mくらいで一息入れるが、上部の真っ白になった樹木のあの稜線が頂上ではないかの意見に、頂上だと思って行っても、そこが頂上であったためしがない。の誰ともなく言った言葉に、皆ニッコリうなずきながら足を進めた。
 黙々と高度を上げたら、またしても大きな標識がある小谷温泉と笹平から頂上への分岐に出た。
 とりあえず、全員での記念写真を撮って笹平へ上がってビックリ、山頂への岩場が真っ白なのである。
 この時点で、4年前の「山ノ神」が、凍り付いたその岩場で、ニッチモサッチモいかなくなってしまった事が脳裏を掠め、登頂断念も心してしまった。
 しかし、笹平は、登山道には雪があるものの、この時期でも本当に笹平なのである。笹平からチョッピリ下って、岩場に取り付くのであるが、万が一のため、ストックを収納しピッケルを準備している間に皆が岩場に取り付こうとしていた。
 不思議なもので、おどおどしながらも、誘導・激励を受けて「山ノ神」も登り始めているではないか?
 少し迷惑を掛けての登頂であったが、「山ノ神」にしてみれば、感激も一入であったに違いない。

山頂で焼山バックに記念撮影 飛び入りの高田さんも交えて 焼山・火打山を望む 北峰の石仏を入れて

 細い身体で人間機関車のような茜ママ、そして、手綱をしっかり握り締め皆との調和に気遣いをして下さった茜パパ。記念山行になるよう終始ビデオを撮り続けてくれた北ちゃん、相変わらずニヒルな感じながら要では足場を作ったりしてくれた「花じい」、主役でありながら気配りに心掛け、最後の岩場では先導役を買ってくれた「シュンちゃん」、飛び入りの高岡の高田さんには、何枚もシャッターを切り続けてもらった。

 チームワークで勝ち取った山頂は、風が強く寒かったが、「超絶景」であった。正に「シュンちゃん」の復帰山行に合わせての晴天であるかのように・・・・・・・・。
後立山連峰 (鹿島槍ヶ岳~朝日岳)    〓高岡の高田さん撮影〓

日本海・糸魚川市街地~駒ヶ岳~鬼ヶ面岳~鋸岳 〓高岡の高田さん撮影〓

 近くに大きく見える頚城の焼山・火打山よりも、馴染みの多い北アの山々が気になり、鹿島槍からずーっと栂海に目が移り、白鳥山と初雪山の同定に大いに盛り上がった。
 山頂滞在が30分も満たなかったが、各自思う存分にカメラのシャッターを切ったようだし、目にも焼き付けて、先程の岩場を下る。
山頂からの岩場を下る

 先に降りた「シュンちゃん」と「花じい」は、勘所で待機し、滑りやすい所では、カッティングをしてくれてスムーズに降りる事が出来た。
 往路に決めていた風当たりの少ない分岐(峠)でミニ宴会となったが、丁度お昼に近い時刻であった。
 ボーッと点いたコンロに、茜ママ・パパが用意してくれた「キムチ鍋」が、そして、北ちゃん特製の「チャーシュー・シナチク料理」「山ノ神」手製の昆布締めの刺身など雰囲気は最高潮となる。
 何処から出て来たのか、こんなに飲めるかと思うほどの清酒、そして、運転手のためのノンアルコールビールも用意されていた。


分岐(峠)でミニ宴会 雪の解けた「鋸岳」をバックに 帰路「難所の覗き」で一服

 食べるに飲むに「山」を肴にすれば実に話も弾むものである。初顔合わせであろうが、これだけの時間を費やし、食事も一緒すれば、何年来の窮地の友と何ら変わらない。
 「山ノ神」が、この山行に参加するにあたって、黒部に帰ってからの運転を引き受ける条件だったので、残念ながら酔うよなわけにはいかなかったが、大勢の仲間との山行に頗る満足のようであった。
 登山口に戻ってからのコーヒータイムも周囲の山々を眺めながら格別の味を楽しんだように思えた。
 大勢の方々となかなか共にする機会がない私(私達)にしてみれば、また何時かこんな機会がある事を願いながら車中の人となった。





 ■■■ コースタイム ■■■
高岡4:00=黒部IC(5:05~30)=登山口(6:25~50)=難所の覗き(7:15~20)=いっぷく処8:10=中ノ池9:15= 分岐(峠)(10:15~25)=雨飾山頂(10:55~11:20)=分岐(峠)(11:45~13:20)=中ノ池13:50=いっぷく処14:35=難所の覗き15:20=登山口(15:45~16:25)=黒部IC(17:30~40)=高岡19:00

 ■■ 同行者 ■■
         シュンちゃん、花じい、北ちゃん、茜パパ、茜ママ、比佐恵