元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
恵 那 山 (2191㍍)
<岐阜県中津川市、長野県阿智村>
平成13年06月17日




 恵那山行きを計画した頃から、果たして24時間内に収まるだろうかと不安であった。山中の行程には不安を感じていないのだが、問題は生き返りの車の運転で、特に帰路の運転が睡魔との戦いであると思っていた。
 41号線を南下し、神岡町から数河高原を登らず、思い切ってはじめてのコース神原峠越をして古川町へ、そして、高山から下呂に出て加子母村、付知町、福岡町から中津川へ出た。
 中津川から19号線で塩尻方面(北方向)に進み、落合沖田交差点を右折し、そのまま、まっすぐ高速道路を潜りながら6キロ程進み、程島と言う地名のところで、右折し湯舟沢川を渡り林道に入る。
 
神坂峠の登山口で

神坂峠までの12キロの間に強清水(標高1109㍍)追分(標高1347㍍)の登山口あり、思い思いの所から登るらしい!強清水登山口は、一番距離が長く、追分登山口は、万人向きではないが、お薦めコースらしい。
 我々が目指した神坂峠は、黒井沢コースがダメな今、一番多くの登山者が利用するようだ。標高も1569㍍あり、山頂との標高差は、600㍍余で一見楽そうであるが、結構辛いのである。峠には、午前5時半に着いたのだが、やはり全国区の山だけあり、先人が多く、また続々とやってくるのである。
 「頂上まで6.8㌔」「頂上まで4時間半」の標識のある登山口で、記念写真を撮って出発である。風衝草原の緩やか登りを10分余行くと、ゴンドラとの分岐である第一のピークに出る。
 ゴンドラへとは、スキー場があるのかもしれないが、私は、この辺の概略図が頭の中に入っていない。第一のピークは、標高約1700㍍で、これから1550㍍の鳥越峠へ大きく下るのである。  前日に、降ったと思われる雨のために、そのぬかるんだ下りは、時々尻餅をつきそうになったり、クマザサの露が衣服を濡らした。
姥ナギを行く

 鳥越峠の標高は、登山口の神坂峠の標高よりも低く、帰りの事を思うと、追分登山口からの登行の方が、良かったかとチョッピリ思った。あまり起伏のない山腹を、トラバース気味に進み、「頂上まで、あと4.5㌔」の標識から、少し登り始めると、見頃が終わってしまったシャクナゲの姿に、落胆して上を見上げると、雲上に御岳や乗鞍岳が見えて来て大きな声を上げた。
 やがて、姥ナギと呼ばれる崩壊地を右に見て、尚もその先を進むと、三角点のある1695㍍の大判山に着く。広まったこのピークは休憩に、とてもいい場所なのだが、春特有のブヨ(ブユ)と思われる「虫」が身体中に付き、特に目に入るのだけは、とても我慢できず、長居する事なく、ずーっと彼方に見える天狗ナギと言われる崩壊地方面に向かって進んだ。
 大判山へ登ったのに、また50~60㍍程下って、二つの小さなピークを越して、急斜面をジグザグに登り1820㍍のピークになる。
ドウダンツツジ

 このピーク付近は、シャクナゲが見事なくらいに咲いていた。我富山で見られるものより背が高く、昨年、花は見られなかったが、金峰山シャクナゲとよく似ていた。再び下って、天狗ナギに差し掛かり、淵は危険なので、反対側のクマザサの斜面に、バイバス的なルートがつけられ難なく通過する事が出来る。時折、合間から切れ落ちたガリー状の崩壊地を見下ろしながら、また登り小さなピークに辿り着く。イワカガミやウメバチソウなどが咲き誇っていた。
シャクナゲと戯れる

 小高いピークから、また少し下って、ナギの淵を登り始めると、次第に勾配も緩やかになり、気が付くとクマザサがなくなり、鬱蒼とした原生林の道となる。原生林が恵那山の核心部なのだろうが、一本一本の立木にその素晴らしさを感じる人もおれば、何だか陰気な樹林の中と感じる人もおり様々である。
原生林の中を行く

 暫くすると、今は使われていない旧道との分岐点(2110㍍)に出る。標識がなければ、ただの何でもないところで、視界の悪い時の残雪期は、惑わされるに違いないところであろう。
 分岐点の標識には、「頂上まであと40分」と記してあるが、標高にしてあと80㍍と言う気分が足を早めさせてくれる。名前を確かめて来なかったが、剱神社、神明社、熊野社の順に祠を見ながら、避難小屋(恵那山山頂小屋)に着く。
 山頂からの展望は余り良くないと噂では聞いていたが、やはりピークを踏まない訳にはいかない。でも、その山頂の雰囲気は決して悪いものでなく、それも恵那山の個性なのである。記念写真を撮ってから、山頂から少し下がったやや景色のいい所で、食事とした。
恵那山頂上で

 荒川岳、赤石岳、聖岳の南アルプスの隣に台形の富士山が見え、にこりとした家内の顔が印象的だった。しかし、ここでも「虫」に悩まされ、落ちついて食事が出来なかった。とはいえ、1時間余の休憩は、乾いた喉に冷たいビールが、心地よく流れさせて、いい気分にさせてくれたのだが、最終的にはこれが仇となって、鳥越峠からの登りでの家内は、喘ぎ喘ぎの状態で、彼女のストックをつかんで、引き上げてやらなければいけない状態であった。
 汗と「虫」に悩まされた恵那山も、風衝の草原のゴンドラへの分岐からは、心地よい風が吹き、生き返ったような気分だった。「楽な山は、ないな~あ。」と神坂峠に急いだ。



★★★コースタイム★★★

高岡23:35=古川1:35=飛騨街道なぎさ道の駅(2:20~25)=付知町道の駅(3:20~4:10)=神坂峠(5:30~6:00)=ゴンドラとの分岐6:13=鳥越峠(6:40~45)=「頂上まであと4.5㌔」の地点7:00=崩壊地(7:10~15)=大判山(7:33~40)=休憩(7:53∥8:00)=休憩(9:00~10)=分岐点(9:55~10:05)=山頂小屋(10:22~25)=恵那山頂上(10:33~43)=頂上直下で食事(10:45~11:55)=山頂小屋(12:00~15)=分岐(12:40~43)=大判山14:30=鳥越峠15:15=ゴンドラ分岐15:50=神坂峠(16:13~50)=高岡22:15

☆☆同行者☆☆
      比佐恵