元  ち  ゃ  ん  の  山  紀 行
三ツ峠山 (1,785㍍)
<山 梨 県>
平成15年03月10日





 「三ツ峠山」は、以前から温めていた山で、西高東低の気圧配置が強まり日本海側がお天気が悪く、太平洋側で好天が予想される時に出掛けようと思っていた。

 さて、山梨へどのルートで出掛けるかという事になったが、何となく平湯・上高地公園線経由で中央道に出るのは、カーブと凍結のイメージが強く、148号線・白馬経由で中央道に乗る事にした。
 しかし、当日夜半は、県東部に入ると風雪が強まり、長野県小谷村からは、多くの除雪車が出動しているほどの降雪を見、ビックリする有り様であった。しかも二人とも睡魔に勝てず、駐車してはコクリと居眠りをしてしまい多くの時間を費やしてしまった。

 上手くゆけば、「三ツ峠山」と「黒岳」の2座を登れないかの思いで高岡を出たが、雪と睡魔に負けてしまい予定より1時間半程遅く登山口に着いた。
 御坂一宮IC」から、137号線で河口湖方面へ13キロで御坂トンネルがある。トンネルの手前から旧御坂トンネルへは、事前に冬期閉鎖を承知していたので、必然にトンネルを抜けて、すぐ左折して「御坂みち」を、天下茶屋方面に向かわなければならなかった。地理的に完全に掌握していなかった事や、同方向への車両がスピードを出していた事もあり、あっという間に通り過ぎてしまい、下りながら待機場所を探し、Uターンして「御坂みち」に入らなければならいハプニングがあった。


三ツ峠登山口 ジープが除雪車の代用のように見えた? 山頂目指して林道のような道を

 「天下茶屋営業中!5.7キロ」の案内表示があり、下から歩かなくても良かったと安堵したが、走行中マイナス3℃の温度表示を見ていただけに慎重な運転となった。しかし、所々に雪魂が崩れ落ちているものの、きれいに除雪されており何の問題もなかった。
 やがて、天下茶屋方面は、大きく左へカーブして登って行くのだが、それと分かれて、現在は通行止めのゲートがあったが、まっすぐ行く林道があり、そこが登山口である。通行止めが解除されれば、もっと奥まで行けそうである。(西川林道と交わる所まで)

道路には雪がなかったが、駐車スペースは2~3日程前に降った雪が硬く残っていた。駐車している「山梨」「練馬」「所沢」「松本」「名古屋」のナンバーのなかで、「富山」ナンバーが異様に見えたらしい。
 初めての山で、しかも1800㍍近い山である。いかに山梨県の山であろうが、「山ノ神」にはアイゼン、私はピッケルを持って出発した。
 清八林道を10分も行くと、西川林道と出合い、山小屋なのか作業小屋なのかわからない構築物があり、何か工事が行われているようであった。その付近から圧雪となり、林道と言えるのかわからない急な道に、一人が歩けるしっかりしたトレースが付いていた。

 予想した雪量よりも多く、登山口で準備していた時に出会った方が、登山道の方が山らしいと言っておられたが、どの事を言われていたのかわからないくらいであった。もっとも、トレースがない所では、カンジキがなくてはとても歩けない状態であった。この林道らしき道も、カーブする所々に、ナンバーのない古びたジープがおり、もしかしたら、除雪車代わりに使われているのではないかと思ってしまった。4輪共にチェーンが巻かれており、ワダチを考えると動いている様であった。雪がなくても我々の車ではとても登り切れないほどの急坂である。

 不思議な事に30分程過ぎると、これまで1本ないし2本だったトレースが、軽自動車が通れる程の幅で踏まれているのである。上部がそのようになっているのは、営業小屋のせいなのであろうか?
 “今日は富士山を見ようぜ!”とエッチラコッチラ歩き続けていると、“ 未だ今日は休んでいない。” と何時もの「山ノ神」の不満な顔と共に奇声が発せられた。


二百名山の「御正体山」 三ツ峠山頂上の「開運山」 美し過ぎる富士山

 “ もう少しだから!” ともう1座(黒岳)が頭の中にあった私は、こんな所で一服が出来るかなどと無視をして先に進むと、上道と下道に分かれている所に出た。下道は山荘の名が書いてあり、上道は展望台と記してあったが、必ず交わるであろうと確信して、上道を行く。10分もすると、「美し過ぎる富士山」が間近に姿を現し、おーっと思わず声を出してしまった。ここが木無山の肩になるらしい。
 三脚に大きなカメラを付けて、富士山を撮っている中高年夫婦と顔を合わせ、思わずニッコリしてしまった。・・・・・先陣に、好きなほど富士山を撮られてしまったかのように思われたが、まだまだ富士山はステキに残っていた。・・・・・すぐ上に三ツ峠山荘がある。ここからもステキに見える。山荘に泊った方の話によると、今朝はマイナス15℃まで冷え込んだと言っておられた。でも、冬は空気が澄んでいて富士山がきれいに見えると微笑んでおられたが、あの方も富士山ファンなのかもしれない。


南アルプス。右、甲斐駒ヶ岳 三ツ峠山頂上で① 三ツ峠山頂上で② 四季楽園から三ツ峠山荘へ

 味気ないほどにアンテナが建つ二つのピークがある。左側が御巣鷹(高)山で、右側が三ツ峠山のピークで開運山である。高い所へ行く習性がある私には、なんであろうと一度は登って見なければいけないピークである。
 よく踏まれたトレースは、四季楽園の前を通るが、ぬいぐるみのような大きな犬が横たわっていた。その横にあるベンチには、休憩料100円とある。首都圏に近いと、こうなるのかと思い我故郷北アルプスの良さを今更に誇りたくなる。休んでいる富士見荘の前を通って、アンテナを越せば石碑が建つ三ツ峠山頂上である。三ツ峠山荘やその下の肩から富士山を望むよりは、ちょっと樹木が邪魔するが絶景には変わりはない。

 午前11時であるが、この富士山を眺めていると、この場を去り難くなり、「黒岳」は次の機会に回し、今日はじっくりこの絶景を楽しむ事にした。日差しがあるが、じっとしていると1800㍍近くの標高だけに寒くなってくる。
 カップめんであろうが、暖かいものはうれしい。今日は、遠出でお互いにビールを我慢しようと申し合わせていたため、富士を見てビールを嗜む事が出来なくて寂しかったかもしれない「山ノ神」であったろうが、一年毎に体力が落ちて行きも帰りも、私一人で運転が出来なくなってきているから仕方がないのである。
どれだけ眺めても飽きないが、黒岳の登山口を兼ねる「天下茶屋」まで行ってみる事になり、下山を開始した。

「天下茶屋」前からの富士山 太宰治ゆかりの「天下茶屋」 「天下茶屋」の看板

 車デボ地点まで戻り、旧御坂トンネル口にある「天下茶屋」は、太宰治の資料があり、また「富士山には月見草がよく似合う。」で有名である。またここから眺める富士山は、三ツ峠山から見るのと違い河口湖が裾野にある。時間的やコース的に見て、黒岳は今日の日帰り日程に、充分入れたかもしれないが、たまにはゆっくりもいい。



 ■■■ コースタイム ■■■
高岡1:10=滑川IC=入善2:55=糸魚川IC3:20=白馬(4:30~5:15)=豊科IC6:20=八ヶ岳P(7:10~15)御坂一宮IC7:40林道入口8:10車デボ地点(8:25~45)分岐9:55=写真(10:05~25)=三ツ峠山荘(10:28~40)=三ツ峠山頂上(開運岳)(10:55~12:25)=三ツ峠山荘12:35=車デボ地点(13:30~40)=天下茶屋(13:45~14:10)=御坂一宮IC14:50=中央道原P(15:35~45)=松本IC16:25=安房峠料金所17:25=奥飛騨道の駅17:40=高岡20:25

<往路=滑川~糸魚川 豊科~御坂一宮>   <復路=御坂一宮~松本>  →高速利用

 ■■ 同行者 ■■
      比佐恵