元   さ   ん  の  山  紀  行
鳳 凰 山 (2,841m)
<山梨県芦安村・韮崎市> 平成16年07月12日





薬師岳方面から観音岳と地蔵岳、左奥・甲斐駒ヶ岳 アカヌケ沢源頭下部より、地蔵岳・オベリスク


 鳳凰三山の日帰りは、青木鉱泉からドンドコ沢ルートを利用するしかないと思っていたが、何度も何度も地図を眺めていると、夜叉神峠からでも行けるのではないかと、「山ノ神」にその旨を伝えた。コースタイムは長ければ長いほど、個人差が出て一概に測定出来なく、後は「山ノ神」の頑張りに期待するものとなった。雨で二度流したが、日の長い6月下旬~8月末まで想定していただけに、必ずしも晴天にならずとも雨が降らなければよいくらいのつもりで出掛けた。
 眠い眠いと言いながらの運転であったが、夜叉神峠駐車場には思ったより早く着く事が出来た。場所が変わると全く眠れないのだが、今日は午前4時設定のアラームに起こされるまで、狭い車の中で1時間程眠れ随分楽になった。少しでも早く出掛けないと、後々のスケジュールに支障が出ると急かしてしまった。
 「夜叉神の森」の名称の売店・食堂或いは宿泊施設なのかはっきりわからないが、その前が登山道入口である。恥ずかしい話だが、私はこの出発点が「夜叉神峠」だと思っていた。(標高1375m)


午前4時40分登山口で 夜叉神峠の標識 夜叉神峠小屋 夜叉神峠から、薄っすらと北岳


  整備された歩き易い登山道をジグザグに登る。いたる所に樹木名が取り付けられており、チョットしたハイキングコースになっているのかもしれない。  30分ほどで「五本松」、その先20分程で高谷山との分岐に出、2~3分程で夜叉神峠である。ここまで高度を400m稼いだ事になる。
 夜叉神峠は、白峰三山の展望台と聞いていたが、我々が到達した時は、全山容を見る事が出来ず、地図を見ながら、「あれが北岳だ!」「こっちが間ノ岳だ!」と白い雲と混在している山並みに勝手に興奮していた。午前5時半は、山の朝としては早くはないと思うのであるが、夜叉神小屋は戸を硬く閉めてまだ眠っていた。
 緩やかに下り、その分ドンドン登って行く。30分程でなだらかになり、その後は、また緩やかに登って行くと、そこには、鉄パイプで組み立てられている「杖立峠」の道標がある。夜叉神峠から約1時間、標高は約2155mである。大崖頭山の西面の展望の利かない樹林帯を登って来たが、何時の間にか北岳・間ノ岳が見えて来る。「かっての山火事の跡」とは気付かぬ私達は、「苺平⇔杖立峠」の道標を、杖立峠から30分の所で見る。(標高約2285m)


長い登りが続く 杖立峠 間ノ岳~農鳥岳 南アのきれいな山並み


 やがて、千頭星山・甘利山への標識を見れば、小さな平地の苺平である。辻山へ往復30分とも記されている。登山口から3時間半経過したが、未だ半分にも達していない。
 苺平から緩やかに下って行き一番低い所に南御室小屋がある。(辻山と砂払山の鞍部でもある。)北ア北部の立派な山小屋に比べれば、何とも可愛い山小屋に見えるが、これが本来の山小屋なのかもしれない。布団が干され、小屋の人が野菜作りに精を出していた。水も豊富にあるようである。ベンチでちょっと腰掛けて、小屋の裏手の新しく切り開いた道を行く。30分もするとちょっと開けた「ガマの岩」に出る。大きな石の上に登り、白峰三山を見渡しカメラに収めた。


苺 平 苺平から南御室小屋への下り 南御室小屋 砂払岳付近の砂礫と大きな岩


 尚も進めば、いよいよ視界が開け、砂礫と大きな岩が多くなって来る。振り返れば、薄っすらと富士山が見えた。少し下った所にある薬師小屋の前を通り、薬師岳山頂に着いたのが午前10時半近くで、第一の目標地点に来た事になる。
 「青木鉱泉」の標識が目に入る。以前ドンドコ沢から、地蔵岳⇒観音岳⇒薬師岳を計画した時の復路にあたるコースである。  鳳凰山の最高峰「観音岳」は、北へもう少し(30分程)である。 目指す観音岳の奥には甲斐駒ヶ岳が大きく見え、右側にはオベリスクの「地蔵岳」が全く違った山容を見せてくれる。砂礫と岩だが快適に登る事が出来る。


北岳~間ノ岳 薬師岳 薬師小屋 薬師岳山頂への砂礫


薬師岳頂上で 富士山をバックに 鳳凰山最高峰・観音岳 観音岳頂上で


 まだ午前11時を回ったところであるから、「山ノ神」に地蔵岳へ一緒に行こうと勧めたが、「休む間がない。」「ビールを飲む時間がない。」「最高峰の観音岳で充分。」などと私一人を地蔵岳に行く事を勧めた。それでは後でどういう事になるかわからないと、観音岳標識と三角点の位置で記念写真を撮って別れる事になった。  出発前に、とりあえず乾杯と言って飲んだほんの一口のビール(100cc程)が、お腹が空いていたからか、頭がふらっと来てしまった。お~っとであるが、そのまま駈けて地蔵岳に向かった。ドンドン降りて行くのは良いが、帰路また登り返さなければいけないと思うと、ちょっぴり辛く感じた。20分程で鳳凰小屋への分岐(近道)を見ながら最後の登りに掛かる。

アカヌケ沢源頭付近 地蔵岳・オベリスク 賽の河原の地蔵様
 アカヌケ沢源頭手前で、長岡の中年夫婦が、「どうも、道を間違えたので戻って来た。」と言う。また、先に行った青年が「地蔵岳標識がなかったので、鳳凰小屋から行かなくてダメなのでは?」とも言っていたらしい。よく聞くと、この長いコースに地図らしきものもなく登って来たようである。私が地図を出し、「あれが地蔵岳のオベリスクだ。」と言っても、もう疲れきってしまったのか、「最高点(観音岳)に登ったから良い。」と言い戻って行った。
 源頭から「賽の河原」に降りると、噂通りお地蔵様が数えきれないほど、あちこちに祭られていた。尚も大きな岩を登りつめたが、最後の大きな石柱には取り付かなかった。その石柱にはロープが下がっていたが、どのような状態になっているのか分からなかったし、時間的にも余裕がないと感じ撤退する事にした。「賽の河原」の上部で、空いたお腹におにぎりを入れ、再び観音岳に向かった。約束の2時間余で戻る事が出来たが、天候の事も気にかかり、とりあえず薬師岳まで急いだ。食べ物にむしゃぶり付いたが、すぐに思い直して、足を速めた。長い長い復路であったが、雨は夜叉神峠まで降らなかった。





 ■■■ コースタイム ■■■
高岡21:40=平湯23:45=松本0:40=諏訪湖SA(1:05~15)=韮崎IC2:00=夜叉神峠登山口(2:50~4:40)=夜叉神峠(5:30~45)=杖立峠(6:50~7:00)=苺平(8:15~30)=南御室小屋(8:55~9:00)=ガマの岩(9:35~40)=薬師岳(10:25~35)=観音岳(11:05~20)=地蔵岳オベリスク下12:25=賽の河原(12:30~40)=観音岳(13:30~35)=薬師岳(13:55~14:05)=南御室小屋(14:55~15:05)=苺平15:35=杖立峠(16:35~45)=夜叉神峠17:35=夜叉神峠登山口(18:15~50)=韮崎19:40=諏訪湖SA(20:15~40)=高岡1:00

   ■■■ 同行者 ■■■
          比佐恵