元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
平標山(1,983.7㍍)  仙ノ倉山(2,026.2㍍)
<新潟県湯沢町  群馬県新治村 >
平成14年08月26日





 今回は夜中発でなく、思い切って少し早めに出発する事にした。と言えども午後10時半である。目的地に早めに到着して身体を休めようとの計らいであるが、下道で行くとなるとそう簡単ではない。
  近頃は、体力不足なのか分からないが、すぐ眠たくなるのである。とりあえず「山ノ神」の運転で下道を走り、朝日から上越までは高速を利用する事にした。
 糸魚川の蓮台寺まで、運転してくれたので、眠れなくても目を瞑る事が出来大いに助かった。上越からは、253号で、十日町を経由して六日町に出、17号線で湯沢に向かった。
  湯沢からの山道は、自分で運転してみて分かったのだが、その17号線の延長線は、三国峠を経由して群馬県に通じるものである。数年前に苗場スキー場へ、友人の車に便乗させてもらった事があるが、その時は雪道と言え随分と違って感じた。また今回は、夜道なので一層違っていた。

整備された元橋登山口

 しかし、「元橋」登山口は、その17号線沿いに大きな駐車場を備え、水洗トイレや公衆電話まで整っていた。午前3時過ぎに到着したが、只、眠く背もたれを倒して目を瞑った。元々そう簡単に眠れない質なのだが、流石に疲れたせいもあろうが、うつらうつらしてしまったようだ。
登山道の標識

 4時50分頃長岡ナンバーの車がやって来て目が覚めた。三人の男性が軽自動車から降りて、さっさと準備をして夜明けと共に出掛けて行ってしまった。
 8月下旬とは言え、標高1,000㍍を超える朝方は、薄ら寒かった。毛布を跳ね除け眠たい目を擦りながら、ボチボチ準備にかかった。横手の国道を時折、車が駆け抜ける音を聞きながらも、上信越国境の空気は、何時ものものと違うように感じた。
 ステキで清潔感溢れる東屋のトイレに、「平標山登山道」と大きな熊の絵と共に熊注意!の標識をバックにまずは記念写真を撮り、取付け道路の指示に従いふれあい橋を渡り、2~3分程進んだ林道の右手に登山口があった。


樹林帯を抜けた所 丸太の急な階段を行く 苗場スキー場とプリンスホテル  巨大鉄塔で小休止

 しっかりした登山道を、20分ばかり歩くと樹林帯から抜け出し、南西方向に筍山とその裾野に広がる苗場スキー場が望めるが、黒い雲に覆われようとしている。これから目指す鉄塔は北東に見える。全般的には晴れているが、黒い雲と薄い雲が不規則に空に現れるが、雨の心配はないように思えた。
松手山頂上

 すーっと抜ける風は、水分を補給するよりも生き返った気がする。また樹林帯に入ると、急登に次ぐ急登となるが、お花は現れ心を和ませてくれる。階段にはロープが施されていて、下りの危険回避をしているようである。階段を登り切ると巨大鉄塔が現れ、その付近が刈り上げられており、休息するにはいい所かもしれない。チョットいい加減な私の高度計は1400㍍を指していた。高さが何㍍あるのか分からないが、この凄い構築物をバックに、埼玉県熊谷市から来たと言う、合わせて年齢が130歳の夫婦に、シャッターを押してもらった。
松手山から平標山への風衝草原

 その鉄塔から15分ほど行くと、風通しの良い尾根に出たが、周り中がスキー場なのと送電線網の凄さに驚いた。草木が露に濡れていて、ロングスパッツを着けてこれば良かったと思ったが、それも暫くで、樹木や草木が背丈ほどになれば、平標山中間点の松手山は近い。
 松手山の頂上は標柱が一本あるが左程広くなく、平標山の通過点という感じにしか取れなかった。北方向に田代スキー場への道しるべがあったが、26年前、谷川岳に出掛けるために購入した地図には記載されていなかった。二居に行く道なのであろう。

 1613㍍の松手山を過ぎると、風衝草原となる。前方に穏やかな稜線が望め、それが平標山の頂きかと思いきや、埼玉の夫婦は、この地点から頂上が見えないと言う。そう言えばどの山でも必ずと言って良いほど、その奥に頂上がある事を思い出した。
花の百名山と聞くこの平標山も、もうそのシーズンを過ぎているのだが、その名残とでも表現したらいいのか、ハクサンフウロ、ウメバチソウ、ウツボグサなどが咲き、また秋の花のリンドウが数多く咲いていた。


平標山頂上で 平標山から下った巻道との分岐点 風衝草原を行く  ガスの中に入って行く感じ

 足を進めるに連れ、強風に煽られガスでその先が見えなくなってしまった。しかし、そのガスの合間から、日が差すと言う感じで、目まぐるしくお天気が変わるが、雨が降るという状況にはなかった。
 やがて、ケルンと朽ちた標柱がある一の肩に着く。小さな広場の感がある「一の肩」も、事前にその関係のHPを調べていったから分かるけれど、標柱に文字を求めたが確認出来なかった。
仙ノ倉山頂上

 なおも気持の良い草原のような尾根を行き、チョット下がって、一登りすれば平標山の頂上である。岩も石もなく、名の通り土で、平な山頂に立派な標識だけが目立つ味気ないものであった。
風衝草原の木道もアップダウンが!

 しかし、この先は、土樽からと、平標山ノ家から来る道を集めて、長い木道が連なる「仙ノ倉山」へと導いているのである。この平標山から見る「仙ノ倉山」は、木道と広い風衝草原だけで「苗場山」を思い出した。地糖こそないが、最盛期のお花畑や、秋の草紅葉の光景を、連想するだけでも、楽しくなってくる程である。
 木道を下るとベンチがあった。平標山ノ家方面への巻道らしいが、自然保護とかで封鎖してあった。荒れてしまったのか、自然に戻す為なのかわからないが、都会から近いこの山系では、多くの人達が一気に入ろうものなら、自然もたまったものではないかもしれない。
 整然と木道が続く。時にはなだらかに、また時には、階段状となり、草原の中を行く。ガスで前方の山並が見えないが、足元にはリンドウが、我々の季節だと言わんばかりに咲き誇っている。時々ハクサンフウロも、褪せてはいるが未だ多くの花をつけている。トリカブトの青色が良い。何故か、そら豆のような腎臓の形に見えるのは、私だけなのだろうか? 


仙ノ倉山振り返る これから戻る平標山 気持よく風衝草原を歩く  穏やかな山容を味わう

 ガスが途切れた稜線に、幾つかのピークが見える。どれが頂上なのだろうと先を急ぐが、手前のピークで、直角的に左に導かれた。稜線とは言いにくい、なだらかな尾根を一度軽く下って階段状の木道を登れば、先程眺めた左から二つ目のピークが頂上である。
 「仙ノ倉山」の頂上も、草原上の一番高い所が土が出ており、平標山と同じような標識が建てられていた。そして、片隅に方位盤が設置されており、周りは、その草原に入り込まないようにか柵がしてある。
仙ノ倉山から平標山への最後の登り

 谷川連峰の最高点の山としては、展望も良くなかった事も手伝って、やはり味気なく感じてしまった。でも、遠方からわざわざやって来た日本二百名山でもあり、今度何時来れるかもしれないし、静かな山頂で、ゆっくり食事をする事にした。
 何時もの事ながら、おにぎりとラーメン、そして、「山ノ神」が何を忘れても、必ず持参するビールを、なめるくらいに頂いて、谷川の山々が顔を出してくれるのを待った。
 時折、瞬時に雲の間から見える山並が、谷川岳や一ノ倉岳なのか手前の万太郎山なのか、或いは遠くの上州武尊山や尾瀬の至仏山や燧ヶ岳なのか、初めての山頂からでは、無理もない事だが全く分からず、この仙ノ倉山から続く山並の近くの三角の山だけがはっきりと見えた。
平標山から山ノ家への長い階段

 しかし、反対側に目を移せば、平標山の頂きに続く風衝草原が、木道と上手く調和しおだやかな山容が、尚一層美しさを漂わせていた。一時間ばかりいた山頂を後に、木道を下り、時には今いた山頂が、ドンドン離れて行く様をカメラに収めたり、花に愛嬌を振る舞いながら、平標山に戻った。
 この間3パーティー6人に会っただけで、登り始めから数えても合計9人に会っただけであった。
 平標山からは、往路と違う山ノ家に向かった。この道も階段が多く、荷を背負っていない数人の若者もハーハー息を切らしていた。また、4名の中高年女性パーティーに白い花(イワショウブ)を尋ねられたが、一番年配の女性によると、平元新道登山口までタクシーで来たらしく、平標山から松手山経由で、元橋に降りるように言っておられたが、最早2時過ぎ、あの足取りでは、暗くなってしまうのではないかと心配になってしまった。
平標山ノ家から平元新道登山口へ

 山ノ家前で、若者に下山時に見た山の名を尋ねると、2年前からこの山小屋に従事しいるのだが、分からないから、山ノ家にいる知っている人達に聞いてくると言う。 煩わす事もないと言って断わったはずなのに、富山から来たという事が、珍しかったのか、オーナーや従業員全員出て来て、珍しそうに見ながら、いろいろと説明してくださった。(三角に見えたのは、エビス大黒の頭だと教えてもらった。)
 こっちもいい気分になり、隣り合わせになった登山者に、コーヒーを振る舞ってしまった。山ノ家からの下りも、イヤになるくらいの階段の連続だったが、今日の「山ノ神」は、意外と頑張っていた。よく似たペースの夫婦と、追いつ追われつの展開になった事もあるのかもしれないが・・・・・
 40分程で平元新道登山口に着く。花の山らしく大きな看板に、花の見頃の時期が書いてある。また、ここは水場でもあり、汗を掻いた後に、喉を潤すのにいいかもしれない。立派な林道に関係車両とタクシーなら乗り入れ出来るのかもしれないがそんな道を長時間歩くのは「山ヤ」はイヤなのである。
 しかし、尚もその林道を30分ほど行くと、車を遮断するゲートがあり、ここにもホースから出る冷たい水があった。別荘地帯に入ると、道に座り込んで絵を書く人達が現れ、登山口の駐車場も近い。




 ★★★コースタイム★★★
高岡22:35=朝日=蓮台寺(0:20~25)=上越0:50=253号線1:00=十日町2:00=六日町2:00=湯沢2:45=登山口P(3:15~5:55)=登山口6:00=鉄塔(7:15~20)=松手山(8:05~10)=一の肩9:15=平標山(9:40~10:00)=仙ノ倉山(10:55~12:00)=平標(13:15~25)=平標山ノ家(13:55~14:35)=平元新道登山口15:15=ゲート15:45=駐車場(16:05~15)=石打353号線16:55=117号線17:20=253号線17:30=松代(17:50~18:00)=上越19:00=滑川=高岡20:55
  〔 往路=朝日~上越間 …… 復路=上越~滑川間 高速利用 〕

 ☆☆☆同行者☆☆☆
       比佐恵